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デキる人が「特定領域の仕事に縛られる」悩みを解消するには

2017年10月12日 06時00分更新

文● 中野豊明(ダイヤモンド・オンライン

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特定領域にやたら強い専門家や職人のような人材は、どの会社にもいるだろう。本人がそれを自覚し、さらなる「高み」を目指す場合ならともかく、本人がそれを意図せずに「縛られている」と考える場合は少々問題だ。まさに、あなたが「いまの職場や仕事に縛られている」と感じるのなら、どういう解決方法があるのだろう。異動希望を出すのが直接的な方法だが、その前にぜひ試していただきたいことがある。(アクセンチュア マネジング・ディレクター 中野豊明)

かつて「コンサルは要らない」と言われた筆者
「自分の価値」をどのように見出すか

 北海道日本ハムファイターズの大谷翔平が来期のメジャーリーグ移籍の意思を固めたと伝えられている。160km/h以上の速球を投げ、打席に立てば決勝打を放つ傑物の米国への移籍は日本のファンにとっては寂しい限りだ。

 一方で、野茂、イチロー、松井などから連なる日本プロ野球界のスター選手のメジャーリーグでの活躍を見れば、大谷がメジャーに移籍したいと思う気持ちも理解できるし、先人たち同様に思う存分躍動してほしいと願うのもまたファン心理だろう。

 若手時代に、私はある顧客から「コンサルという職業は本来であれば要らない職業だ。自社に能力のある人材の余力があれば、わざわざ費用を払って外部に委託する必要はない」と言われて、ひどくショックを受けたことがある。

 コンサルを取り巻く環境も当時とはずいぶん変わってきているし、実際に手足を動かして顧客に価値提供をするために奮闘することがコンサルの日常でもあるので、「不要だ」と言われるのはさすがに事実とは異なると思うものの、ある一面においては先の顧客のコメントも納得できるものではある。

 私の心の整理がついたのは、「コンサルはサービス業だ」と割り切ったからである。多くの人にとって、スポーツ選手は生きるために必要なわけではないが、「入場料を払ってもスタジアムに見に行きたい」と思わせる魅力を彼らは持っている。

 コンサルも同様にサービスに必要性を感じてくれる人がいれば、顧客にとって報酬は払う価値があるものになっているはずである。

スタープレーヤーのジレンマ
特定の領域・職場に縛り付ける問題点

 少々前置きが長くなったが、今回は社内の“スタープレーヤー”について言及してみたい。読者の皆さんの周りには、「新規顧客営業と言えばAさん」や「海外工場の品質アップと言えばBさん」のように、「ある領域で非常に優れた強み」をもった人はいないだろうか。

 もしくは自分自身にそういった心当たりがある人もいるかもしれない。

 特定領域に強みを持つことは素晴らしいことで、高い専門性を磨き、余人を以て代えがたい人というのは、非常に価値が高い人である。本人がそれを意気に感じて、さらなる高みを目指そうとしている場合はなおさらだ。

 しかし、本人がそれを意図しないにもかかわらず、「特定領域に縛られているような人」は少々問題だ。

 このような人たちは、本人にしてみると「レッテルを貼られている」と思っているかもしれない。実のところ、こうした状況に悩んでいる人は少なからずいる。しかも、本人も周囲の人たちもこうした人のスキルや潜在能力が「特定領域に留まらずに高い」と認めているのにもかかわらず、である。

 こうした状況は本人の問題ではなく、職場の環境による場合もあるだろう。例えば、上司が特定領域を決めつけて固定的な作業の指示しかしない場合や、チームで動こうと思ってもそもそも要員が足りずに、本人が担当せざるを得ないような場合だ。

 上記いずれの場合にも当てはまらず、自分の工夫で状況を打開できそうなのに毎日の仕事に忙殺され、何も手立てが打てていない場合には、まず足元から見直してみよう。

どのように殻を破るのか
自分のタスク管理のやり方を見直す

 そこで、筆者が提案したいのが、自分の「タスク管理のやり方」について見直してみることだ。

 なぜ、タスク管理のやり方を見直すことが、「自分の殻」を打ち破ることに結びつくのか。

 まず、自分の仕事の効率が上がり、自分のキャリアプランを冷静に見つめ直す余裕が生まれる。加えて、マネジメント能力や問題解決力などが向上するので、上司や周囲からの評価が総合的に上がり、今後のキャリアプランについてもアピールしやすいからだ。

