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神戸製鋼、名ばかりの「報告書」で囁かれるトップ辞任と再編機運

2017年11月20日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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不正発覚から、神戸製鋼は頭を下げっ放しだ。時に質問の答えにならない回答をする川崎博也社長に、競合企業の幹部は「よっぽど追い込まれてるんだね」と同情を寄せる Photo by Mieko Arai

「報告書」とは名ばかりで、中身はいわば“反省文”だった──。自らが手を染めた検査証明書のデータ改ざん等の不正行為に対し、11月10日に神戸製鋼所が発表した原因究明、および再発防止策に関する報告書のことである。

 まず、不正の原因がはっきりしなかった。「収益評価に偏った経営と閉鎖的な組織風土」など、原因として5項目を挙げたものの、「考えられる」「推察される」などのあいまいなワードが多出。結局、どこまでが事実なのか判断しようのない代物になっている。

 さらに、不正行為はいったい誰が、どういう経緯で始め、いつ、どの役職レベルの人が、どこまで把握するようになったのか──。こういった詳細が明かされることもなかった。

 もっとも、神戸製鋼にとって、こうした批判が出るのは承知の上のことかもしれない。今回の報告書を取りまとめた同社の「品質問題調査委員会」そのものが有名無実化しつつあったからだ。

 10月19日、本社主導による一連の内部調査の過程で、長府製造所の管理職を含む複数人が、アルミ製品における不正の隠蔽を行っていたことが発覚。品質問題調査委については、調査対象である川崎博也会長兼社長が委員長を務めることに疑問の声がもともと上がっていたのだが、これをきっかけとして、徹底調査は外部委員のみから成る「外部調査委員会」に譲っていたのだ。

次期トップに必要な覚悟

 肝心の外部調査委の報告書は、12月末にもまとまる予定だ。不正の全容解明はもちろんだが、ここでは同時に、これまで先送りされてきた経営陣の責任の取り方も焦点となるだろう。

 川崎社長は11月10日の会見で、「私は長きにわたって鉄鋼部門の生産現場に身を置いたが、専門分野は機械設備なので、品質管理に接することはなかった」と、自身の不正への関与がなかったことを説明した。とはいえ、事は日本のみならず、海外の企業まで巻き込んだ一大スキャンダルへと発展している。「経営トップの引責辞任は免れない」(鉄鋼メーカー役員)というのは誰の目にも明らかだ。

 グローバル競争を勝ち抜くためにライバル企業が次々と再編に動く中、電力事業などが稼ぎ出す安定的な収益を後ろ盾に、ここ数年、自主独立の方針を貫いてきた神戸製鋼。だがライバル各社からは、「今回の不正発覚は、今後の価格交渉にも不利に働くことになるだろう」と、神戸製鋼の厳しい先行きを予想する声が複数聞こえてくる。

 自主独立路線の急先鋒とされる川崎社長の辞任を機に、神戸製鋼の再編機運は高まるのか。依然として難しいかじ取りを迫られる次期トップには、同社の「身の丈」を客観視する覚悟が必要となるだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 新井美江子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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