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T教授の「戦略的衝動買い」 第460回

鍵をなくしても大丈夫 指紋認証で開く南京錠「TouchLock」を衝動買い

2017年12月13日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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TouchLockは指紋認証で開錠するコンパクトな南京錠だ

TouchLockは指紋認証で開錠するコンパクトな南京錠だ

 BIO-key International(以下バイオキー、アメリカ合衆国ニュージャージー州)は、「バイオメトリクス(生体認証)」技術を用いたソフトウェアとハードウェアの連携によるセキュリティー・ソリューション企業だ。

 同社がよりコンシューマーにも分かりやすいソリューションプロダクトとして2017年のCESでお披露目した「TouchLock」(タッチロック)を日本国内でも代理店を通して販売開始した。

 筆者はグローバルなクラウドファンディングの一般的理解とは多少異なる“なんちゃってクラウドファンディング”の「Makuake」を通して先行販売されていたTouchLockを11月に予約した。

 今現在TouchLockは、すでに秋葉原の店頭でも在庫販売されており、誰もが購入できる商品だ。

簡便さという点において指紋認証錠は優秀

筆者の感覚は、錠前と言えば原発施設にも使われている鉄壁の「ABROY(アブロイ)」だ

筆者の感覚は、錠前と言えば原発施設にも使われている鉄壁の「ABROY(アブロイ)」だ。ドリルやのこぎりにも耐えられるとのこと

 筆者はとりわけ南京錠に興味があるわけではないが、メカニカルな観点から錠前には昔から極めて強い興味をいだいている。

 本来、錠前は人によって異なる大事なモノを外敵から絶対的に守るためのモノだ。それゆえ、メカニカルかつシンプルな構造で自然環境条件の変化や外的な人的圧力にも対抗でき、絶対に破壊されないモノを目指して開発製造されたモノに魅力を感じてしまう。

 そんなイメージを持っている筆者には、軍事施設や発電所などでも活躍しているフィンランド製の「ABROY(アブロイ)」が最高にクールな錠前のイメージなのだ。

 とは言え、自転車やトランクルームの安全錠にアブロイは超過剰防衛のやり過ぎであることは誰の目にも明らかだ。

 錠前は、人が守るべき主観的価値と、それを盗ろうとする輩との両者のテンション度の少し上をイクぐらいが丁度いいのかもしれない。

 そして、どれだけマスターキーのシステマチックな構造と連携があっても、南京錠の場合、鍵を忘れたりなくしたりした場合にその時即座に困るのはほかでもない当人だ。

 そういう状況で便利なのは、物理的な鍵の用意の要らないナンバーロックキーだろう。

 一方、流行の指紋認証によるアンロック(開錠)は極めてスピーディで便利なので、昨今は多くのスマホにも採用されている。

 しかし、指紋認証できる指の追加や変更にはまだまだ4桁のパスコードを必要とするケースが一般的だ。どうも残念ながら世間で通用するセキュリティーの見方は現状の指紋認証テクノロジーより4桁のパスコードの方が信頼性は高いと考えているようにも思える。

キー(鍵)で開ける鉄板錠のタフさか、指先の指紋で開ける容易さか、それは守るものによるだろう

キー(鍵)で開ける鉄板錠のタフさか、指先の指紋で開ける容易さか、それは守るものによるだろう

 とはいえ、簡便さという点においては指紋認証に軍配が上がりそうだ。セキュリティーは極めて大事、しかし、簡便さによるユーザーの使用可能度を上げるためのUIハードルの低さも程度の問題はあるとしても極めて大事……というのが今現在の結論だろうか。

 そんな複雑な時代背景を横目で眺めながら、パソコンでのユーザー認証で実績を積んできたバイオメトリック技術を搭載した「PadLock」(南京錠)が出るべくして登場してきた。

 鍵をなくしても開錠できるナンバーロックキーは素晴らしい発想ではあるが、モノを忘れるのが必定の人間なので、うっかりするとたった3桁や4桁の番号でも置かれた環境によって忘れてしまう危険性や混乱はないとは言えない。

 また、その人をよく知る関係者なら、普段の生活様式から、4桁の番号を簡単に推測できてしまうかもしれない。

 ナンバーロックキーには、当事者と社会との関係性や属性という落とし穴であり、他人にとってはヒントとなることが多いのも事実だろう。

 さてそんな時代にTouchLockが登場した。おそらく、セキュリティーを憂う現代の社会環境と、開錠する鍵を失くすことへの不安、4桁の数字さえ忘れそうな忙しい自分の記憶力に対する不安、IoTとバイオメトリクスの流行。

 これらの社会変化と現代人の好奇心が重なり、ついに指紋認証南京錠のTouchLockに行き着いたのかもしれない。\(^o^)/ 

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