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新株式市場「東京プロマーケット」に上場目指す企業が増える理由

2017年10月09日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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「東京プロマーケット」の認知度はまだ低いが、上場すれば他市場と同じく鐘を鳴らせる。名刺には「東証上場」のロゴ(右下)も入れられる 提供:日本取引所グループ

「社名を売って商売を広げたい。それもできるだけ早く」。来春にも東京証券取引所のプロ投資家向け市場「東京プロマーケット」へ上場を目指す、ある企業トップは鼻息が荒い。

 まだ規模の小さな成長途上の企業にとって、業容拡大には知名度や信用力向上が肝。そんな課題の解決に向けた場として今、人気上昇中なのがこのプロマーケットだ。

 無論、一定の成長性や内部管理体制などが前提だが、比較的容易に手早く「上場企業」の看板を狙える利点があり、社員の士気向上や人材確保、事業承継や地方創生の観点からも有用と目されている。

 世間の認知度は低いが、同市場には10月上旬時点で19社が上場。同月下旬に上場予定の4社を含め、今年度は既に過去最多6社の上場が決定済みだ。関係者によれば他にも候補企業が幾つも控えており、市場創設以来の上場社数は今年度中、累計30社に至る見込みという。

初の“昇格組”も誕生へ

 また同市場に上場中の一社は現在、水面下で東証の新興市場への市場変更に向けて準備を進めている。これが実現すれば、プロマーケットから初めての“昇格組”が誕生することになる。

 そもそもこの市場が「プロ向け」たるゆえんは、リスク許容度の高い「特定投資家」という層しか買い付けができないことにある。

 東証1部や2部、マザーズといった他市場と違って形式的な上場基準はなく、取引所が認証した「Jアドバイザー」と呼ばれる主幹事が上場審査・上場後の管理業務を行うことも特徴だ。監査証明に要する期間が短く、冒頭の企業のように迅速な上場を目指すため活用される例もある。また内部統制報告や四半期開示が免除されており、相対的に上場コストも低い。

 そんなプロマーケットはもともと、東証が英ロンドン証券取引所と合弁で2009年に設立した「東京エイム」に端を発する。だが、2年以上も上場企業数が0であるなど苦戦続き。紆余曲折を経て、12年にはロンドン証取と提携を解消し、現在の形で再出発した。

 課題は、流動性が極めて乏しく、市場での資金調達がしにくいという点だ。今なお、いずれの銘柄も売買はほとんど成立していない。

 またJアドバイザーの資格を持つ証券会社は大手を含め10月上旬時点で9社あるが、実際に主幹事を務めた実績があるのは当初から同市場に参入していたフィリップ証券、沖縄Jアドバイザーの2社のみ。大手証券はコストに見合わないこともあり静観を続けている。

 とはいえ、資金調達については、プロマーケットへの上場を機に第三者割当増資などでファイナンスを実現した例が複数あり、Jアドバイザーについても、近く新たな参入者が見込まれているという。

 まだ小粒ながらニーズや規模は着実に拡大中。上場の裾野拡大を担う意味でも、今後の動向が注目されている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田幸平)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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