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動画はもう証拠にならない——気鋭のAI研究者が語る報道の未来

2017年11月13日 23時10分更新

文● Jackie Snow

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人工知能(AI)技術は人々に、様々な扉を開く可能性を与えてくれる。しかし同時に、これまでずっと開かれていた扉のいくつかを、AIが閉じてしまうかもしれない。

人工知能(AI)は素晴らしい未来を約束してくれるが、こと報道に関しては、時代を1世紀くらい逆戻しするかもしれない。

11月7日にマサチューセッツ州ケンブリッジにあるMIT(マサチューセッツ工科大学)で開催されたEmTechで、グーグル・ブレインの研究者でMITテクノロジーレビューの「35歳未満のイノベーター35人」の一人でもあるイアン・グッドフェロー博士は、かつては人々を騙せる偽画像を作り出そうとすると、たいへんな労力が必要だったと指摘した。 しかし、グッドフェロー博士が開発した深層学習システムの1つ、「競争式生成ネットワーク(GANs)」のようなAI技術を使えば、もっと本物っぽく見える偽画像を作り出せる。その結果、より大勢の人を、ずっと簡単にだませるようになる。

ニュースについて、私たちはもっと疑い深くなる必要がある、とグッドフェロー博士は言う。オンラインで見るマルチメディアのほとんどが、信じられなくなるかもしれない。

「歴史的に、実際に何かが起こった証拠を動画として残せるのは、ほんのまぐれのようなものです」。グッドフェロー博士はEmTechでの講演を終えた後のインタビューで語った。

グッドフェロー博士は、GANsを使うことで将来、研究者やロシアのスパイが、どんなことでもしゃべる政治家たちの動画を制作できるようになる可能性を認める。しかし同時に、AIを使わなくても、誰もがPhotoshopで画像を加工していることも指摘する。

「すでに可能となっている物事が、よりスピードアップしています」とグッドフェロー博士は語った。

AI がもたらす変化については、はっきりしない部分がたくさんある。少なくとも報道に関しては、歴史的に、意見を伝えるための映像や写真がなくてもやっていける社会があったとグッドフェロー博士は言う。私たちはそうした社会に再び慣れる必要があるのかもしれない。

「もしそうであれば、私たちの世代ではずっと開かれていた扉のいくつかを、AIが閉じようとしているのです」。


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