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ASCII 冬のベストセレクション 2017 第7回

4K HDRからハイレゾ再生まで1台でこなせる

OPPO「UDP-205」は年末イチオシのUHD BD機だ

2017年12月21日 11時00分更新

文● 小林 編集●ASCII

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高級な単品オーディオ機に匹敵する音の良さと機能

 このようにUDP-205は最新世代のUHD BDプレーヤーであり、機能/品質もトップクラスの映像再生機だ。しかし筆者がUDP-205に注目する最優先の理由はただ単に「4K+HDRの再生環境が欲しいから」ではない。

 白状してしまうと、自宅の環境はいまだに2K(1080pのプラズマテレビ)+2ch再生なのだ。それでもUDP-205が気になるのは、4Kでなくても、従来使用しているプレーヤーやレコーダーよりも十分に高画質であると実感できるため。

 UDP-205はUHD BDプレーヤーなので、4Kコンテンツがかかるし、アプコン性能などに差は出るだろうとは思っていた。しかしHDMIでテレビにデジタル入力しているわけだし、正直2Kでは大した差が出ないだろうと高をくくっていただけに意外だった。

 これは普通のBD再生でも、録画した番組(TSファイル)をネット経由で再生した場合でも同じ。映像の甘さが消えてクッキリする。色合いも鮮やか(というよりも、深くて豊か)になる。紙に印刷した画像を透明なクリアファイルに入れるとつるんと鮮やかに見えるが、その感じに似ている。階調の滑らかさやコントラスト表現に違いがあるのだろう。

 比べたのは1TBのHDDを積んだ2~3年前のBDレコーダーで、価格で言うと8万円ぐらいの機種。それなりのクオリティーは持っているはずだし、画質に不満を感じたことも特になかった。暗い部屋で厳密に比較したわけではなく、居間のテレビにつないでちょっと見ただけでも意識できる差であった。この差を知ると見慣れたソフトを急にいろいろと再生して確認したくなってくる。実写映画をより高画質に楽しめるのはもちろんだが、もともとビットレートが低いテレビアニメの録画ではより効果があるように思えた。

高級な単品オーディオ機に匹敵する音の良さと機能

 もうひとつ(そしてより重視しているのが)いま使っている単品のCDプレーヤーやSACDプレーヤーを置き換えても、十分に満足できる音質が手に入るという点だ。ESS9038PROはすでに述べたように非常に高音質なDACチップで、対応するフォーマットも最高レベルに幅広い。UDP-205は筐体のつくりや電源部、ディスクの読み取り精度にも配慮されている。つまり音楽再生機としてのクオリティーも非常に高い機種というわけだ。

UDP-205の内部

 ストリーミングやハイレゾの時代になり、今後パッケージメディアを買う機会は減っていくと思うが、いまだに自宅には1000枚以上のCDがある。そのうちの100枚程度はSACDだ。こういったディスクを将来にわたって高音質に再生できる環境は維持していきたいと思っている。

 またこれ以外にも、パソコンには購入したハイレゾ音源がたまっている。過去にCDからリッピングしたApple Lossless/FLAC/AAC/MP3などのデータもあり、パソコンやNASに保存している。最新の曲はまず「Spotify」や「LINE MUSIC」などのストリーミングサービスで聴くが、ロスレスでストリーミング配信する「Deezer HiFi」のサービスも国内で始まったばかりで興味津々だ。世の中にはマルチチャンネルのハイレゾ音源なども存在するので、今後の希望としては、その再生環境も手に入れたい。

Deezer HiFi

 こういった音源はできれば単品で組んだ2chのHi-Fiシステムでじっくりと聴きたいもの。そのために今まではSACD/CD再生用のSACDプレーヤー、パソコン再生用のUSB DACやヘッドフォンアンプ、さらにはネットワークプレーヤーなど、目的に応じた機器を別々に用意してきた。しかしUDP-205があれば、その両方の品質を落とさずに1台にまとめられる。これらが一気に解決するわけだ。

 UDP-205の背面にはビデオ用とは別系統のオーディオ専用HDMI端子がある。RCA端子に加えて、すでに紹介したようにHi-Fiシステムと接続するためのXLR端子も持つ。さらに7.1chのアナログ出力まで持つので、AVアンプとデジタル接続で接続するだけでなく、映像信号を扱わない、アナログアンプと組み合わせてサラウンド再生を楽しむこともできる。

 市場にはLINNのDSMシリーズのようにHDMI入力を持つが音楽再生に特化した製品がある。またSACDの中には5.1chサラウンドのトラックが含まれているものがある。純粋に音楽用のサラウンド再生も楽しみやすいだろう。マルチチャンネルのアナログ出力時は、低音だけをサブウーファーに振り分けるといったこともできるので、ステレオアンプと組み合わせ、2.1chや4.1chなどミニマムなサラウンドシステムを組んでみるのも面白い。

太くてダイナミックな再生音、アプリ操作も使いやすい

 もともとUDP-205に関心を持ったのは、豊富な音楽再生機能だ。そこで詳しく聴いてみることにした。特に関心を持っていたのは、ディスク再生機能。自宅には2chのオーディオシステムがあり、音楽ディスクもそこそこの枚数所有している。テレビを中心とした映像の環境とうまく連携できると嬉しいと思っていた。

