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私たちの働き方カタログ第13回

16時帰宅のママが社内のオペレーション改革に挑むBizer

パパ・ママだらけのスタートアップは成長痛をどう乗り越えたか?

2017年11月24日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第13回は、バックオフィス向けのクラウドサービスを展開するBizer。取締役 田中秋生氏、代表取締役社長の畠山友一氏にパパ・ママだらけのスタートアップの働き方と成長痛を解消するまでの苦労を聞いた。

Bizer 取締役 田中秋生氏

採用でも「家族との時間をとれますよ」と口説く

 働き方改革で必ず大きなテーマとなるワーキングマザーの問題。結婚したり、子供が生まれると、ママは仕事を辞めるのが当たり前だった時代は変わり、男女雇用機会均等法の制定を経て、リモートワークや時短ワークの体制が整ってきた。女性がきちんと仕事を続けられる環境はまだまだ整っているとは言いがたいが、労働力不足や少子化、介護離職などが社会問題となる中、その機運は確実に変わりつつある。

 今回紹介するBizer(バイザー)は、6人のコアメンバーのうち、4人がいわゆるパパとママ。パパ・ママではないが、18時には退社して、夜間学校に通っているメンバーもいる。仕事もヘビーになりがちな創業4年のスタートアップで、こうしたメンバー構成は珍しい。就業時間も自由で、リモートワークも日常的に行なわれている上、パパ・ママだらけなので、子供の発熱や行事にもメンバーの理解があるという。

 たとえば、Bizer 取締役の田中秋生氏は、9時半に出社して社内オペレーションの進捗を管理し、16時に退社してそこからは家事やママ業に専念。子供が寝た後の22時頃に自宅でパソコンを開き、自社サービスであるBizer teamのタスク、Slackのやりとり、GitHubのイシューなどを一通り確認し、日が変わる頃に就寝しているという。「子供といっしょに寝てしまうのが一番怖いですけど、基本的には夜に必ずパソコン開きます」(田中氏)。ルーティンになっているので、他のメンバーも気遣いなく田中氏にメンションを飛ばせるという。

 とはいえ、メンバーがパパ・ママだらけになったのはあくまで結果論だった。Bizer 代表取締役社長の畠山友一氏も起業した当初は子育て期間で、その後ジョインした田中氏も入社後すぐに妊娠。「確かに『妊活を優先する』と宣言して田中もBizerに入ってきたのですが、第1号社員があっという前に産休に入ってしまったんです」と畠山氏は笑う。そして残りのメンバーがパパ・ママばかりになったことで、35歳以上のパパ・ママ採用をWantedlyにも出すようになった。「やっぱりスタートアップ界隈だと、若いエンジニアはユニコーン企業に行ってしまいますからね(笑)。でも、うちはお給料も無尽蔵に出せるわけではない。だから家族との時間をきちんととれますよって口説きますね」と畠山氏は語る。

スタートアップの成長痛を解消するオペレーション改革

 もちろん、ここまでの道は平坦ではなかった。創業当初はスタートアップのメッカである渋谷にオフィスを構えていたこともあり、長時間働き続けるのが当たり前だと思っていたという。「ランチに行くと、スタートアップの誰かがいて、仕事の話をするんです。だから、スタートアップは働き続けなければみたいな空気に飲まれていました」(畠山氏)。古い会社の多い千代田区にオフィスを移転したのも、そんな空気に飲まれないためだった。

Bizer 代表取締役社長 畠山友一氏

 とはいえ、仕事できる時間が短いのはスタートアップにとってハンディ。そのため、SalesforceやSlack、GitHub、Bizer teamなどのツールを使いこなし、時間あたりの生産性を上げていけるよう気を配っている。「個人的には、今やらなければならないこと、やらなくてもいいことをすごく意識しています。ツールもいろいろ使っていますが、緊急度や達成状況にあわせてメンバーがきちんと使い分けています。数字の管理も可能な限り、ツールで自動化しています」と田中氏は語る。リモートワーク用の仕事を1週間分溜めて、集中してこなすなどの工夫も取り入れているという。

 一方、チームで生産性を上げるためのコミュニケーションにも気を遣っている。「産休後、会社に戻ってきたら、人も増えていて、違和感を感じた。なんだかみんな楽しく働いてないし、結果が出てないというのが一番気になった。メンバー同士のボタンの掛け違いも多くて、コミュニケーションも足りなかった」という田中氏。こうしたスタートアップの成長痛を解消すべく、週に1度全員でランチをやったり、会議を増やしたりしたが、当初はうまくいかなかったという。

 結局効果が出たのは、メンバーの役割を明確にしたこと。たとえば、畠山氏が対外的な活動とマネジメントに専念し、マーケティング担当だった田中氏はサービス設計からプロジェクトのマネジメントまで社内オペレーション全般を統括することにした。「メンバーの仕事の範囲や責任を明確にしたときから、ちょっとずつ会社が変わっていった気がします。お互いが自分の仕事のみやるという方向ではなく、責任を分化したことでむしろチームが強くなりました」(田中氏)。頭にあるものをつねにツールにアウトプットしておき、常時仕事が引き継げる、チームで助け合える体制を作った。そして、こうしたチームワークのノウハウや思想は、当然Bizer teamに埋め込まれていくことになるという。「サービスを作りつつ、自分たちが一番の事例になりたいなと思っています」(田中氏)

 田中氏も前職のグリーでは多忙ながら、仕事のやりがいを感じてきた。子育てしながらの仕事はもちろん毎日忙しいが、充実したワークライフバランスだという。「今の働き方改革って『時短・時短』じゃないですか。でも、本来はライフステージにあわせて働き方を自分で選べるというのが本来の姿で、『一律で働くな』という方向性には違和感を感じます」という田中氏の意見には筆者も全面的に同意したい。

会社概要

「日本のバックオフィスをわかりやすく。簡単に。」をビジョンに掲げ、税理士、社会保険労務士などの専門家のサポートを受けながら総務・労務・経理などの幅広い業務をまとめて管理できるサービス「Bizer」、忙しいチームのためのわかりやすくかんたんなタスク管理ツール「Bizer team」という2つのサービスを提供しています。バックオフィスの変革を通じて、会社はより事業に集中し人は働き方を変えることができる、そんな未来の実現をBizerは目指しています。

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