このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

山谷剛史の「アジアIT小話」 第146回

中国で伝説のゲーム「魂斗羅」の最新版は人気になるか?

2017年10月19日 12時00分更新

文● 山谷剛史

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
中国では今年売られたプリングルズのパッケージになるほど知名度のある「魂斗羅」

中国では今年売られたプリングルズのパッケージになるほど知名度のある「魂斗羅」

 ファミコン世代にはお馴染みのコナミのアクションシューティング「魂斗羅」の最新作「魂斗羅:帰来」が今年中国のAndroidとiOS向けに登場した。

 日本語では魂斗羅リターンズといったところだろうか。ファミコン版「魂斗羅」、スーパーファミコン版「魂斗羅スピリッツ」、メガドライブ版「魂斗羅ザ・ハードコア」を当時繰り返し遊び、魂斗羅:帰来を1ヵ月間やり込んだので紹介したい。

実はゲーム売り上げ世界一という「騰訊」

 リリースした「騰訊(Tencent)」は、同社は中国のネット生活上でほぼ必須といえるインスタントメッセンジャー(IM)の「微信(WeChat)」ほか、中国のネットの普及をけん引したIMの「QQ」をリリースしており、QQ時代からアカウントに紐づけて利用できる同社のオンラインゲームをリリースしていた。

 中国国外では「クラッシュオブクラン」などで知られるスーパーセルや、「League of Legends」運営のライアットゲームズ、Unreal EngineのEpic gamesの親会社でもあり、同社のゲームの売上高は世界一となっている。

 また、近年では騰訊傘下の「天美工作室(TIMI)」が開発した「王者栄耀」という、小学生などのライトユーザーにも遊べるMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)タイトルが有名だ。

 ゲームのアプリダウンロードランキングで上位にあり、報道によれば「日間アクティブユーザー数が5000万、スキンだけで1日1億5000万元(約25億円)を売上げている」とのこと。あまりに人気なので中国政府サイドが社会問題として取りあげたほどである。

なぜ中国で「魂斗羅」が注目されるのか?

 「魂斗羅:帰来」は、その王者栄耀の騰訊と天美工作室がタッグを組んでリリースした作品だ。ゲームのクオリティーは期待できるわけだ。

 実はファミコン版魂斗羅はおよそ20~30年前の中国のファミっ子に絶大な人気を誇るタイトルだった。

 中国製のファミコンの互換機「紅白机」には無数の海賊版タイトルが入ったカセットが付属していたが、ネットが普及していない時代、無数のゲームの中で、皆が遊んでいたゲームが魂斗羅である(今もECサイト「淘宝網(TAOBAO)」などで売られるファミコン互換機の紹介ページでは、魂斗羅の画面が出ている)。

 さらに当時は、特定の条件下を満たすと「水下八関」という隠しステージに行けるという、嘘の裏技情報が中国全土を駆け巡った。それほどまでに中国人には魂斗羅は思い入れのあるタイトルなのである。

 「魂斗羅:帰来」は中国のオールドゲーマーにとっても、開発チームの新製品と見ても、注目のタイトルなのが分かっていただけただろうか。

アクションシューティングであることは昔と同じ

ストーリーモードは1ステージ3分程度で遊べる

ストーリーモードは1ステージ3分程度で遊べる

 中国で期待のタイトル「魂斗羅:帰来」は、アプリ内課金で無料でも遊べるアクションシューティング。結論からいうとこれは魂斗羅ファンの筆者でも納得の、魂斗羅ファンがツボをわかって作ったであろうよくできたゲームだった。

 まずアプリを起動すると、騰訊、天美工作室、コナミのロゴが表示され、魂斗羅として違和感のないムービーが流れる(スキップ可)。

魂斗羅シリーズでおなじみビルライザー

魂斗羅シリーズでおなじみビルライザー

 その後、微信またはQQに紐づけたユーザー登録を行なう……ので遊ぶには微信かQQのアカウントが必要だ。スキップ可能なムービーの後、チュートリアルの指示を受けながら魂斗羅シリーズでおなじみのビルライザーを操作し、ストーリーモードを進めていく。

ゲームを進めるとさまざまなキャラクターが集まる

ゲームを進めるとさまざまなキャラクターが集まる

さまざまな主人公による3人対3人対戦

さまざまな主人公による3人対3人対戦

 最初は操作を覚えてもらえるように、難易度はコンソール向けに比べてかなり抑えてある。なお、プレーキャラは遊んでいくうちに増えていき、過去の魂斗羅シリーズのキャラクター+オリジナルキャラクターが使えるようになる。

 操作はスマートフォンは横持ちにして、左下に十字ボタンが、右下にショットボタンがある。

 最初は1ボタンしか使うことはなく、ゲームを進めるごとにサブ武器との切り替えや、手りゅう弾などの特殊武器での攻撃などボタンが増えていくが、ともかくゲーム機のような操作感で遊べる。

 コンソール版との大きな違いはダメージ制となったこと。1回でやられることはなくなったが、反面、先に進めば弾に当たる前提のステージばかりとなる。レベルを高めればどれだけ主人公が四方八方から銃弾を浴びても体力がほとんど減らないという状況となる。

 音楽はファミコン版魂斗羅をギターベースでアレンジしたもの。過去遊んだプレーヤーならニヤリとする音楽ばかりだ。フィールドもファミコン版魂斗羅の雰囲気が再現されている。

下から迫る火から逃れて上にひたすらジャンプするモード

下から迫る火から逃れて上にひたすらジャンプするモード

乗り物上での戦闘も魂斗羅の定番

乗り物上での戦闘も魂斗羅の定番

 基本は横スクロールで、上に上下に移動するステージも一部ある。草原のステージもあれば、スピーディーに走行する乗り物の上で戦闘するという魂斗羅らしいステージも用意されている。

巨大なボスが待ち受ける

巨大なボスが待ち受ける

魂斗羅スピリッツのボスも登場

魂斗羅スピリッツのボスも登場

 目標の場所まで行けばクリアというステージもあれば、ファミコン版のボスが再登場するシーンもある。

日本語ででも紹介されるボス

日本語ででも紹介されるボス

 魂斗羅らしくないステージも先に紹介した伝説の「水下八関」と称し用意。文字は中国語で表示しつつも、ボスの固有名詞などは日本語でも表示するなど、ファミコン版魂斗羅のファン向け作品を丁寧に作っていることはひしひしと感じる。

陣地を占領する多人数対戦

陣地を占領する多人数対戦

オンラインによる2人協力プレイモードも

オンラインによる2人協力プレイモードも

 「魂斗羅:帰来」はソーシャルゲームらしく、さまざまなオンライン対戦モードが用意されており、実力勝負で対戦ができる。

 通常のストーリーモードは遊ぶと減り時間が経つと回復する「体力」があり、必要であれば課金をして体力を回復する。

 ステージをクリアするとアイテム購入用コインと武器を強化するためのアイテムが落ちる。ガチャによってもアイテムは入手可能で、何度もステージをクリアして武器と主人公のレベルを上げていく。

 アイテムのために何度もクリアするのは苦行だが、一方、ステージクリア時に最高評価を得た場合、1タップでステージクリアできるようになる。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン