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両選手とアンバサダー契約、海外遠征時のコラボレーションやデータ分析をサポート

シスコ、卓球の石川佳純選手と張本智和選手の「戦い方改革」支援

2017年12月06日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 シスコシステムズ日本法人は12月5日、卓球の石川佳純選手、張本智和選手との「アスリートアンバサダー」契約を締結したと発表した。海外遠征の多いアスリートに対し、シスコが得意とするコミュニケーションやデータ分析のテクノロジーを提供することで「戦い方改革」を支援していく。

(左から)発表会に出席したシスコシステムズ 社長の鈴木みゆき氏、石川佳純選手、張本智和選手(ビデオコメント)、シスコ 専務執行役員の鈴木和洋氏

 同日の発表会には石川佳純選手、シスコシステムズ 代表取締役社長の鈴木みゆき氏、同社 専務執行役員 戦略ソリューション・事業開発 兼 東京2020オリンピック・パラリンピック推進本部 イノベーションセンター東京担当の鈴木和洋氏が出席。石川選手は「Cisco Spark」などのテクノロジーを使ったデモも披露した。

発表会では、打球のリアルタイム分析デモなどを石川選手が実演した

「スポーツにおける『新しい戦い方』の実現に貢献したい」

 発表会の冒頭、社長の鈴木みゆき氏は「テクノロジーがスポーツを変える、日本での新たな取り組みを発表できることにワクワクしている」と挨拶した。

 シスコ日本法人では、2020年に向けた事業テーマとして「All Connected. Anything Possible.(すべてがつながれば、何でも可能になる)」を掲げ、ネットワークを中核に据えながらも新たな事業領域への展開を進めている。鈴木みゆき氏は「産業のデジタル変革」「スマートシティ」「働き方改革」といった事業分野と並び、スポーツやコンサートの観客に新たな体験を提供する「スポーツ&エンタテインメント」分野の取り組みにも注力していると紹介する。

 今回、石川選手と張本選手をアスリートアンバサダーに起用した理由については、両選手が「世界を舞台に戦うワールドクラスのアスリート」であり、加えて卓球が「年齢や性別を問わず誰もが楽しめる、日本でも注目の高いスポーツ」だからだと説明した。

 同社 専務執行役員の鈴木和洋氏は、スポーツ&エンタテインメント分野におけるシスコの実績と、今回の具体的な取り組みを紹介した。

 シスコでは、グローバルですでに350以上のスタジアムやスポーツアリーナ、コンサート会場などにおいて、新たな観客体験を実現するソリューションを提供している。具体的には、セキュアかつ快適なWi-Fiシステム、フィールドカメラで撮影したライブ映像を大型スクリーンやサイネージ、観客のタブレットやスマートフォンに同時配信する「Cisco Vision」などを提供している。また、2016年のリオオリンピック/パラリンピックでは公式スポンサーとしてネットワークシステムを構築した実績も持つ。

 加えて、アスリートやチームの支援にも取り組んでいる。米国ではNBAバスケットボールチームやアメリカンフットボールチームなどに対し、選手のパフォーマンス分析やヘルスマネジメント(健康状態の管理)、さらに遠隔地間のコラボレーションへの支援を行っているという。「スポーツにおける『新しい戦い方』の実現に、ぜひ貢献したい」(鈴木和洋氏)。

 今回の発表では、今後、さまざまなスポーツデータの収集と分析、配信のビジネスを手がける日本のデータスタジアムと協力し、シスコのテクノロジーを組み合わせることで、アスリートに対する試合やトレーニングに対するデータ分析の提供や選手強化支援の可能性を模索していくとしている。

スポーツ&エンタテインメント分野では、ファン、アリーナ/スタジアム、アスリート/チームのそれぞれに「つなぐ」価値を提供していく

石川佳純選手「自分にとって新しい、大きな武器が増えた」

 今回の取り組みを通じて、シスコでは石川選手、張本選手にコラボレーションやデータ分析のテクノロジーを提供する。発表会では2つのデモが、石川選手による実演を交えながら披露された。

 1つめはCisco Sparkを使った、遠隔地にいるコーチ(母親の石川久美さん)とのコラボレーションだ。「Cisco Spark Board」を使って、練習の撮影動画を双方で共有しながらビデオ会議を行い、静止させた動画にデジタルペンで理想的な打球のコースを書き込み、コーチがアドバイスするという一連のやり取りが実演された。

 海外遠征の機会も多い石川選手は、こうしたコラボレーションツールを通じて、世界中のどこにいても「コーチと密にコミュニケーションが取れることに期待している」とコメント。特に卓球という競技では打球の「コース取り」が重要であり、「コーチと離れていてもそれが共有、相談できるのがすごくありがたいなと思います」と語った。

Sparkを通じて遠隔地にいるコーチとビデオ会議、練習のビデオを共有してアドバイスを受ける

 もう1つのデモは、データスタジアム社の協力による打球のトラッキングシステムと、データの可視化だ。石川選手がラリーを始めると、打球のコース/スピード/角度/スピンといったデータがリアルタイムに分析、可視化され、Sparkを通じてコーチにも情報共有される。このデータに基づいてパフォーマンスを分析し、選手本人やコーチが戦略を立てるという筋書きだ。

 ちなみにこのトラッキングシステムでは、リアルタイム映像だけでなく過去の映像もデータ分析が可能だという。シスコの鈴木和洋氏は「対戦相手のクセやコース取りなどを分析することで、より効果的なトレーニングプランや試合対策が立てられる」と説明する。

 石川選手は「打っているコースや深さ、スピードがリアルタイムにわかるというのはびっくりしました」と語り、これまでの映像分析では感覚的に「なんとなく」理解していたものが、具体的な数字として示されることで自身のレベルアップに大きくつながるだろうと語った。

トラッキングシステムによる打球データのリアルタイム可視化。この情報も遠隔にいるコーチと共有できる

 「(披露したデモのように)離れた場所にいても、何のストレスもなくコースの研究もできる。対戦相手が決まって、すぐに相手の情報を調べ、コーチと一緒に対策を始めることができます。自分にとって新しい、大きな武器が増えたと思います」(石川選手)

石川選手、最後はデジタルペンでCisco Spark Boardにサイン

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