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柳谷智宣のkintoneマスターへの道 第25回

「kintone Café 東京 Vol.6」in 原価BAR

「飲食店の悩みをkintoneで解決」をテーマにハッカソン開催!

2017年10月19日 11時00分更新

文● 柳谷智宣

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サイボウズ社が提供しているウェブサービス「kintone」は、一言で言うなら「簡単に自社の業務に適したシステムを作成できるクラウドサービス」だ。業務アプリを直感的に作成できるほか、社内SNSとしての機能も備えスピーディーに情報共有ができるなど魅力が盛り沢山だ。
本連載では、そんなkintoneの導入から基本機能の紹介、そしてアプリの活用法など、ビジネスの現場で役立つ情報を取り上げていく。第25回では、「kintone Café 東京 Vol.6」でハッカソンを開催してみる。

筆者の経営するバーで「kintone Café」をやることに

 「kintone Café」はkintoneのユーザー同士が自主的に開催する勉強会イベント。これまで日本中で165回開催され、東京では5回開催されている。しかし、2016年1月に第5回が開催されてから1年半以上開催されておらず、予定もないという。取材したかったので、地方に行くか……と検討していたところ、「kintone Café 東京」の運営者というかメインメンバーの人と話す機会があった。

 すると、なんなら筆者の経営する飲食店で開催しようか? という流れになった。もちろん、場所貸しは問題ない。あれよあれよと話が進み、第166回目のkintone Caféとして、「kintone Café 東京 Vol.6」が開催されることに。開催は10月12日、場所は「原価BAR 五反田」となった。

 テーマ、飲食店が利用するアプリをその場で開発するハッカソン。参加者が複数のチームに分かれて、時間内にkintoneアプリを作り上げるというものだ。

 そのためテーマは筆者が提示することになった。本連載でもいろいろとチャレンジしているように、単発のアプリであればもう自分で作成できる。そこで現在導入しようと思っているが、どうしていいのかわからない2点に絞った。

 9月6日に「kintone Café」のウェブサイトで告知し、13名が参加してくれることになった。

「kintone Café」のウェブサイトで告知

 当日、会場にWi-Fiが必要とのことなので、少し早く行ってセッティングすることに。そうしたら、フレッツ光なのに3Mbpsも来ていない。気が付かなかった……お客様からクレーム出なかったのだろうか。ということで、Wi-Fiが激遅で迷惑をかけることになってしまった。とはいえ、200kbpsでもkintoneは十分動くので、すごい! と締めておく。

 プロジェクターを持ってきていただけるとのことで、じゃあスクリーンは買っておかねば、とほとんど何も考えずキクチ科学研究所の「KIKUCHI SCIENCE LABORATORY GML-100W」を購入したところ、とんでもないサイズのスクリーンが届いて呆然。持ち運ぶために自立型を選んだのに、とても持てるサイズではなかった。まぁ、店舗で使うなら大は小を兼ねそうだったのでOK。

100インチくらいあればいいだろうとサイズを調べもせず購入したら大きすぎた。ネットショッピングは怖い

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お題を元にハッカソンスタート

 15時にはほとんどの参加者がそろったので、時間通りに「kintone Café 東京 Vol.6」が開催された。まずは、株式会社ジョイゾー代表の四宮靖隆氏から、kintone Caféの紹介と挨拶が行なわれた。

時間通りに「kintone Café 東京 Vol.6」がスタートした

ジョイゾー代表の四宮靖隆氏から挨拶

 続いて、筆者からお題の提示。1つめは、「顧客管理アプリが欲しい」というもの。取得、管理、分析したい情報がたくさんあるというわがまま要求だ。会員番号、名前、メールアドレス、電話番号といった基本的なものだけでなく、来店日時から担当者、その時のオーダーすべてを記録したいのだ。平均単価を知りたいというのではなく、その人の嗜好や指向、思考なども把握し、おもてなしにつなげたいという目的だ。現場の負担を減らすために、入力を簡易化して欲しいが、各種マスターアプリと連動して、多数のデータはきっちり管理したいとお伝えした。

 2つめが、「第23回 kintoneの導入相談カフェで根掘り葉掘り質問してみる」で取り上げた、導入相談カフェで相談して難しいと言われた案件。「カレンダーでシフトの管理を行いたい」というものだ。既存のカレンダーアプリでは情報の表示量が少なく、一覧性とカスタマイズ性が低いのだ。

 説明が終わったら、班分けして早速ハッカソンスタート。3人ずつ4チームにわかれて、開発がスタートした。

わがまま放題に、飲食店として欲しいアプリをお題にさせていただいた

とにかく多数のデータを取得し、新次元のおもてなしに活かしたいと考えた

 ハッカソンがスタート。時間は2時間15分くらい。最初はすぐに着手できる商品マスターや従業員マスターを作り、ダミーを入力し始める。そのうち、各テーブルに呼ばれて、個別にヒアリングされた。入場料のシステムや持ちたいデータについて細かく突っ込まれる。

 商品ごとの価格遷移のデータは持たなくてよいのか、とか顧客の写真はどうか、とか生年月日のデータはいらないのか、など。考えていなかったが、言われてみると全部欲しい。

 1~3班はお題1の顧客管理システムに着手していた。4班だけ驚いたことにお題2にフォーカスするという。

ハッカソンスタート!

