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太陽光発電買い取りに入札制度導入、初回が低調に終わった背景

2017年12月06日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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入札制度の導入は再エネ普及の足かせとなるのか、国民負担の軽減につながるのか Photo by Kosuke Oneda

 11月21日、大規模太陽光発電所(メガソーラー)設置の入札における第1回落札結果が公表された。今年4月の固定価格買い取り制度(FIT)改正に伴う日本初の試みで、入札対象は発電出力2メガワット以上の大型案件だ。従来、国が決めてきた買い取り価格に入札制度を導入するのはなぜか。

 2011年の福島第一原子力発電所事故で日本のエネルギー政策が見直される中、当時の民主党政権下で太陽光や風力などの再生可能エネルギー(再エネ)で発電した電気を40円/キロワット時で電力会社が買い取るFITの導入が決定。高い買い取り価格と参入障壁の低さから太陽光発電バブルともいうべき状況が生まれ、ぬれ手で粟の企業も続々と誕生した。

 ところが、買い取り費用は一般家庭や事業者が払う電気代に上乗せされる再エネ発電促進賦課金を原資としており、太陽光発電バブルで負担が急増した。賦課金は、電力使用量が月300キロワットの標準的な家庭で12年度は年間約790円だったが、17年度には約9500円に達し、批判が高まった。

 FITによる買い取り価格は17年度に21円/キロワット時まで下がったものの、「世界的に見ても日本のFIT価格はまだ高い。すでに10円/キロワット時を切った国も多い」(山崎琢矢・経済産業省資源エネルギー庁新エネルギー課課長)。そんな中、有識者を交えた調達価格等算定委員会が設置され、国が一方的にFIT価格を決めず、民間競争により国際水準に近づける施策を導入した結果行われたのが今回の入札だ。

低調に終わった入札

 入札は17~18年度で計3回実施される。第1回は最大500メガワットの募集にもかかわらず、141メガワットの採用にとどまった。FIT価格の下落に加えて、効率よく発電所を造れる土地が減り、かつてのように太陽光発電がぼろもうけできるビジネスではなくなったからだ。また適切な入札のため、5000円/キロワット(発電出力10メガワットなら5000万円)の保証金が課されたことも影響しているだろう。

 今年度の買い取り費用の総額は2.7兆円に上り、30年度には単年で3.7兆~4兆円になると政府は試算している。一方で総電力に占める再エネ比率は、FIT導入直前が10%だったのに対し、16年度には15%と5ポイントしか増えていない。

 政府は30年度の再エネ比率目標を22~24%に定めているが、電力中央研究所の試算によれば、同年度に買い取り総額は累計59兆円、そのうち賦課金は累計44兆円に達する見込みだ。山崎課長は「あと7~9%増やす一方で、これまで以上に負担を抑えなければならない」と、予算が限られた中で再エネを導入するジレンマを吐露する。国としてエネルギー政策をどうかじ取りしていくのかが問われている。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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