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私たちの働き方カタログ 第9回

非フルタイム正社員の制度化を進めるビースタイルと「踊る広報」の2年

仕事もライフワークもあきらめない週3日勤務という選択肢

2017年10月26日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第9回は、主婦のパートタイム派遣事業を展開しているビースタイル。週3日勤務の社員としてライフワークのダンスと仕事を両立させている柴田菜々子氏と、制度面を練っている人事担当の岩本恵子氏に話を聞いた。

ビースタイル 広報 柴田菜々子氏

彼女は「目標を下げないでやらせてください」と言い切った

 仕事とプライベートの両立で悩みを抱えている社会人は多い。特に、余暇で楽しめる趣味というより、創作活動やスポーツなどを自らのライフワークとしている人は、創作や練習の時間が仕事で圧迫されることも多く、「どっちも中途半端」という状態になりかねない。結果として、長らく培ってきたライフワークをあきらめたり、パートタイムや時短勤務などで収入面をあきらめることも多い。

 これに対して、今回取材したビースタイル広報の柴田奈々子氏は、週5日のフルタイムから週3日勤務へと勤務日数に変えたことで、自らライフワークとするダンスに全力集中できているという。「フルタイムで働いたときは、練習に行ってもフリ覚えるだけだったし、公演も年に1回が限界でした。でも、月に1~2回は本番ができて、体力も大学時代に戻ってきました」とうれしそうだ。

 とはいえ、勤務日を週2日も減らすので、アウトプットのための効率化は簡単ではなかった。「上司と相談の上、広報以外の雑務をはぎとり、現場ヒアリング、プレスリリース興し、記者との面接、取材対応などの広報業務も、生産性の高い業務にフォーカスして時間を捻出しました」(柴田氏)。また、取材の調整などはスマホとメッセージを中心に進めつつ、本人が会社にいなくても仕事が回るよう体制作りを構築した。「踊る広報」という自己アピールも積極的に行ない、周りの理解も得られるようにした。「私を知っている方であれば、週3日勤務であることを知っているので、『逆に柴田さん、明日いますか?』と聞いてくれます(笑)」(柴田氏)。

 一方で、成果に関しては、週5日勤務と同じレベルを自ら課した。人事ユニットの岩本恵子氏は、「『週3日勤務だから、ここまでしかやらない』というのは違うと思います。でも、彼女は『目標を下げないでやらせてください』と言い切ったんです」と語る。総じて、周りの協力と意思を通すための本人の努力が週3日勤務をワークさせている背景にある。

ビースタイル 人事ユニット マネージャー 岩本恵子氏

会社を辞めるつもりで人事に駆け込んだ

 柴田氏が週3日勤務を初めてちょうど1年が経つが、きっかけは2年前に「辞めたい」という話をしに、人事ユニットに駆け込んだことだった。柴田氏は、「新卒で入って2年目、ちょっと落ち着いてきた頃に、20年近くやってきたダンスにきちんと取り組みたいという気持ちが沸々とわいてきました。でも、仕事とダンスを両立するのは正直難しい。むしろ中途半端になるのは申し訳ないって思って、会社を辞めるつもりで人事部に行ったんです」と振り返る。

 そんな柴田氏に道を開いたのは、ビースタイル会長の三原邦彦氏、そして多様な働き方を模索してきた同社の人事ユニットだった。「会長には、仕事とプライベートを“or”じゃなくて、“and”で実現できる方法を考えてみてはどうか? と提案してもらいました。こうして1年試行錯誤して、週3日だったら働けるということになったんです」(柴田氏)。同時に、これを特例とするのではなく、制度化する検討にも入った。岩本氏は、「三原からは柴田が辞めたがっているので、力になってくれ、(週3日間で働ける)制度を作ってくれと言われました」(岩本氏)。

 主婦や若者のパートタイム派遣をビジネスとしている同社としては、柔軟な働き方は事業面でもシナジーがある。創業当初は週5日間の正社員しかいなかったが、すぐにパート勤務が増え、その後、時短が解禁になった。現在は在宅勤務や副業も可能になっており、柴田氏のケースを元に週3日勤務の正社員を制度化しようとしている。「私自身も時短勤務やパートなどさまざまな働き方をしてきて、そのたびに制度を作ってきました。柴田が相談してきたときにちょうどエンジニアの部門ができたタイミングでもあり、今後、柴田と同じ理由で辞めたいと考える人がいるのであれば、週3日勤務も制度としてあったほうがよいと思いました」(岩本氏)。

 一方で人事から見た制度化でのポイントは、やはり評価と給与だという。「職能給から役割給に切り替えたタイミングで、制度化の壁は感じなくなりました。柴田は時間よりも役割が重視されたエキスパート職に上がったので、このタイミングで制度化まで持って行けると思っています」(岩本氏)。

まるで姉妹のように仲のよい二人。人事部に気軽に相談できる環境も大きかったようだ

 ライフスタイルの変化にあわせて、ライフワークや育児、自己啓発などと仕事を両立できる制度面での「落としどころ」を模索していくのが、同社の働き方改革の鍵となってきそう。「私も創業期はある意味“誇りを持って”長時間労働してきました。でも、それってもはや時代に合わなくなっている。だから、うちでは残業時間が長いと、もはや表彰からは外れてしまいます。会社としても『残業ってかっこ悪い』という風土作りを進めています」(岩本氏)。

会社概要

主婦層に特化した人材サービス事業。社会人経験豊富で優秀な主婦層の人材に企業で活躍いただくことで、主婦の雇用創出や企業の生産性向上に貢献する事業を運営しています。パート・アルバイト、在宅請負、人材派遣、契約社員・短時間正社員等の幅広い雇用形態での就職・採用を支援し、主婦登録人数は延べ約23万人、延べ雇用創造数は15年間で約12万人。利用企業数は5000社(※求人媒体の実績除く)に及びます。

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