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買収されるくらいなら「する側」に、日本ペイントの挑戦は無謀か

2017年12月02日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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2017年3月に完全子会社化した米ダン・エドワーズ(1925年創業)は、米南西部を中心に130の直営店舗を展開する。建築用塗料に強い 写真提供:日本ペイントホールディングス

 11月21日、世界4位の総合塗料メーカーの日本ペイントホールディングス(大阪府)が、同6位で自動車用塗料に強い米アクサルタ・コーティング・システムズの買収に乗り出していたことが英ロイターの報道で明らかになった。

 アクサルタの時価総額は約9200億円。日本ペイントは、翌22日に「報道されている会社に対して提案を行ったことは事実ですが、当該提案に対し両社間が合意に至るとの確約はありません」と正直なコメントを発表した。

 近年、世界の塗料業界では国境を超えた“陣取り合戦”がヒートアップしている。競争の構図は、売上高1兆円を超すジャイアント企業である蘭アクゾ・ノーベル、米シャーウィン・ウィリアムズ、米PPGインダストリーズが第1グループを形成している。その次に、売上高5000億円前後の企業群が第2グループを形成する。

 日本ペイントは、世界最大手のアクゾ・ノーベルが第2グループに属すアクサルタと進めていた買収話が頓挫しそうな雲行きを見て、すかさずアクサルタに提案(内容は非公表)を持ち掛けたのである。

 2015年4月に就任した田堂哲志社長は、かねて「グローバル・ペイント・メジャーになる」と訴えてきた。これは将来的に第1グループに入るという意味だったが、ようやく本当に動いたのだ。

失敗する可能性もある

 アクサルタに対する提案内容がどのようなものであれ、プレミアムを乗せねばならず、完全子会社化する場合は1兆円を超える資金を用意しなければならない。となれば、すでにメーンバンクの三井住友銀行の協力を取り付けているはずだが、懸念の声もある。

 あるアナリストは、このように解説する。「06年に企業規模が2倍近かった英ピルキントンを買収した後で金利の返済に苦しんだ日本板硝子のように、成長どころではなくなるのではないか」。

 今回、日本ペイントが無謀ともいえる動きに出た背景には、固有の事情がある。「中国市場で首位、すなわちアジアで首位なので、常に欧米の塗料メーカーから狙われている」(幹部)のである。

 買収されるくらいなら、自らが買収に打って出る──。日本ペイントは、17年3月に推定700億円で米ダン・エドワーズを買収し、“アジア一本足打法”からは脱却した。規模は桁違いだが、アクサルタは2番目の挑戦となる。

 とはいえ、今回の買収提案は、失敗する可能性もある。アクサルタは、元は米デュポンの塗料部門で、現在の筆頭株主は著名な投資家のウォーレン・バフェット氏が率いるファンド(バークシャー・ハサウェイ)なのだ。難しい交渉になることは間違いない。

 今回の買収に成功すれば、業界の第1グループに入り、失敗すれば買収される側に回る。どちらに転んでも茨(いばら)の道である。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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