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東芝が新生プラン抜本見直し、「劇薬増資」で背負った難題

2017年12月05日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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エレベーターなど「新生東芝」の主力製品を開発する府中事業所には、社員を鼓舞する看板がある Photo by Hirobumi Senbongi

 東芝が2018年中に自社の再生プランを改定することが分かった。稼ぎ頭だった半導体メモリー事業売却後に残る「新生東芝」の存続に向けて、具体策を打ち出せるかが焦点となる。

 東芝は不正会計が発覚した15年、再生策として「新生東芝アクションプラン」を発表。17年3月に修正版を示したが、「踏み込み不足で新たな稼ぎ頭がない」(主力取引銀行幹部)との声が上がっていた。

 東芝が2度目の再生プラン改定に踏み切るきっかけとなったのが、12月5日に実施する6000億円の増資だ。これにより2期連続の債務超過を回避し、上場を維持できるめどが付いた。

 だが、この増資は劇薬だ。

 資本増強は、特定の投資家に新株を割り当てる第三者割当増資で行い、ヘッジファンドを中心に海外60社が参加する。増資後は旧村上ファンド出身者が設立したシンガポールの投資ファンド、エフィッシモ・キャピタル・マネージメントが筆頭株主になるなど、「物言う株主」の発言力が高まる。

 東芝はすでに半導体メモリー、テレビなどの事業売却を決めたが、さらに、パソコン事業の売却も検討している。しかし、リストラはこれで終わらない。物言う株主の圧力によって、構造改革が加速することはもはや既定路線だ。

 前出とは別の東芝の主力取引銀行幹部によれば、(1)火力・原子力の発電機器を扱う東芝のエネルギー事業やコーポレート部門の人員削減、(2)半導体メモリー売却後に残った半導体事業からの撤退──などが検討されているという。

 そして東芝にとって本当の難問といえるのが、物言う株主が求める「株価が上がる成長戦略」を描くことだ。

 増資前は「営業利益率3~4%でも2年ほどは許容範囲として、その間にインフラ事業などで稼ぎ頭を育ててもらう腹積もりだったが、そうも言っていられなくなった」(同幹部)。すでにファンドなどから圧力がかかっているという。

ばら色の未来は描けない

 ところが、東芝と物言う株主にはかなり温度差がある。

 東芝幹部は新たな再生プランについて「早く出せと言われても時間がかかる。IoT(モノのインターネット)を突破口にしたいが、利益率が急上昇するような事業は残っていない」とぼやく。

 別の東芝関係者は「エフィッシモでも保有比率は11%にすぎない。この程度では株主総会を動かすのは困難だ」とファンドの影響力を小さく見積もる。だが、株価上昇はファンドの共通目標。複数の物言う株主が結束する可能性は高い。

 ただでさえ、IoTによるソリューションビジネスは競争が激化しており、東芝が描く成長ビジョンが実現するかは不透明だ。さらなる解体か復活か──。東芝の分かれ道はすでに目前に迫っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 千本木啓文)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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