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突発性難聴に年3~4万人、「普通の人」も襲う病気の厄介な実態

2017年11月21日 06時00分更新

文● 真島加代(ダイヤモンド・オンライン

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ある日突然、聴力が奪われる突発性難聴――。このところ、ミュージシャンなどの著名人が発症して話題になっているが、実は誰にでも発症する可能性のある病だという。突発性難聴の症状や原因について専門医に聞いた。(取材・文/清談社 真島加代)

年間3~4万人が発症
突発性難聴は身近な病気

ミュージシャンがなる病、というイメージを持つ人も多い突発性難聴だが、実は40~50代のビジネスマンも多く発症している。治療の開始時期が早いほど、完治の確率が上がる病でもある

 今年6月、突発性難聴を発症し、入院が報じられた人気デュオ・KinKi Kidsの堂本剛(38)。退院後に出演したラジオで発症時の状況を告白したこともあって話題となったが、そもそも、突発性難聴とはどのような病なのか?

「片耳、もしくは両耳が突然聞こえにくくなるのが突発性難聴の主な症状です。そのため、発症したほとんどの人が、いつ、どこで耳が聞こえにくくなったか、という質問に答えられるのも特徴です。また、聞こえにくさと同時に、激しい耳鳴りやめまい、吐き気を訴える方もいます」

 こう語るのは、エムズクリニック白金の三塚沙希院長。とくに、めまいや吐き気などの症状が強く出る患者は入院を余儀なくされることもあるという。

「ただ、めまいや吐き気などは、必ず出る症状ではありません。30~50dB前後の音が聞こえない場合は、耳鼻咽喉科での通院治療となりますが、60~70、80dBの音が聞こえない患者さんには大きな病院への入院を勧めています」(三塚院長)

 50dB前後の音とは、1mの距離で話した大きな声が聞き取れる程度の音量だ。

 さらに吐き気を伴うような重度の突発性難聴を発症すると、耳鼻咽喉科疾患のなかでも治療が難しいといわれている。この病気の原因とは?

「突発性難聴は、一般的にストレスや精神的な負荷がかかったときになりやすいといわれています。しかし、そのほかにもウイルスや循環障害など、さまざまな説があり、原因ははっきりとわかっていないのが現状です」(同)

 前触れもなければ原因もわからない病と聞くと、突発性難聴はよほど珍しい疾患なのかと思いきや、日本国内だけでも年間3~4万人が発症しているという。

「中耳炎ほど多いわけではありませんが、耳鼻科医の観点でいえば特別珍しい病気ではありません。一般的に40~50代の人が発症しやすいとされています。ただ、当院に来られる患者さんの中には20代、30代のビジネスマンの方も多くいるので、若年でも発症する可能性もあります」(同)

 ニュースの影響からミュージシャンが発症するという病というイメージがあるが、一般のビジネスマンも発症しているため職業との関係も不明。意外に身近ながら、謎多き病なのだ。

発症から48時間以内に
必ず耳鼻科へ向かうべし

 傾向や原因がつかめないため予防が難しい突発性難聴は、発症後の対応がその後の治療成績に影響する。三塚院長によれば、発症してから48時間以内に治療を開始するのが理想だという。

「治療の開始時期が治療成績や後遺症の程度に影響するのも、突発性難聴の特徴です。耳に異常を感じてから2日以内、遅くても1週間以内には治療をはじめた方のほうが完治の確率は上がります。突発性難聴の診断には聴力検査が必要になるので、突発的な聞こえにくさや強い吐き気・めまいを感じたときは、まず耳鼻咽喉科を受診してください」(同)

 深夜に発症した場合、救急外来に行っても検査技師が不在で聴力検査ができないことがほとんど。翌朝まで待ってから耳鼻科に行くほうがスムーズに診察を受けられるという。

 聴力検査後に、突発性難聴の診断が出たあとはステロイド点滴や投薬による治療がおこなわれる。海外では異なった治療がなされることもあるが、日本での治療見解としては、基本的に自然治癒するものではないといわれているため、耳鼻科での治療は必須となる。

「適切な治療をすれば7割の人が完治するといわれていますが、実際に治療をしてみなければわからないのが正直なところです。そのため、残りの3割の方は治療開始時期にかかわらず、聴力が回復できなかったり、後遺症として耳鳴りが続く場合もありますね」(同)

 耳鳴りが残っている場合には、新たに“耳鳴りに慣れる”ための治療がはじまっているという。三塚院長は「突発性難聴は、耳鼻科疾患のなかでも治療が難しい病のひとつ。聞こえ方に異変を感じたら、すぐに耳鼻科を受診してください」と、強く語った。

身近なあのビタミンが
劇的回復に貢献したとの報告も

 専門医も治療の難しさを認める突発性難聴だが、近年では新たな治療法が注目を集めている。それは、従来のステロイド投与に加えて高濃度ビタミンC点滴を行うと、聴力が劇的に回復するというもの。

 韓国の慶尚大学の研究では、聴力検査で70.3dBが聞こえない重度の突発性難聴患者に、ステロイド投薬とともに高濃度ビタミンCの点滴を投与。治療経過を見ていくと、1ヵ月後には通常に近い47.6dBの音が聞こえるまでに聴力が回復したという。

「高濃度のビタミンCが、突発性難聴の際に見られる内耳の虚血(酸素が少ない状態)や、炎症によって発生した活性酸素の量を抑えたことが、早期回復につながったといわれています」(国際オーソモレキュラー医学会会長・柳澤厚生医師)

 高濃度とはいえ身近な存在でもあるビタミンCが、突発性難聴の回復をサポートするとは驚きだ。高濃度ビタミンC点滴は自由診療なので、保険診療に比べて治療費はかさんでしまうが、突発性難聴患者の間でも点滴を受ける患者が増えつつあるという。

 突発性難聴は、誰しも発症する可能性がある病気。いつそのときが来ても迅速に対処できるよう、症状や治療法について知っておくのも予防策のひとつとなるのかもしれない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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