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バブルの夢再び?不動産大手が海外投資を加速する理由

2017年11月07日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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米国マンハッタンの再開発事業、ハドソンヤードのパース図。2棟を三井不動産が手掛ける 提供:三井不動産

 大手不動産が、海外の開発投資に向けアクセルを踏み込んでいる。

「ライバルと比較すれば、うちは周回遅れ。小さな一歩だが、これで具体的な開発案件を精査できる」

 先月、大手不動産3社の中で、海外進出で出遅れていた住友不動産が、同社海外事業部に米国と欧州、アジアの各担当部を新設。それぞれのトップには開発畑のエキスパートを送り込んだ。

 住不はバブル期に海外に攻勢をかけたが、現在はほぼ撤退。今後の投資時期や投資規模は未定だが、海外再挑戦の準備を整えた格好だ。

 そのもくろみを冒頭のように明かす住不が「さすが」とうらやむのが最大手、三井不動産。

 米国マンハッタンで進む、総事業費250億ドルと同国でも最大規模の再開発事業、ハドソンヤード(HY)。その地で三井不は9月、来年に竣工を予定するオフィスビル、55HY(仮称)に続き、50HY(同)への参画を決めた。

 竣工予定は2022年で、事業シェアは9割。総事業費約4000億円は、同社の営業利益のほぼ2年度分に当たる。延べ床面積26万平方メートルは、マンハッタンでも最大クラスで、三井不の海外事業における旗艦物件となる。なお、三井不の15~17年度の中期経営計画では、海外に5500億円を投じる計画だったが、それを上回る5700億円になる見込みだ。

 一方、三菱地所も海外投資拡大へとかじを切った。今年発表された17~19年度の新たな中計では、前中計の海外投資額2400億円を大きく上回る4000億円を投じる。直近では、18年に総事業費1000億円以上を掛けて豪州初進出となる複合開発事業に着工する。目玉はシドニーで最も高い263メートルの超高層ビルだ。

 このほかに森ビルも今夏、インドネシアでの超高層オフィスビル開発を明らかにするなど、オフィス、商業、住宅を問わず、不動産各社の海外投資が活発化している。

バブル時代の再来?

 背景にあるのは、人口減による国内需要の先細りと現在の地価高騰に伴う国内の開発用地の減少だ。

「かつて来た道」──。一方で、巨額の海外投資を危ぶむ声もある。過去の失敗の象徴は、1989年に三菱地所が買収したロックフェラーグループ。95年に破綻し、三菱地所は96年に1500億円の特別損失を出した。その二の舞いになりかねないのではというわけだ。

 だが、「当時は『金は出せ、だが口は出すな』という舐められた状況だったが、今は異なる」と大手不動産担当者は言う。また、「ばくちという認識はない」と三井不も高値つかみを否定する。三井不にせよ、三菱地所にせよ、強力な現地パートナーを開拓し、開発エリアのオフィス需要も旺盛だからだ。

 確かに、例えばマンハッタンのオフィス賃料は目下、上昇トレンド。だが、世界の経済の中心地だけに景気変動の荒波も受けやすい。果たしてバブル期のリベンジとなるか──。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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