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北海道に最先端Techを実装!「No Maps 2017」レポート第23回

地下歩行空間がトレードショー会場になった日

歯磨き指導してくれるAIスマートミラーに人だかり

2017年10月30日 08時00分更新

文● 重森大 編集●北島幹雄/ASCII STARTUP

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 札幌にてこの10月に開催された「No Maps」では、札幌駅から大通駅に向かう広大な地下歩行空間(通称チカホ)がトレードショー会場となった。見本市会場で開催される展示会とは異なり、生活に密着した空間にITの展示ブースが並ぶ様は新鮮。どのようなブースに人が集まっていたのか、後半の週末、土曜日にチカホを訪れてみた。

展示会とは違った反応にとまどうブース、喜ぶブース

 チカホに並ぶそれぞれのブースは、東京ビッグサイトや幕張メッセで開催される展示会でよく見るようなものが多かった。違うのは、訪れる観客の方だ。東京ビッグサイトや幕張メッセを訪れる人は、展示会を目的に集まっており、その時点である程度セグメントされた人たちと言える。

 それに対して、チカホは市民の生活に馴染んだ通路であり、そこに行き交うのは、何らかの目的があって通り抜けようとしている人たちだ。加えて、ITへの興味や理解度もバラバラだ。特に基礎的なテクノロジーをアピールするブースでは、立ち止まってもらっても興味を持ってもらうのが難しいようだ。

 一方で、展示会来場者のようなバイアスがかからないことで、普段接点を持てない層に技術を見てもらうことができたと喜ぶブースもあった。その多くは、タッチパネル操作をともなうアプリケーションやVRコンテンツの体験など、アトラクション要素の大きなものだ。

 楽しそうな雰囲気にひかれた子供が立ち止まり、その家族が興味を持つこともあったようだ。こういった一般消費者層は、ITの展示会でもゲームショーでもリーチが難しく、これらのブースでは「いい機会を得た」との声が聞かれていた。

多くの人が足を止めた体験系のブース、中には有料サービスも

 前述の通り、人気を集めていたのは実際に自分で体験できるコンテンツを用意していたブースだ。中でも多くの人が興味を持って立ち止まっていたのは、ライオンのブース。一見ITとの接点などなさそうに思えるが、正しい歯の磨き方を指導してくれるAI内蔵のスマートミラーを展示していた。

人気を集めていたライオンのブース

 実際にAIスマートミラーの指導を受けながら歯磨き体験ができるほか、特設ブースでは歯科技師によるオーラルエステも受けられる。こちらは有料メニューながら多くの人が申し込んでいた。

 「オーラルエステは数時間先の分まで整理券をお配りしています。AIスマートミラーやオーラルエステを、ご自身のオーラルケアを見直すきっかけにしていただけたら嬉しいですね」(ライオン担当者)

格安のオーラルエステは整理券を配布し、ソールドアウトも出るほどの人気

 VRやAR、タッチパネル使用のコンテンツを展示するブースも多くの人を集めていた。商用化が予定されているゲームを先行体験できるブースもあり、ゴーグルをかけて遊ぶ姿があちこちで見られた。

札幌を代表するキャラクター初音ミクもVRゲームに登場

 目に留まるようなキャッチーさの有無で通りかかる人の反応が変わることを、ひとつのブースで実感している人たちもいた。芸術を身近に感じて楽しめるコンテンツを2種類展示していた大日本印刷株式会社の展示ブースだ。

 ひとつは、タッチパネルで有名絵画に触れ、拡大すると詳細な説明が表示されるもの。もうひとつは、ARマーカーを読み取ると絵画や彫刻が実物大で現れるARコンテンツだ。

タッチパネルで有名絵画を楽しむ大日本印刷の「みどころルーペ」

 「タッチパネルで楽しめるみどころルーペに触れてくれた人に説明すると、デジタルアートミュージアムも体験してくれます。しかし実際の展示としては印刷されたARマーカーしか置いていないので、何かわからず通り過ぎる人が大半ですね」(大日本印刷担当者)

タブレットでARマーカーを読み取る大日本印刷の「デジタルアートミュージアム」

 そのほか、ITとは関係ないが塗り絵ワークショップを行なっていたイラストレーターズ・マーケットにも多くの人が集まっていた。やはり自身で体験できるコンテンツが人気のようだ。

一見地味ながら先端技術を活かした期待高まるブースも

 このほかにも実用的かつ光る技術があったので、ぜひここで紹介しておきたい。

 富士通グループのブースでは、FUJITSU UX CLUBという富士通グループの有志が集まって新製品を考案するプロジェクトの中から、ローンチしたばかりという「MuFo」が展示されていた。場所を軸にした公開プレイリストを参加者みんなで作り、知らなかった楽曲との邂逅を楽しむもの。プレイリストは決められたテーマを持つ「場」として表現されている。未知のものに出会う場を、UFOに見立てているのが面白い。

FUJITSU UX CLUBの「MuFo」

 隣り合って富士通株式会社のブースがあったが、こちらで展示されていたのは、同時通訳ソリューション。音声を認識し、それを19ヵ国語に逐次翻訳する。一文を話し終えるのを待たずリアルタイムに翻訳できること、ほかのアプリと併用して字幕のように表示できることが特長だ。ビデオやプレゼンテーション画面に重ねて、説明者の言葉を表示できる。

富士通ブースで行なわれていた同時通訳のデモ

 元は聴覚障害者向けの音声聞き取りソフトだったというだけあり、音声認識の精度も高い。さらに複雑な処理はすべてクラウド上で行なうのでクライアント側に大きな負担をかけることもない。詳しく聞けば面白い製品であり、IT系の展示会なら十分に人目をひくと思われるが、こうした場所では見た目が派手なコンテンツのように人を集めるのは難しかったようだ。

 ブースや展示内容により人の集まり方に差こそあれ、ターゲットを絞った展示会ではリーチできないそうに少しでもアピールできるのは公共空間ならではのこと。札幌市民である筆者の友人いわく「普段から色々なイベントが行なわれている場所であり、市民も慣れている」とは言うものの、通りすがりの人の興味をひくのは簡単ではないと実感したトレードショーだった。

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