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ソニーのBluetoothイヤフォン「WI-1000X」はひとつ到達点といえる完成度

2017年10月28日 12時00分更新

文● 四本淑三

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改めて感じたネックバンド型の良さ

 さて、機能説明が長くなったが、実際に使った全体的な印象はどうかと言えば、これはもう素晴らしいとしか言いようがない。消音効果の高さからくる快適性は先に述べたとおりで、ノイズの軽減からハイブリッド型のワイドレンジな特性が一層映える。

 また、今はトゥルーワイヤレスに注目が集まっているが、改めてネックバンド型の良さも再認識できた。折りたためないので若干かさばるのは難点だが、ネックバンド型はトゥルーワイヤレスに対して性能面で有利に立てる。

 まず左右のチャンネルドロップや遅延に悩ませられないのが良い。左右チャンネルがワイヤードであること、より大きなアンテナを内蔵できることで、音声データの伝送に余裕があるのだ。同じ1000Xシリーズのトゥルーワイヤレス型「WF-1000X」はハイレゾ非対応だが、やはり音声データが大きくなると難しいところも出てくるのだろう。

 それにバッテリーの持続時間も長く、約3.5時間のフルチャージで、ノイキャンオフなら約13時間、オンにしても約10時間持つと発表されている。これは標準的なトゥルーワイヤレスより5倍は長い。電力消費も抑えられているようで、15分充電しただけでも70分使用できるというのもいい。

 まったくイヤフォンの性能には関係ないが、電話着信時にネックバンドが振動するのもおもしろかった。ただし、この振動が結構強烈で、大抵の電話は急にかかってくるのでビックリする。強弱の設定くらいは欲しいかなと思った。

ネックバンドの首に当たる部分は合成皮革が貼られていて、装着感の良さに貢献している

スマートイヤフォンへの第一歩

 しかし、欠点もないわけではない。気になったのは、屋外で使う際の風切り音だ。ウインドノイズではなく、風を感じるたびに「ヒュ~」という共鳴音が鳴る。これはハウジング外側にマイク穴のある同種のイヤフォンではありがちだが、ノイズキャンセルを切っても聴こえてくるから始末が悪い。

ハウジングの外側には集音用のマイク穴が大きく開いている

アプリには「風ノイズ低減」という文字も見えるが、共鳴音には効果がない

 しかし、それ以外に欠点らしい欠点は見当たらなかった。3万円台半ばという価格はイヤフォンとしてはたしかに高いが、使ってみるとバーゲンプライスのように感じる。ノイズキャンセルと言えば、消音効果の良し悪しだけが評価されがちだが、そうではないところへ一歩踏み出した「スマートイヤフォン」とでも言えるような製品だ。これから先の展開も楽しみだ。

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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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