今回紹介するのは砂漠の一本道をひたすら走っていくドライブシミュレーション「Desert Bus VR」だ。このゲームは1995年にリリースされる予定だった「Penn & Teller's Smoke and Mirrors」に収録されていた「Desert Bus」をVR化した作品である。Desert Busは未発売であるにもかかわらず、独特のゲーム内容から非常に人気がある作品であり、スマートフォンアプリもリリースされている。果たしてそのゲーム内容とはどういったものなのか見ていこう。
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プレイヤーはバスの運転手となり、砂漠の一本道を走っていく。米国アリゾナ州からネバダ州のラスベガスまで移動するのが目的だ。ワープなどのシステムは搭載されておらず、数百kmの道のりをほぼ法定速度で走らなくてはいけない。原作のDesert Busでは目的地に到着するまで実時間で8時間もかかったが、本作もそれにのっとり、じっとハンドルを握り、ひたすら運転していくという内容になっている。
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本作には「まっすぐな道だし、アクセルさえ踏んでいれば放置しても大丈夫!」などという甘い考えを打ち砕く運転システムが搭載されている。まずハンドルを握っていないとアクセルがかからず、前に進まない。さらにハンドルを握っていたとしてもバスはまっすぐに進まず徐々に車線を外れてゆくため、適切にハンドルを切っていく必要がある。原作と同じくコースアウトするとスタート地点まで“進んだ時間と同じだけ時間をかけて”戻されてしまう。
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ただし全てが原作通りというわけではなく、新たなギミックも搭載されている。キーホルダーやバスの扉を開けるレバー、ラジオやパンフレットなどに触れるようになっているのもそのひとつ。原作では本当にバスを運転する以外何もなかったので、一種の救済策と言えなくもない。ただし普通の人であれば数分で飽きる程度の要素なので、それらで気晴らしをするには心の鍛錬が必要と言える。
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暇つぶしには心もとないギミックよりもうれしい要素として、このゲームにはオンラインマルチプレーモードが搭載されている。仲間がいればゴールまでの時間などすぐに経過してしまうはずだ。もっとも、ゲーム内では手を振ることや会話くらいしかできないため、どれほど暇つぶしになるかは疑問だが。
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バスに乗り込む前の停留所ではチケットを取り、バスに乗り込むことになる。真ん中のフォルダーからチケットを取ると運転手として、右の赤いところからチケットを取ると乗客としてバスに乗りこめる。左側のホワイトボードには落書きができるが、ゲームとしての意味は特にない。
本作は原作をとても忠実に再現しており「最高に単調なゲーム」と呼ばれた作品の意思がそのまま受け継がれている。もはやゲームというよりただの作業でしかないのだが「むしろそれがいい」というユーザーもいるだろうか。ちなみに、本記事の執筆時にはまだ8時間の道のりを走破したプレイヤーは見つけられなかった。8時間連続でVR体験ができるという自信がある方はぜひともこれに挑戦してみてはいかがだろうか。
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