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AWSを激しく攻撃するクラウド担当幹部に「なぜAWSは成功できたのだと思うか?」を聞く

オラクル発表の新クラウドDB、価格と自動化「以外」のメリットは?

2017年10月11日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 10月1日より5日間、米サンフランシスコで米オラクルが開催した年次イベント「Oracle OpenWorld 2017(OOW 2017)」は、最新のデータベースを「アマゾン(AWS)の半分の価格」だと触れこむラリー・エリソン氏(経営執行役会長兼CTO)の言葉で幕を開けた。

 エリソン氏の言葉は、運用自動化を最大の特徴とする次期データベース「Oracle Database 18c」をアピールするためのものだが、それでは「価格」と「自動化」以外にOracle DBを選ぶ理由はあるのか? また、オラクルはパブリッククラウドでどうやって戦うのか? OOWの会場で、Oracle Cloud担当シニアバイスプレジデントのスティーブ・ダヘブ氏に聞いた。

米オラクル Oracle Cloud担当シニアバイスプレジデントのスティーブ・ダヘブ(Steve Daheb)氏

AWSへの激しい攻撃、エリソン氏の真意は?

 エリソン氏がAWS(Amazon Web Services)を攻撃するのは、これが初めてではない。むしろここ数年の常であり、Oracle CloudがIaaSに本格参入した2016年には「アマゾンのリードを終わらせる」とまで断言していた。

 ただしIaaS市場において、オラクルは上位5ベンダーに入っていない。AWSの優位は明白であり、たとえばシナジーリサーチグループによる直近(2016年第4四半期)のデータによると、AWSの市場シェアは40%を越えている。もっともオラクルも、シェアは低いものの直近の四半期決算でクラウドの売上高が前四半期比51%増の約15億ドルとなり、初めて新規ライセンスの売り上げを上回ったことを報告している。

2016年第4四半期、パブリッククラウド(IaaS+PaaS)市場におけるシェア。AWSは約40%で、それに次ぐマイクロソフト、グーグル、IBMの3社を合計しても及ばない(出典:Synergy Research Group)

 エリソン氏は今年、OOWでOracle DB 18cをベースとした「Oracle Autonomous Database Cloud」を発表するにあたり、AWSのデータウェアハウスサービス「Amazon Redshift」を使って同じワークロードを動かすデモを行い、自社製品のほうが高速であるうえ、価格も安いと強調した。これに対し、AWS関係者は「(エリソン氏が)騒いでるだけだ」とコメントしたと、Business Insiderは報じている。

OOW基調講演に登壇した会長兼CTOのラリー・エリソン氏。「Oracle DB 18c」や「Oracle Autonomous Database Cloud」を発表するとともに、AWSに対する優位性を繰り返し強調した

 OOW会場でインタビューに応じたダヘブ氏は、AWSに激しく敵意を燃やすエリソン氏の真意を、次のように説明した。

 「クラウド(コンピューティング)を語るときにフォーカスされるトピック、そしてクラウドの意味を再定義したい。クラウドはコンピュート、ネットワーキング、ストレージだけではないし、アプリケーションだけでもない。SaaS、PaaS、IaaSすべてを含むものだ」(ダヘブ氏)

「Oracle DB 18cが狙うのは既存の顧客だけではない」クラウド担当幹部

 今回のインタビューにおけるダヘブ氏に対する質問と回答は以下のとおりだ。

――なぜAWSは成功することができたのだと分析していますか? また、Oracle DB 18cの発表では「価格」と「自律性」を強調していますが、それで顧客を引きつけることはできるのでしょうか。

ダヘブ氏:AWSはクラウド市場で成長したが、その(売上の)80%以上はIaaS、つまりコンピュート、ストレージ、ネットワーキングだ。データベースではない。データベース分野ではオラクルが世界をリードしており、「データベース最大手」というオラクルの位置付けを変えるものではない。

 OOW(の基調講演)では、オラクルとAWSのデータベースを比較した。コストは、性能のみに特化した比較だ。AWSが240秒かかる処理をオラクルなら40秒でできるので、秒あたりのコストが同じならオラクルのほうがコストは低い。さらに、自律性というオラクルにしかない特徴によって、管理コストも下がる。(データベースを)プロビジョニングしたりパッチを当てる人のコストも削減される。

 ラリー(エリソン氏)は「コストはAWSの半分」だと言った。AWSは反論したようだが、数字は嘘をつかない。われわれは不可能なこと、不確実なことは言わない。実際、Amazon RedshiftのWebサイトには「Redshiftのリサイズには数時間~数日かかる」「スケール中はアベイラブルではない」などと書かれている。

 データベースを購入する顧客の多くが、ミッションクリティカルなアプリケーションを動かしたいと考えている。またミッションクリティカル性を必要としない場合でも、拡張性、性能、相互運用性、データガード、RAC、インメモリといった特徴が、オラクルを選ぶ要因になっている。

 車を買うときには、単純に「安ければいい」とは考えないだろう。安全性も考えるはずだ。オラクルのデータベースを選ぶ顧客も、オラクルが持つさまざまな特徴を評価して選択している。われわれには40年の歴史があり、技術とノウハウを持っている。それに加えて今回は、「価格」が理由でオラクルを選ばないということがないようにした。オラクルを選ぶ理由は、コスト、性能、機能、相互運用性、ノウハウや専門知識など。われわれはこれを武器に戦っている。実際、アマゾン(のサービス)はオラクルのデータベースで動いている。Redshiftではない。

 事実として、われわれは最速で成長しているクラウドカンパニーだ。クラウドのトランザクションは毎日600億件ある。

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