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企業の「データ主導型」「イノベーション」実現を支援、「Oracle CloudWorld Tokyo 2017」基調講演

日本オラクルCEO、顧客視点の徹底でベストパートナー目指す

2017年12月08日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本オラクルは12月7日、プライベートイベント「Oracle CloudWorld Tokyo 2017」を開催した。基調講演では同社 取締役 執行役CEOのフランク・オーバーマイヤー氏が登壇し、就任後半年間の“学び”と今後のフォーカス、そして新しいスローガンを発表した。

「Oracle CloudWorld Tokyo 2017」基調講演に登壇した、日本オラクル 取締役 執行役CEOのフランク・オーバーマイヤー氏

 さらに後半では、NTTコムウェア、楽天カード、三菱電機、サッポログループマネジメントの各社が顧客企業として登壇し、オラクルが実現する6パターンのクラウド移行モデル=“クラウドジャーニー”のそれぞれに沿った事例を紹介した。

「データ主導型」「イノベーション」2つのイネーブラとしてのオラクル

 今年6月から日本オラクルのCEOを務めるオーバーマイヤー氏は、就任以後の半年間に100社以上の国内顧客企業を訪問し、「労働人口減少」や「ビジネスのグローバル化」といった日本市場/日本企業特有の課題、さらにオラクルに対する顧客の評価や期待、競合他社とのポジショニングなどについて理解を深めてきたと振り返る。

 顧客の課題をふまえたうえで「オラクルは、日本の顧客にとって現在、または将来的なビジネスパートナーになり得ているか」と自問する。「答えは明らかに“YES”だ」。その理由としてオーバーマイヤー氏は、オラクルが提供するサービスには「2つの領域」で優位性があるからだと説明した。

 1つめの領域は、「データ主導型企業の実現(イネーブルメント)」だ。多くの顧客がデータを活用したビジネスを推進したいと考えているが、ほとんどの場合はまだ大量のデータを「管理」する段階にとどまっており、活用は限定的だとオーバーマイヤー氏は指摘する。データ主導型ビジネスを実現するには、自社データだけでなく外部データも「取得」して組み合わせること、人工知能やアルゴリズムをアプリケーションに組み込み、従来と抜本的に違うかたちで「適用」することも必要だと説明した。

 「データの管理/取得/適用について十分な知識がある企業は、世界中でオラクルしかいない。ラリー・エリソンが40年前に設立し、常にデータのことを考え続けてきた企業だ。現在では4000人の技術者、年間50億ドルの資金を研究開発に投じている。顧客企業が、どうやってビジネスをデータ主導型に変えていくのかを相談するならば、オラクル以上に良い相談相手はいない。統合的な視点を提供できる、適切なパートナーとして選んでいただけると考えている」(オーバーマイヤー氏)

データ主導型の企業/ビジネスを実現していくためのステップ

 もうひとつ、オラクルが優位性を持つのが「イノベーションの実現」だという。オーバーマイヤー氏は、企業のイノベーションには管理(組織)やプラットフォーム/エコシステムから、事業戦略、製品、業務まで、幅広い段階が存在するが、いずれにしてもイノベーションを起こすためには3つの要素が必要だと説明する。「継続的努力」「マインドセット」「機能」の3つだ。

 「イノベーションを起こすための継続的な努力、マインドセットの育成については、われわれがどうこうできるものではなく、皆さん自身が社内で行わなければならない。しかし、機能については、パートナーであるオラクルがお手伝いできる部分だ」(オーバーマイヤー氏)

イノベーションを起こすために必要な3つの要素

 その具体的な例として、IaaS/PaaS/SaaS/DaaS(DBaaS)までの包括的なクラウドプラットフォームに加えて、そこに統合された「イノベーションのツールボックスを提供」していると語る。人工知能(AI)やブロックチェーン、IoTの機能、そして10月の「Oracle Open World」で発表した“自律型”データベースの「Oracle 18c Autonomous Database」を例に挙げた。

 「スティーブ・ジョブズの言葉は、イノベーションやアイデアといったものを一言で的確に言い表している。いくらすばらしいアイデアがあったとしても、それは『実行しなければ価値がない』。アイデアを現実化すること、つまりプロダクトとして市場に投入し、そこに人材を展開し、自動化を実現し、セールスをリスケールすること。それこそが求められている『実行』であり、オラクルはパートナーとして皆さんの『実行』をお手伝いしたい」(オーバーマイヤー氏)

「私にとって、アイデアは実行しなければ価値がない。単なる道具にしか過ぎない。本当に価値があるのは実行することだ。」(スティーブ・ジョブズ)

新しいスローガンは「Beyond Your Cloud >commit;」

 こうした話を総括して、オーバーマイヤー氏は、これからの日本オラクルがフォーカスしていく4つの領域を示した。前出の「データ」と「イノベーション」に加えて、特にクラウド領域における「専門性」と、顧客企業やそのビジネスに対する「知識」だ。

 「(従来の)皆さんからのオラクルに対する信頼は、データベース領域における専門性に対して与えられたものだ。データベース領域において、これほどベストなパートナーは日本でほかにいないと(顧客は)確信してくださっている。したがって、われわれはクラウドの領域においても同じレベルの専門性や知識を達成しなければならない。それが達成できれば、オラクルはクラウド領域でも顧客のベストパートナーになれる」

 「オラクル従業員に対しては、顧客企業に対する知識、さらには顧客企業自身が自らの現状を理解する支援をするための知識を身につけるよう指示している。それでこそ長期的なパートナーシップを築くことができる」(オーバーマイヤー氏)

 なお、オーバーマイヤー氏は講演の最後に、前CEOの杉原博茂氏(10月末で取締役を退任)が掲げてきた“POCO(The Power Of Cloud by Oracle)”に代わる、新しいスローガン「Beyond Your Cloud >commit;」を示した。これまでのPOCOや「クラウドNO.1」といったオラクル視点の言葉とは違い、顧客を中心に据えて考えた言葉だという。

新しいスローガン。末尾の「commit」はSQLコマンドにちなむ

 「現在、クラウドがさまざまな分野におけるイネーブラーとなっている。だが、ここで『Beyond Your Cloud(クラウドを超えて)』と言っているのは、皆さんが変革を遂げるにあたっては『クラウド以降』のことも考えなければいけないという意味だ。そしてSQLのcommitコマンドは、入力すると(SQL文に)書いたとおりのことを『実行』してくれる。つまり日本オラクルは、皆さんがクラウドを超えていくBeyond Your Cloudにcommitする」(オーバーマイヤー氏)

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