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全国自治体の申請手続きを一括で検索、電子申請可能にする「ぴったりサービス」の内幕

「マイナポータル」新機能を6カ月で構築、内閣府がDreamforceで語る

2017年11月10日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 内閣府が、マイナンバー制度に基づいて構築したWebサービス「マイナポータル」で提供する電子申請機能「ぴったりサービス」の基盤をセールスフォースで構築した。“契約からわずか6カ月”という短期間での稼働実績に注目が集まっている。

マイナポータルが提供する「ぴったりサービス」のトップ画面。まずは「子育て」関連のオンライン申請からスタートしている

 今回、米サンフランシスコで開催中の「Dreamforce 2017」会場において、内閣官房 番号制度推進室の参事官補佐である山本武史氏がその概要を説明した。

内閣官房 番号制度推進室 参事官補佐の山本武史氏

全国地方公共団体の電子申請サービスを横断的に検索

 マイナンバー制度は、「国民の利便性の向上」や「公平・公正な社会の実現」、「行政の効率化」を実現するための社会基盤と位置づけられており、2016年1月から運用を開始している。そのなかでマイナポータルは、マイナンバーの利便性を高めることなどを目的として、2017年1月にサービスを開始したWebサービスだ。自身のマイナンバーにひもづいた個人情報(特定個人情報)や、それが行政機関の間でどのようにやり取りされたかの記録を、オンラインで閲覧できる。

 「3500を超える政府機関と地方公共団体が管理する所得情報、医療保険など個人の情報にアクセスでき、電子申請も可能になっている」(山本氏)

 このマイナポータルが提供する機能のひとつとして、今年7月から提供されているのが「ぴったりサービス」である。これは全国1741の地方公共団体が提供する電子申請サービスを横断的に検索し、それらを比較しながら、実際に申請作業までできるのが特徴だ。

「ぴったりサービス」利用の流れ(画像はWebサイトより)

 具体的な流れはまず、地域別に各種申請や届出を検索し、その詳細を確認する。ここでは「ぴったり検索」「キーワード検索」「一覧から検索」の3つの検索方法で、自分の知りたい手続きを簡単に探すことができる。一部の手続きは、マイナンバーカードの電子署名機能を利用しながら、オンラインで必要事項を入力、申請ができる。また電子申請できない手続きでも、オンラインで申請書を作成/印刷し、これを窓口に持っていくことで、申請手続きがスムーズに行えるようになるという。なお、オンラインで入力する内容は、入力途中で保存し、あとで再開することもできるようになっている。

 現在は行政サービスとしてニーズが高い「子育て分野」の申請を皮切りにスタートしており、今後、引越しや介護、予防接種、助成金申し込みなどへとサービスを拡大していく予定だ。さらに、民間企業が提供するSNSなどのサービス(LINEなど)と、ぴったりサービスとをAPI連携することも検討しているという。

セールスフォースのサービス群とアジャイル手法で開発を短期化

 山本氏は、「ぴったりサービスの構築においては、国民ニーズの変化や、技術動向への柔軟で迅速な対応ができるプラットフォームが求められていた」と語る。そこでシステム構築を担当した内閣官房では、クラウド上でシステムを構築することを決定。セールスフォースの活用と、アジャイル型開発手法を組み合わせることで、契約からわずか6カ月間で稼働させた。

 「マイナポータルのようなサービスは前例がなかったため、キャパシティプランニングが難しく、拡張性に優れたクラウドをプラットフォームの採用が不可欠だった。ただし、一般的に電子申請サービスを稼働させるまでには2、3年かかる。これを6カ月で構築し、稼働できたのは、セールスフォースが持つ柔軟性と拡張性によるものであり、さらに、アジャイル型の開発に対応できた点もプラスになった。大規模なアジャイル型開発は日本初の試みであったが、セールスフォース・ドットコムが持つノウハウを活用したことで、短期間での稼働に結びつけた」(山本氏)

日本政府のマイナンバー関連の取り組みロードマップ

 ぴったりサービスを構成する地方公共団体のサービス登録や電子申請受付サービスには「Salesforce Community Cloud」を利用。また、地方公共団体からの問い合わせ管理に「Salesforce Service Cloud」を採用し、電子申請入力機能と入力フォームの標準化機能、サービスデータベースは「Salesforce Platform」を活用しているという。

 「約1800の地方公共団体の電子申請サービスの検索や比較を行うためには、個人情報や電子サービスを標準化する必要があった。そこで、すべての行政機関と連携し、個人情報を標準化。さらに、申請フォームの画像データをすべての地方公共団体から収集して、AIを用いて画像を解析。必要とする情報はなにかといったことを割り出し、標準化した」(山本氏)

 同様の制度やサービスでも、行政機関ごとに用語や様式が異なるケースが多いという。たとえば、ある行政機関では「子供」という言葉が使われていても、別の行政機関では「幼児」という言葉になっている場合などがある。こうした点の標準化にも取り組んでいった。

 ぴったりサービスでは、Community Cloudを通してデータ共有を行うことで、標準化を実現している。そして、標準化の取り組みは、行政業務の効率化にもつながっているという。

 内閣府では、2018年夏以降、マイナポータルと民間のWebサービスを連携するためのAPIを提供し、新しいビジネスの創出にも乗り出す予定だ。「サービス連携は日本国内に限定せずに行っていきたい」(山本氏)。

 API連携では、マイナンバーカードに搭載されたICチップに格納されたPKI技術を活用し、本人確認を行う。これにより、たとえばローンの銀行審査をオンラインで簡素化するといったことも可能になるという。

 また、電子申請フォームの入力項目を翻訳して、日本に住む外国人が母国語を使いながら電子申請を行ったり、日本の地方公共団体に英語で電子申請できるようにしたり、といったことにも取り組む方針だという。

政府は行政サービスのデリバリとエクスペリエンスの改善を目指す

 「電子申請によって、どこからでも行政サービスに申し込めるようになれば、国民は、行政機関を身近なものに感じてもらえる。今後は、スマートフォンやテレビ、さらにはSNSなどを通じて電子申請ができる社会を目指したい。“ラスト・ワン・インチ”のサービスを強化したい」(山本氏)

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