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ソニー生命、元所長の1億円超詐取で露呈した残念すぎる体質

2017年10月10日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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社員による現金詐取を知らせる封書を全国の契約者に送ったのは、発覚してから約5カ月後だった Photo by Masaki Nakamura

 ソニー生命保険が揺れている。事の発端は今年4月。高松支社の社員が個人年金保険などの契約を装い、顧客などから現金をだまし取っていたことが発覚したためだ。

 ライフプランナーと呼ぶフルコミッションの営業社員を約5000人も抱える中、一社員の不祥事として事態が収束しなかったのは、合計で1億3521万円という被害金額の大きさだけではない。

 事後対応をはじめとして、ソニー生命の残念過ぎる企業体質と、お粗末な内部管理体制が浮き彫りになってしまったからだ。

 まず首をひねりたくなるのが、同社が社内調査を始めた4月から同社員が自主退職した5月末までの間、本人を出社させていたこと。

「本人からヒアリングするため」と説明するが、証拠隠滅などの恐れがあるため、顧客への不正行為が疑われる場合は、社外でヒアリングを行い、本人は出社させないのが鉄則だ。さらに関係者によれば、同社員は不正発覚後も「部下に指示をするなど一部業務をしていたことがある」といい、会社側の説明と食い違っている。

 また、被害は同社の顧客以外にも及んでいるほか、架空の保険契約の配当金原資を捻出しようとして、複数の知人から多額の借金をしていたことも判明している。そのため、今回の詐取事案に関わる被害金額は、今後さらに膨らむ可能性があるのだ。

監督当局が4年ぶり検査

 ところが、被害状況の全容把握と注意喚起のために事案をホームページで公表したのは7月18日。全国約230万件の契約者に同種の封書を送ったのは、金融庁が4年ぶりの立ち入り検査に踏み切った後の9月下旬という始末だ。

 公表・通知までに間が空いたのは、社内調査を進めている最中のためというが、これは不祥事などの危機管理対応として、最悪とされる典型。「隠蔽しようとしていたのでは」などといった疑念を、いたずらに自ら招いてしまった。

 同社員が高松支社の第一営業所長として、16人のライフプランナーを抱える立場だったことも、ソニー生命にとっては大きな痛手だ。

 営業所長は、ライフプランナーの採用と指導・監督が主な役割だ。だが、配下のライフプランナーが獲得した契約の多寡が自らの報酬に直結する仕組みだけに、採用や部下の契約獲得を優先するインセンティブが働きやすい。「これは氷山の一角。表面化していない不祥事すれすれの契約獲得は少なくない」と、ある生保幹部は明かす。

 加えて、顧客との面談など日々の営業状況を細かく記録し、所長が把握できる体制になっている一方で、所長自身の行動については監視の目が行き届きにくい。

 こうした契約優先主義や現場任せの企業体質が不正を生む大きな要因であり、金融庁が実施している検査の最大の焦点といえる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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