 そもそも「タスク管理」、「To-Do管理」などの自分やチームの活動を管理する手法は、日常の作業を効率的に実行するための手段だが、系統立てて理解し実践できているケースは案外少ないのではないか。これをしっかりと実践してみることが大切だ。

 筆者が勤務するアクセンチュアでは、こうしたタスク管理のスキルはプロジェクト管理のスキルと同様に重要視されており、新入社員は新卒であろうと経験者採用入社者であろうと、必ず受講するトレーニングになっている。以下にその概要をお伝えしよう。

 (1)実行すべきタスクを見極めるために「作業の要件」を知る

 タスク管理というと、作業計画を立てて作業を実行しその進捗や課題を管理することに注力しがちであるが、まず、最初に行わなければならないのは実施すべきタスクの最終的なゴール(成果物)の姿や、その実現時期(納期)の見極めである。

 実際に作業を始める前に、自分やチームがどのようなものをいつ、どういう形で仕上げる必要があるのか、依頼者によく確認をしておく必要がある。これを理解しないと、依頼者の意図とはまるで違ったものを作成、作業することに無駄な時間を費やす結果を招きかねない。

 (2)タスクを実行するための準備を行い「作業計画」を立案する

 要件を理解し、ゴールのイメージを固めることができたら、そこに至るまでの詳細な作業にブレークダウンする必要がある。このようにして、ブレークダウンして個々の作業に分解されたものが“タスク”であると認識することが重要だ。

 例えば、会議開催にしても、出席者は誰か、開催日時はいつか、場所はどこか、何を話し合うのか、事前に必要な準備は何か、どのような会議結果を期待しているのか、その結果を誰にいつまでにどのような形式で報告するのか、その結果を受けた次のアクションは何か、という個別のタスクに分割され、これらを計画、実施するのに必要な時間がかかる。もちろん、それぞれのタスクを自分一人でやるのか誰かと分担して行うのか、という点についても確定しておく必要がある。

 さらに、これらのタスクに必要な時間を割り当てて、積み上げたものが全体の作業計画になるし、個々の作業について予定と実行状況を管理することがタスク管理の要諦となる。

 (3)タスクを実行し計画との予実管理を行い「報告」する

 一般にタスク管理というと作業を実行して、進捗を管理するというイメージで、この作業のみがフォーカスされることが多い。もちろん、タスクを実施していく上ではメインの作業はこれであることは間違いないが、それまでの準備も重要であることは既に述べた通りである。逆にきちんとした計画ができさえすれば、突発的な課題やリスクが発生しない限り、作業実行自体は難易度の高いものではない。

 唯一重要なのは、結果をいつ誰にどのように報告するかということと、結果に依頼者の要望とのギャップがないようにすることだ。作業の最終的な“完了確認”をしてもらうまでがタスク管理であることを認識すべきである。

 先にも述べたが、特定のスキルや専門性が高い人にはどうしても作業が集中しがちである。これを効率的にこなしていくためには、作業を計画的に無駄なく進めることが必要で、それにはタスク管理のスキルを身につけておくことが役立つ。

 また並行して、過去の事例や資料、自分や自分以外の要員を活用できる余地がないかを常に検証し「作業をどうやったら楽に進められるか」を四六時中考える必要もある。

 しかし、それでもどうしてもレッテルを嫌い特定領域から離れたい場合、このままではある種の「“器用貧乏”に陥ってしまう」と不安な時には、大谷翔平のように思い切って“FA宣言”をしてみるのも手かもしれない。「すぐに転職」というわけではなく、弊社を例とすれば、社内で希望するポジションをグローバルで探せる制度があるし、他の企業でも同様の仕組みを持つ会社は多数ある。

 その気になって探せば機会や方法はいたるところにあるはずである。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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