第1班

第2班

第3班

第4班

人がkintoneを作り込んでいるのを見るのはすごい楽しいし勉強になる

なにやらプログラムらしきものを書いている人も

 筆者は、その間やることがなく、各班を回ったり撮影したりぶらぶらしていて申し訳なかった。一緒に参加できるように、早くkintoneマスターになりたい。

各班による発表

 そして、時間ぴったりに終了。各班の発表が行なわれた。まずは、1班。従業員と会員、メニューのマスターアプリに加えて、来店履歴アプリを作成。実際の入力は、自分の名前を選び、会員番号を選び、メニューを選んでいけばいい。数量やメモを入力して保存すればレコードが作成される。グラフでは、来店数や支払い金額などでランキング表示でき、VIPが一目瞭然で面白い。売上も出してくれて、経営判断にも使えそうだ。

第1班の発表

多数の情報を取得できるようにしてくれた。時間切れで消費税の小数点などが残っている

グラフで来店数や支払金額ランキングがチェックできる

 次は3班。入退店時間から滞在時間を記録できるようにしてくれた。考えたことがなかったが、このデータが集まれば、時間帯による傾向をお客様ごとにでも相対的にも分析に利用できそう。レコードの一覧で注文履歴が開くのもとても便利だった。グラフでは、クロス集計機能で、お客様がこれまでどのメニューを何個注文したかがわかる。

 さらに、履歴アプリには「今月誕生日かな?」というボタンがカスタマイズで付けられている。このボタンをクリックすると、顧客の誕生日をチェックし、同月の誕生日であればサウンドとメッセージを出すというもの。凝りまくっていて、思わず拍手。

第3班の発表

滞在時間も記録できるのは確かに便利

クロス集計で、お客様の嗜好や売れ筋商品がわかる

 2班も基本を押さえた構成になっている。店舗、商品、顧客マスタから、履歴入力画面にデータを引っ張ってきて、手軽に入力できる。店舗を選択することで、店舗ごとに異なる入場料を自動算出してくれるのもすごい。お題を作った筆者も考えていなかったが、確かにこの機能があるといろいろ便利になる。レコード一覧で注文が開くのも○。グラフでは商品別売上や、商品ごとにたくさん注文しているお客さんランキングを表示できるのがユニークだった。

第2班の発表

店舗の情報を管理できるのが便利

「製品別顧客ランキング」では、商品ごとにたくさん注文している顧客が表示される

 4班は、お題2特化。標準機能では無理だった、飲食店スタッフのシフト作成システムを作ってくれた。とは言っても、スクラッチではない。

 第4班のメンバーにラジカルブリッジ代表の斎藤栄さんがいて、同社の製品であるkintoneプラグイン「カレンダーPlus」を利用したのだ。高機能なカレンダー機能で、ドラッグ&ドロップでシフトを調整できるのが便利。カレンダーをクリックして登録できたり、名前の欄をマウスで広げられたり、言うことなし。ほかにもプラグインを使ったり、ごりごりとJavaScriptでカスタマイズしたりすごかった。ただ、飲食店の24時を越える時間の管理が少し難しそうだった。

第4班の発表

プラグインを使いまくっている

超絶便利な高機能カレンダー

 同じお題にチャレンジしても、ずいぶんアプローチが変わることに驚いた。開発にルートや正解は1つではないと改めて認識し、勉強になった。やはりほかの人の意見を聞くことは重要で、アプリ開発のヒントを多数いただけた。4班のカレンダーアプリにいたっては、プラグインの導入を検討しようと思う。

 筆者は初のkintone Caféとなるが、すごく実践的で勉強になると感じた。今後もチャンスがあれば、参加するようにしたい。

 そして、その後は原価BARで懇親会。やはり皆さんおいしいお酒や食べ物は好きだったようで、超盛り上がり。もはや懇親会というレベルではなく、夜中まで語り合った。

筆者の感想を述べさせていただいた

そのまま原価BARで懇親会。軽くと思ったら、超絶ヘビーな飲み会に遷移してしまった

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