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日本各地のかっこいいスポットを愛でる!

大型低温重力波望遠鏡KAGRAの中を自転車で爆走

2017年12月02日 13時00分更新

文● 林 佑樹(@necamax

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アーム間の移動は自転車

 今回はYアーム側のフロントからエンドまでを見ることができた。先に紹介したフロントの先に長さ3kmの真空ダクトがある。真空ダクトは1ユニットあたり長さ12m、直径80cm。これを250本連結したものだ。

Yアームのフロント。左の通路を抜けて、アーム部に入る

電動自転車のバッテリーを回収してトンネルに入る

 一見、まっすぐに見えるトンネルだが、地球のジオイド面に対してではなく、レーザー光がまっすぐ進めることを基準に掘削されており、真空ダクト内で約7cmの直線部を確保、さらに湧き水も多く、制限の多い環境下で高次元の工事が行なわれた。

 KAGRAに関係するトンネルは、中央実験室に行くまでのアクセストンネル「かぐら」と、Yエンドにつながる東茂住側からのアクセストンネルを含めると総延長約7.7km。工事期間は約1年10ヵ月で、ダイナマイト工法を採用し、最速で1ヵ月あたり359.4mの掘削が行なわれた。ダイナマイト工法としては、日本新記録になるそうだ。

湿度100%の環境下にある真空パイプ

移動の自転車は多く用意されていた。実際の明るさは写真の通り

荷物可搬用の荷台

移動中の様子。3ヵ所に排水システムが用意されていた。写真を見てもわかるが、水分過多である

 アームのフロントからエンドへの移動は、電動自転車で、中央実験室でバッテリーを回収してからアームに入る流れだ。アーム内は200m間隔で照明があるだけでパイプが延々と続く。途中3ヵ所に排水装置がある以外は、似た光景の連続だ。

 そのため、長いトンネル内を走行中に時間感覚がなくなると睡魔に襲われた。ただ隣のパイプがかっこよかったので、行きは『ガンバスターマーチ』を流しつつ、ペダルを回していた。帰りは、大きな声で『ようこそジャパリパークへ!』を歌っていた次第だ。なぜか歌いたくなったので。

博士が爆走気味だったので、同行者含め、わりと元気よくペダルを回していた感

走行中視点。暗いうえに照明が一定間隔なので、時間の感覚がなくなるまでが速かった

 またアーム内は湿度100%。撮影機材からするとイヤすぎる環境だが、一眼レフカメラとレンズの動作は問題ナシ。ただ、エンド部と中央実験室に入るときは、内部結露が怖かった。

 話を戻すと、湧き水の多さを強く体感できる場所でもあり、今回の場合は、普通の状況とのことだったが、それでもアーム中腹部付近は水たまりばかりだった。雨が降った数日後は長靴がないと厳しいこともあるそうだ。

 排水は常に行なわれており、Yアーム側では3ヵ所の排水システムを確認できた。3~5月は雪解け水が多く、天井からも雨のように水滴が落ちてくるそうで、KAGRA全体でおおよそ毎時2150トンもの水が出たこともあるそうだ。

Yアームエンド部入口。電動自動車も確認できた。運搬するものが多いときに使用するそうだ

エンド部はこじんまり

 エンドにあるのは、サファイア鏡を格納したクライオスタットと防振システムがあるだけで、中央実験室と比べるとこじんまりとしていた。アームの隔壁を抜けると急に景色が変化するので、とても映画的でもあった。写真はYアームだが、Xアームも同様の構造になる。

隔壁を抜けたところ

クライオスタットと防振システムを格納できる分の掘削になっていたので、ぎっしりと機器が詰まっている雰囲気だった

透過光のモニター用真空タンク

移動スペースがないので、エンド部の移動ではこんなシーンもあった

エンド部のサファイアミラーが格納されている容器

防振システムの頂部に向かう構造は、フロント側と同様だった

エンド部の奥には資材置き場も兼ねてか広めのスペースがあった。写真奥の扉の先には、防振システム頂部への通路があるほか、スーパーカミオカンデまでつながっているトンネルもある(真っ暗だったが)

DELL製のノートPCが設置されていた

HP製のデスクトップも

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