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トヨタ、異例の役員人事で「お友達内閣」発足の裏事情

2017年12月04日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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トヨタの豊田章男社長は役員人事を含めた体制変更に「大変革の時代にトヨタグループとして立ち向かっていくという意志を込めた」と語るが、グループ力の結集は果たせるか Photo:REUTERS/アフロ

「豊田章男社長の強さと弱さが垣間見える人事だ」。トヨタ自動車が11月28日に発表した役員人事について、関係者はそんな見方を示す。

 役員人事は来年1月1日付で、従来より3カ月前倒しし、副社長を4人から6人に増やして現場を直接指揮する体制に改めるなど、あらゆる点で異例ずくめといえる。中でもトヨタ内外を驚かせたのが外部人材の大胆な登用だ。

 まずはトヨタの常務役員に就く三井住友銀行常務執行役員の福留朗裕氏(54)。「販売金融事業を強化したい」。そんなトヨタの強い意向を受け、三井住友銀行から送り込まれる人物だ。

 福留氏は、証券会社など金融法人への営業を担当。その専門性を生かし、トヨタの販売金融事業を統括する。旧三井銀行入行組で、名古屋営業本部でトヨタ担当を務めるなど、関係の深さが人選の決め手となった。

 さらにグループ会社である豊田通商からは、執行役員として初めて今井斗志光氏(52)がトヨタの常務役員に抜てきされた。アフリカ駐在歴の長い今井氏に巨大新興市場の開拓を委ね、販売拡大をもくろむ。

 こうした人事から読み取れるのは、現場に精通したスペシャリストを社内外問わず抜てきし、意思決定のスピードアップを図ろうという試みだ。

 電動化や自動化などの技術が急速に進化する業界激変期。判断の遅れは、トヨタといえども命取りになりかねない。「『生きるか死ぬか』という瀬戸際の戦いが始まっている」。豊田社長の言葉には、人事を通して社内に意識変革を迫る強い意志がにじむ。

「フェアな人事か」不満も

 だがその一方で、組織中枢を豊田社長の側近中の側近で固めた人事に疑問の声も上がる。

 関係者の間で“お友達人事”とやゆされるのが、トヨタ相談役でデンソー副会長の小林耕士氏(69)が副社長に就任することだ。

 小林氏は豊田社長のかつての上司。その信任は厚く、「社長が国内外の要人と会う際は必ずといっていいほど同席する」(トヨタ社員)という。

 2003年にデンソーへ移り、トヨタをいったん離れた小林氏。高齢ながらもトヨタに出戻り、最高財務責任者(CFO)という要職を担う人事は極めて異例。また同じく副社長に昇進する、専務役員の友山茂樹氏(59)も豊田社長に長く仕える“忠臣”だ。

 2人の副社長就任についてトヨタは「実績と経験を踏まえた適材適所の配置」と説明する。だが、社内からは「フェアな人事が行われているのか」といった声も漏れ聞こえる。

 いくら外部人材の登用を拡大しても、組織の要には気心の知れた“身内”を配置せざるを得ないところが、創業家出身社長の「弱さ」の表れか。だが“身内びいき”とも受け取られる人事をしてしまえば、それこそ組織の“生死”に関わる求心力低下につながりかねないことも意識すべきだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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