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航空機トラブル、ハイテク化しているのに相次ぐ理由

2017年11月08日 06時00分更新

文● 清談社(ダイヤモンド・オンライン

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今年8月、ANAの旅客機が離陸直後に緊急着陸するという騒動が発生した。9月にはJALの左翼エンジン異常で緊急着陸、関西空港を離陸したオランダ航空機からパネルが落下するなど、ここ数ヵ月の間に飛行機トラブルが相次いで発生している。こうした飛行機の不慮の事態を防ぐためにどのような対策が取られているのか?

高齢機材でも不安は無用
ルールで定められている部品交換

古い機体だからといって、いたずらに怖がる必要はない

 電車や車とは違い、飛行機を毎日利用するという人は多くはない。そのため、飛行機トラブルのニュースが続くと、安全性は本当に大丈夫なのかと不安になる。

 機材のハイテク化が進んでいるはずなのに、トラブルがなくならないのはなぜか。飛行機の安全性について航空ジャーナリストの坪田敦史氏に話を聞いた。

「旅客機の整備は、飛行機の製造会社が作成したマニュアルに沿って対処するようになっています。つまりボーイング社が作った飛行機なら、ボーイングとエンジンメーカーのマニュアルがあるので、その規定に沿って部品交換などが行われます。劣化が激しいのは、やはり機体の心臓でもあるエンジン周りですね。また、飛行状況を確認するセンサーもより慎重な整備や交換が行われています」

 エンジンと同様に負担の大きいタイヤも、100~200回の着陸で交換されるのが一般的だという。そうして部品の交換を繰り返しながら機体は飛び続け、20~30年ほどで寿命を迎える。

「30年まで飛ぶことは稀ですが、最低でも20年は飛び続けます。しかし、その間繰り返し部品交換が行われているため、初期とまったく同じ状態ということはありません。重要な部分は製造時とはほぼ違うパーツで組み立てられているというイメージです」

 つまり、最新鋭の機材だけでなく、古い機材であっても、部品交換によって「生まれ変わっている」と言うことができそうだ。

 ただし、この新品パーツについては、たびたび議論がなされている。たとえば、飛行機の最新素材として注目されている炭素繊維だ。軽さと丈夫さがウリで、ボーイング787シリーズなどに採用されているが、航空評論家の中には『劣化については実験で確認しているものの、実際に飛ばしたときの部品の疲労具合はまた違う』と不安視する声もあるのだという。

「炭素繊維は、宇宙開発の分野でも取り入れられている新しい素材です。機体が軽くなり丈夫になるということは、燃料が少なくすみますので、その分渡航費が安くなることも考えられます。新しいモノを使うというのに抵抗感を持つ人は少なからずいますが、だからといって不安に感じる必要はないと私は思います」

LCCの機材は新しい!
格安の意外なカラクリ

 近年人気の格安航空会社(LCC)は、「格安」なだけに中古機材などの安物を使っているのではないか?と不安に思う人も少なくないだろう。しかし実は、LCCは最新素材を利用した飛行機を積極的に取り入れているという。

「LCCの多くは、実は新品を利用しています。初期の頃は、中古の機体を利用していたこともありましたが、その分整備が必要になり、結局ランニングコストで高くついてしまったんです。格安で運航するためには、新品の機体を買うかリースするほうが断然割安なのです」

 また、飛行機はフライト回数が多ければ多いほど、劣化スピードが早くなるもの。たとえば、政府要人の輸送などに利用される日本国政府専用機はフライト回数が少ないため、民間機よりは劣化スピードが遅いのだという。

「民間の旅客機が1日に最低3回はフライトするのに対し、政府専用機は、稼働する頻度は多くありません。そのため、民間機より機体の耐久性が高いと言えます。どの精密機械にも言えることですが、使い過ぎない程度に使ったほうが長持ちします」

 ちなみに、政府専用機の管理を行うのは防衛省航空自衛隊。パイロットもキャビンアテンダントも自衛隊員によって構成されている。

バードストライクは
アナログな方法での対策が最も有効

 しかし、いくら機材が最新鋭だろうが、機体の整備が万全であろうが、突発的なトラブルがなくなるまでには至っていないのが現状。近年、よく話題に上る例が、鳥がエンジンに巻き込まれるトラブル、「バードストライク」だ。9月5日に発生したJALの左翼エンジントラブルの原因もバードストライクの可能性が高いと言われている。対策はどうなっているのだろうか。

「最近では、鳥の群れをレーダーで探知する技術なども発達してきてはいますが、自然界の動物の行動なので限界があります。そのため、飛行場周辺に空砲を打って、鳥を寄せ付けないようにするなど、アナログな方法が主流です」

 バードストライクは、数十匹規模の水鳥の群れなどが原因となることが多い。目視で確認できるレベルの大群については、地上でも上空でも、まずは警戒を怠らないことが重要だという。


 また、原因不明のトラブルもある。冒頭で紹介したオランダ航空機のパネル落下事故は整備不良の問題ではないかと言われているが、はっきりとした原因は未だわかっていない。結局、飛行機トラブルをなくすための、最も有効な手段とは何なのだろうか。

「やはり整備を徹底的に行うしかないと思います。コンピューターや自己診断システムを使っての機械による点検と、人間の目を掛け合わせるのが、最も良い方法ではないかと考えています。現在もそのようにして整備や点検が行われていますが、両者の精度をさらに上げていくことが今後の課題だといえるでしょう」

 GPSが進化したおかげで、機体同士が狭い間隔で飛べるようになり、昔に比べ便数は格段に増えた現在。機材の性能もどんどん進化しているが、トラブルや事故を防ぐには、地道かつ丁寧な整備、というのが一番の解決策であるようだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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