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生保が手数料見直しで「乗り合い代理店」に淘汰の波

2017年11月29日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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金融庁は「金融レポート」の中でも乗り合い代理店への手数料の「質」に問題があると指摘してきた Photo by Masaki Nakamura

 複数の保険会社の商品を販売する乗り合い代理店。その手数料体系をめぐって、生命保険各社と監督当局の金融庁との間で続けてきた協議がついに決着した。

 11月15日、生保各社の企画部門の担当者が集う業務企画部会が、手数料体系を“見直す”ことを金融庁に明示したのだ。

 各社が「特に留意を要するべきもの」という表現で取り上げた手数料・報酬関連の見直し項目は、(1)特定商品の集中的な販売を代理店に促す手数料の上乗せキャンペーン、(2)販売量に過度に偏重した手数料の上乗せ措置、(3)代理店スタッフに対する表彰や研修と称した宿泊旅行の提供行為──など全部で七つある。

 宿泊旅行については、一部の外資系生保が海外から国内に切り替えるという小手先の対応をしていたことから、提示文書の中にわざわざ「国内で実施する場合も含めて」と書き込むなど、抜け穴を徹底的になくそうという意図が随所に垣間見える。

 見直し項目の中でも、今後の乗り合い代理店の経営を左右しかねないのが、「マーケティングコスト」として保険会社が金銭を支払う行為だ。

 乗り合い代理店を主な販売チャネルとしている一部の生保は、契約獲得ごとに支払う販売手数料とは別に、「業務委託費」「広告費」「協賛金」「支援金」といった名目で継続的に金銭を支給している。

 乗り合い代理店側もスタッフの採用費や通信費に充てるためとしているが、実際にはその使途を保険会社が確認していないケースが散見されるのが現状だ。

 つまり名目はどうであれ、そうした金銭の支給も実質的な「手数料」として機能しており、実態が見えにくい分、販売競争の裏側で肥大化していたわけだ。

留意という名の義務

 手数料をはじめそうした費用の原資は契約者が支払う保険料だ。そのため「顧客本位」を掲げる金融庁がかねて問題視しており、生保業界としてもその“病巣”にメスを入れざるを得なくなったというのが実態に近い。

 提示文書の表現はあくまで「留意」のため、強制力があるわけではない。ただ、お上の意向に永遠に盾突いていられるはずもなく、マーケティングコストを含めたかたちで手数料の実額を増やすというような抜け駆け行為も、もはや許されない雰囲気だ。

 そのため、今後保険会社から乗り合い代理店に流れる金銭の総額は減少することが必至だろう。

 乗り合い代理店には、そうした保険会社からの「ミルク補給」を前提にして経営している側面が少なからずある。大手3社で店舗数が1000を大きく超えるなど、これまで急成長を遂げてきた乗り合い代理店に、今後強烈な淘汰の波が押し寄せることになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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