端末購入の補助が弱い場合は、格安SIMが有利になってくる
では、iPhone以外だとどうなるか。機種によって割引施策はさまざまだが、定価が3万円程度のエントリークラスからもう少し上のミドルレンジの機種では、残念ながら得にはなりにくい。
なぜなら、3大キャリアの場合、どの機種を買っても実際の支払い額に大きな差はなく、割引や特典の大きなハイエンド機種を買ったほうが得な図式ができているからだ。
たとえばスペックはエントリークラスで、ずっと料金から毎月1620円が割引となる「docomo with」対応機種の「arrows Be F-05J」。
機種代金が2万8512円なので、分割払いで購入するだけで、月々の支払いが1188-1620=マイナス432円。つまり、24ヵ月で1万368円安くなる。
一見、月々の支払いがマイナスになってスマートフォンも手に入る、という美味しい話にも見えるが、ただ、ドコモの料金は高い。
arrows Be F-05Jの毎月かかる料金の24ヵ月分:5510×24=13万2240円
一般的な格安SIMの24ヵ月料金と3万円の機種購入:2600×24+30000=9万2400円
差額:約4万円
いくら月額費用が安くなったからといっても、格安SIMよりはだいぶ高く、月額料金は単体利用で5942-1620+1188=5510円から。しかも2年縛りもある。そして未来永劫月額1620円引きの権利を手に入れたとしても、2年後に特典満載でdocomo with以外に機種変更した場合はその権利は消滅する。
ほかに割引がなく、月々1620円程度の割引であればさっさと格安SIMに乗り換えてしまい、同程度のSIMフリースマートフォンを購入してもいいだろう。
SIMフリースマートフォンのエントリークラスのなかには3万円前後ながら性能も十分の最新機種「HUAWEI P10 Lite」を筆頭に、コストパフォーマンスの高い機種がゴロゴロある。
格安SIMは手持ちの端末がある場合が最もお得だ
筆者の考える最も格安SIMがお得になるパターンは、現在手持ちの機種をそのまま使い、SIM交換により格安SIMに乗り換えるという方法だ。
ドコモの機種を持っている場合や、auのVoLTE対応より前の機種はそのまま乗り換えが可能。それ以外でもSIMロック解除できる機種があれば、その機種を使って格安SIMに乗り換えることができる。
最近は端末を新しくしてもできることに変化がないことがある。また、iPhoneは安価な修理サービスが充実してきたため、わずかな修理代金でバッテリーをリフレッシュさせ、古い機種でも問題なく使い続けられる。
もし、今の端末のまま使い続けるならば、そんなときこそ格安SIMにMNPして、月々の費用を抑えたほうがいいだろう。
また、家族にスマートフォンを持たせるため、古くなった機種を活用するという場合も格安SIMがお得だ。
3大キャリアで家族契約をして家族内の通話料無料を実現する方法もあるが、今どきの家族は通話をするよりもメッセージ送信が一般的。どうしても通話をするならSNSアプリの通話機能を使えばいいため、家族割による通話料無料はあまりメリットがない。家族割だけが3大キャリア残留条件なら、一度使い方を精査してみよう。
格安SIMは流動的な立場の人も有利
暗い話になるが、今の世の中、突然仕事をクビになってしまうケースは残念ながら増えている。そんなときも格安SIMは役に立つ。万一、スマートフォンの利用料が払えなくなった場合でも格安SIMは解約しやすい。
データ専用回線では加入料なしですぐ解約でき、音声通話が付いた回線でも、縛りは「OCN モバイル ONE」のように半年と短いところから長くても1年ほど。
しかも、その期間を経過すればいつでも解約に費用はかからない。なかには「mineo」や「イオンモバイル」のように、MNP転出でない純粋な解約なら一切違約金がかからないところもある。
なお、「Y!mobile」や「UQ mobile」も格安SIMとして分類されることもあるが、筆者は別カテゴリーと考えている。
IIJmioやOCN モバイル ONE、mineoと異なり、2~3年契約が事実上必須で、長期契約を見込んだ非常に安い端末価格となっている。料金が多少安くてもドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアとわずらわしさに違いはない。2年目から料金が上がることをはじめ、契約条件をよく理解した上で契約してほしい。
格安SIMは必ずしも得にならないが、試すのも悪くない
iPhoneについては格安SIMが必ずしもお得ではないことがわかった。端末購入まで含める場合は、3大キャリアの特典をフル活用し、さらに安い店まで見つければ、格安SIM以上の条件でiPhoneを維持できる。
格安SIMは解約も比較的しやすく、MNPで3大キャリアに戻ることもできるため、気軽に試してみるのも全然アリだが、絶対的に安くなるわけではないことも、十分に理解した上で契約してほしい。
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