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T教授の「戦略的衝動買い」 第452回

落とし物防止に確実な「電子鈴」を衝動買い!

2017年10月18日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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スマホもクラウドも不要。ひょっとしたら最先端の先端に位置する「電子鈴」

スマホもクラウドも不要。ひょっとしたら最先端の先端に位置する「電子鈴」

量販店でも見かけるようになったBluetoothタグ

 そろそろ周辺機器の登場も手詰まり感のあるスマホ関連だが、ごく普通の量販店などに行って驚くのは、スマホとBluetoothで接続して、キーホルダーやカバンなどの大事なものを失くさないような仕組みを実現する“Bluetoothタグ”が専用コーナーで何種類も売られていることだ。

遺失物を拾ってくれた人の良心を支援する返送先QRコード記述の迷子札。クラウドサービス登場の頃のプロト製品だ

遺失物を拾ってくれた人の良心を支援する返送先QRコード記述の迷子札。クラウドサービス登場の頃のプロト製品だ

 筆者が本連載で昨年秋頃に紹介した時には購入できるのはほぼネットショップのみ。製品の設定作業から安定した動作保証まで、どこをとってもマニアックな人間用のお遊びガジェットの域を出ていなかった。

数年前のスマホ連携するBluetoothタグ(左)と、もっと格好いいスマホ不要で口笛に反応して声を上げるローテクタグ……なかなか使える

数年前のスマホ連携するBluetoothタグ(左)と、もっと格好いいスマホ不要で口笛に反応して声を上げるローテクタグ……なかなか使える

なぜか昨今流行のカラフルなBluetoothタグ。ちょっとオシャレなガジェットと思えば良いと思う

なぜか昨今流行のカラフルなBluetoothタグ。ちょっとオシャレなガジェットと思えば良いと思う

 そんな製品が街の大型家電ショップのスマホ売り場の横で、ガラケーからスマホへの移行に躊躇しているごく普通のマトモな人が扱える一般的なモノに急成長するとは夢にも思っていなかった。本当に大丈夫なのだろうか? やっぱり夢なのか?

 遺失物を失くさないようにプロテクトする単能電子ツールは1980年代後半には、米国のFry'sやCircuit Cityなどの家電ガジェット系ショップの定番花形商品だった。

 特殊無線技術を利用したこれらの商品は、現代のように世界標準のBluetooth Technology採用なんて大義名分はなかったが、見方を少し変えれば現代のBluetooth無線技術を採用したガジェットよりもはるかに実用的なモノが多かった。

 昨今のBluetoothタグの人気は、製造各社が人気を煽って頑張っているのか、メディアとSNS広告の成果ですでに一般的な認知と信頼を獲得したのか、筆者にはよく分からないが、まずは人気のBluetoothタグの軽いおさらいをしてみよう。

 Bluetoothは二十数年前、北欧エリクソンがキックオフした2.4GHz帯を使用する無線通信技術だ。開発コードネームであったバイキングの王様の名前をそのまま冠したテクノロジーは長い間、さまざまなモバイルPCや携帯電話、マウスやキーボード、PDAや電子ペンなど、多くのクライアントに採用し続けられながら、さまざまな理由からなかなか実を結ばなかったテクノロジーだ。

 そんなBluetoothが一般的に認知されるようになったのは、スマートフォンの登場が大きな貢献役を果たしている。スマホの出荷増の勢いに乗ったBluetoothは、もはやスマホの無線接続の周辺機器のすべてがそうである印象をうけてしまう。Bluetoothタグはそんな周辺機器の中の一つの象徴だろう。

 ハードウェアの開発にそれ程大きな投資も負担も必要とせず、必然か偶然かは見方によるが、時期を同じくしたクラウドファンディングの流行との相性も良かった。結果的に一気に数多くのBluetoothタグの登場となったようだ。

 筆者はすでに互助会的クラウド活用によるトラッキングサービスの付属した何種類かののBluetoothタグを購入してみたが、製品名称が違ってもおおよそできることは酷似している。

スマホと連携して、距離に応じてスマホ画面上に反応を表示する

 基本的にはBluetoothタグ(販社によってなかなかユニークな名前が付けられている)とスマホをペアリングし、両者がBluetoothの到達距離(クラス2で10m前後)を超えると両者いずれか、あるいは両方の警告音が鳴る仕組み。

流行は、遺失物はクラウドサービス内のコミュニティでみんなで探そうイメージ

流行は、遺失物はクラウドサービス内のコミュニティでみんなで探そうイメージ

いつまでたっても見つけてくれなかったので\(^o^)/、もう一台のスマホに無理やり見つけさせてみた

いつまでたっても見つけてくれなかったので\(^o^)/、もう一台のスマホに無理やり見つけさせてみた

理論的にすべてが理想的に動けば、このようにコミュニティーが貴方の遺失物を発見してくれるはずだ。都内で数百万個売れれば可能かも……

理論的にすべてが理想的に動けば、このようにコミュニティーが貴方の遺失物を発見してくれるはずだ。都内で数百万個売れれば可能かも……

 そして限界を大きく超えると、その時点のスマホのGPSの位置情報が時刻とともに事前に設定したクラウドサービスにアップロードされ事後確認できるので、遺失物の発見が捗る……というのがおおよそのストーリーだ。

 送信されるのは、Bluetoothタグの位置情報ではなく、スマホの位置なので、実際にはその位置を中心に半径10メートルくらいが紛失場所の目安となる。

 スケジュール管理で予定をきちんと記述していれば、その時刻にどこにいたか明確なので、発見はより容易だというのが、システムに明るい一般的な人の論理的かつ美しい納得の仕方だ。

 もちろん、昨今ではそれくらいは当たり前で、多くのBluetoothタグは同じシステムを利用するユーザー同士のSNS的なインフラ共有スタイルに移行しつつある。

 簡単に言ってしまえば、同じクラウドサービスと同じメーカーのBluetoothタグを使うユーザー同士が、ゲートウェイになる自分のスマホを他人のBluetoothタグにも利用させる共有設定の互助会的仕組みだ。

 記憶のない内にどこかでなくした貴方のBlueetoothタグの付いた財布やカバン、キーホルダーなどは、偶然にそのそばを通りかかった同じ共有設定をしたユーザーのスマホをゲートウェイにして、貴方のBluetoothタグが付いた遺失物がその場所にいた状況をクラウドサービスに連絡して見つかるという極めて美しい論理的なストーリーだ。

 しかし、残念ながら美しいか美しくないかは別にして、このように見つかるケースの確率は極めて低い。

 ましてや、多くのBluetoothタグのメーカーが同時に存立し、それぞれが別のクラウドサービスを使っている限り、そのユーザー総数が関東圏の4000万人を超える中でどれほど増えても誤差の範囲を出ない。

 昨今は、遺失物センターにゲートウェイ機を設置する新手の動きもあるが、実効リカバリー精度は、計算上の理論値は別にして大同小異だろう。

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