 またUDP-205はヘッドフォンアンプも内蔵しており、構成としてはポータブルタイプの「HA-2SE」相当とのこと。さらに電源部や上流のDACやアナログ回路の質などもあり、プレーヤー内蔵型のヘッドフォンアンプとしてはなかなか高い性能となっている。深夜や集中して作業したい場合、ヘッドフォンを利用したいと思うケースはある。UDP-205の場合は最新のハイレゾ環境への対応も十分だし、同軸/光デジタル入力を使い、テレビやゲーム機の音も高音質に楽しむこともできる。

豊富なデジタル入力端子を備える

 まず音の傾向なのだが、同じOPPOの「Sonica DAC」を聴いた時にも思ったのだが、情報量が豊富で緻密なサウンドが印象的だ。バランスとしては、低域の支えがしっかりとしており、太いというか、ダイナミックな印象のある表現。その上に滑らかですっきりとしたボーカルなどの中音域が乗るノイズが少なく弱音と強音の対比が明確なので、演奏の表情だったり、残響の表現などが的確に伝わってくる印象だ。

 試しにと手持ちのディスクを掛けてみた。ヒラリー・ハーンの『メンデルスゾーン協奏曲 ホ短調』(SACD盤、オスロ・フィルハーモニー管弦楽団、ヒュー・ウルフ指揮)ではバイオリンのハッキリとした輪郭の表現なども優れているのだけれど、曲の所々で入る足音のようなステージ上のノイズも明確に拾っていてすごく臨場感を感じる。スピーカーだけでなく、インピーダンスが300Ωと高いゼンハイザーの「HD800」と組み合わせて聴いてみた。ヘッドフォンアンプには余裕感があって、ドライブ能力でも問題ない感じだ。

 オーディオの出力形式をオートで選ぶとトラックタイプがPCMになってしまうようなのだが、DSDに指定することもできる。音調も変わる。PCMはすっきりと整った感じなのだが、DSDにすると少しウォームになって、残響成分などがよりリアルに。空間の広がりや音の生々しさを感じるようになった。

 こういった細かな設定は基本画面を見ながらとなる。オーディオ再生機としてみた場合は、リモコン等でダイレクトに再生できたほうがいいと思ったが、OPPOは「Media Control」というUDP-20X用のリモコンアプリを用意していて、テレビに接続しなくても設定変更が可能だ。なかなか考えられていると思った。またリモコンにある「PURE AUDIO」モードボタンを押すと、ワンタッチで映像出力など不要な機能をオフにできる。

 マリンバ演奏の『kuniko plays reich』(SACD盤)は、複雑な響きが絡み合って再生がなかなか難しいアルバムでもあるが、7種類の「フィルター特性」の変更機能がある。ここがなかなか役立った。ちなみに外部機器との接続に関しては「可変」「固定」が選べ、パワーアンプなどの直結もできそうだ。試せていないのだが、バランス接続可能なものでも20万円程度で買えるパワーアンプがあるし、こういったものとスピーカーを組み合わせてミニマムに使ってみるのも面白いかもしれない。

 音質面では好みもあると思うが、クオリティーは十分高く、10~20万円程度で売られている中級クラスのHi-Fi向けSACDプレーヤーと比べてもそんなに不満なく使えそうな気がする。一方でUDP-205が1台あれば、ネットワーク再生からUSB DACまですべてこなせてしまうわけで、より利便性が高まる点は言うまでもない。

 堅牢性や質感が高いフルサイズの筐体ということもあり、ほかのコンポと同じラックに収納しても違和感がない。端子類もしっかりとしており、太めのケーブルを差しても問題ないよう間隔が広く取られている。所有感という意味では見た目も重要だが、満足度も十分に高い仕上がりだ。

 ちなみにこのうち特に注目したいのがネットワーク機能だ。UPnP経由でNAS(メディアサーバー)に保存した音源が再生できる。筆者としてはLANあるいはインターネット上にある音源と連携も視野に入れた架け橋的な存在としてUDP-205に期待している。再生するメディアや欲しい機能に合わせて機器を買い足し、置き場に困っている筆者のような人間には1ボディーに収まるメリットは非常に高い。

 定額ストリーミングサービスについても、いまのところ320kbps程度までが主流だが、今後はCD並みの品質のロスレス配信に進化していくはずだ。国内でも3600万曲以上が登録された「Deezer HiFi」のサービスが上陸したところだが、こういったサービスもパソコンと接続し、USB DACとして利用することで高音質な再生ができる。

 またカメラコネクションキットを使って、iPhoneやiPadからデジタル出力してしまう方法もある。mora playerなど無料で配布されているハイレゾ再生アプリを使えばiPhone/iPadに保存したファイルを簡単にUDP-205に出力できるし、スマホ・タブレット上のアプリで再生したSpotifyなどのストリーミングサービスやネットラジオなどを手軽に高音質に聴く際にも便利だ。

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