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ASCII STARTUP ACADEMY第22回

アスキースタートアップ セミナーレポート

「CeBIT出展してよかった」 パートナーカントリー日本企業の成果

2017年10月10日 07時00分更新

文● 加藤肇 編集●ガチ鈴木/ASCII STARTUP 撮影●曽根田元

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 2017年4月20日に開催されたASCII STARTUPのセミナーイベント“CeBIT 2017報告会 ~過去最大規模118社の日本企業が出展 欧州進出の成果は?~”。2017年3月20日~24日にドイツ・ハノーバーで開催されたB2BのITビジネスに関する総合展示会“CeBIT 2017”をテーマに、実際に出展した企業の担当者らがプレゼンやトークを展開した。CeBIT出展に興味をもつ参加者が集まったイベントの模様をお届けする。

 第1部では、CeBIT 2017を実際に現地で取材したITジャーナリストの山口健太氏と、日本側の担当としてCeBITに携わっている日本能率協会 産業振興センター ドイツメッセ日本代表部の竹生学史部長が登壇。写真を示しながら、CeBITの概要や現地の様子などを紹介した。

IoTの発展で変化するB2B展示会

 最初にプレゼンした竹生氏は、来場者数が約100ヵ国から約20万人、出展社数は約70ヵ国から約3000社、5日間の開催期間中のセミナー数は約2000本といった数字を挙げ、CeBITの開催規模を説明。B2Bに特化しているのは「ほかのIT展示会との差別化を図るため」とした上で、「出展はソフトウェア企業が多かったのが、最近はIoTの発展に伴いモノの出展も増加傾向」とトレンドを紹介した。

 続いてプレゼンした山口氏は、取材中に撮影した写真をスライドで見せながら、イベントの概要を紹介。2017年は日本がパートナーカントリーだったため、安倍晋三首相も会場を訪れてドイツのメルケル首相とともにブース視察などを行なったこと、それにともなって会場のセキュリティー対策が厳しくなったこと、レセプションイベントのお寿司コーナーは職人の握るペースが追いつかないほど盛況だったことなどを報告した。

 会場の様子については、中小・中堅企業も含めて日本企業は多数出展しており、中には主力製品の発表をCeBITにぶつけてきた大企業もあったと語った山口氏。「日本では当たり前な製品や技術でも、欧州では珍しがられることも多い」と話し、展示中の産業ロボットが組み立てたミニカーをそのまま来場者に配布したブースが人気を集めていた例を挙げて、「技術をアピールする実演展示とノベルティー配布を組み合わせたことがユニーク」と指摘した。このほか、会場であるハノーバー国際見本市会場の規模感や市内からのアクセス情報、会場風景の写真など、実際に現地へ行ったからこそ得られたナマの情報に、参加者は興味深そうに耳を傾けていた。

ベンチャーも商談につながる成果があった

 休憩を挟んでの第2部では、CeBIT 2017に出展した企業の担当者が登壇。電子封印技術によるネットワーク接続型スマートタクシーメーターを開発するアフロの増井浩二代表取締役、ソニーグループの半導体事業会社であるソニーセミコンダクタソリューションズ インダストリー事業開発室の山口圭治統括部長、2015年に起業し電子楽譜のサービスや端末を開発中であるデザインMプラスの山田誠代表取締役という3名が、お題に答えるかたちで自分たちの経験を語った。

 最初のお題は、出展ブースを訪れた来場者の属性と交わされた会話の内容などについて。「48名がブースに来てくれ、事前予約があった6名と商談した。インド企業の担当者が多かった印象で、そのほかポーランドやボリビア、UAEもいた」と答えたのは増井氏。その上で、「来場者の興味がスマートタクシーメーターよりも電子封印のほうに向いていたことで、そちらの説明に時間を取られてしまった感はある」と説明した。

 山口氏は「世界中からの来場者がずっと途切れずにブースへ来てくれた。来場者の業種としてはSIerや工場管理が多く、ビジネスの一歩手前という段階の人も多かった。ドイツの人たちは“見てるだけ”のオーラを醸し出している人もいるので、工夫して話しかけるようにした」とコメント。「現地の工業高校の生徒たちが質問リストを作って来場していたり、家族連れもいたことが印象的だった」とも語った。

 山田氏は「名刺交換したのは約70名。電子楽譜ということでブースでは音楽を流しており、それに引き寄せられた人がほとんどだった。商談に入る人はほとんどいなかったが、外国からの来場者の意見を聞けたこと、現地駐在員と思われる日本人の意見も聞けたことには価値があった」とコメント。「商談につながりそうな企業にもいくつか出会えた。競合企業とも話ができ、提携の可能性も聞かれた。帰国後にも、ソフトウェアのアウトソーシングの提案などの連絡が多数あって、可能性を検討するところだ」と収穫を口にした。

海外展示会出展ならではのポイント

 海外の展示会への出展ということで、苦労も多かったのでは……というお題では、増井氏が「なにぶん初めての経験で、ブースの飾り付けやノベルティーの用意など、集客の工夫に改善の余地があったのは間違いない」とコメント。山田氏は「私どもはスタートアップ企業なので日本からは2名で参加したが、この態勢で5日間9~18時の稼働はかなり厳しかった。また、デモのためのネット環境を現地到着後に整えるのが特に大変だった。会場に用意されていたWiFiでは厳しかったので、結局は有線でデモをした」と答えた。

 また、山口氏は「デモ機材の事前準備がかなり大変だった。会期プラス前1日といった時間では無理なので、長期間の現地滞在になった担当者もいた。デモ機材の耐久期間も計算しないといけないというのは勉強になった」とコメント。ちなみに、来場者との会話での言語面のハードルについては、3氏とも「基本は英語でオーケー」と答えていた。

 “行く前と後で、CeBITに対する印象は変わった?”というお題に対しては、3氏とも「行ってよかった」という同じ答え。CeBITについて具体的に印象に残った点を訊かれると、増井氏は「会場が広く、移動でヘトヘトになるところ」と話し、山口氏も「幕張メッセが何個もあるイメージ」と同調。さらに「ドイツの国としてのサポートが印象的だった。大学専用のブーススペースがあったのは驚きだったし、イベントへの力の入れ方でレベルが違うと感じた」と話した。また、山田氏は「今年は日本がパートナーカントリーということで、中小企業向けの手厚いサポートがあったことが出展の決め手になった。安倍首相もナマで見られたし(笑)、出展して本当によかった」と感謝の気持ちを述べていた。

次回の2018年は3月から6月に開催時期が変更

 イベントの締めくくりには、竹生氏による2018年のCeBITの概要発表が行なわれた。2017年からの大きな変更点は、開催時期が3月から6月に変わったことだ。具体的には、2018年6月11日(月)~15日(金)の5日間となる。会場はこれまでと変わらず、ハノーバー国際見本市会場だ。

4月20日のイベント時点では発表がなかったが、後日、ロゴも大文字に変更となった。

 竹生氏は「BtoBのイベントであることは堅持しつつ方向性には若干の変化があるだろう。会期初日は政府関係者や一部VIP、ジャーナリストのためのイベント、中日の火曜日から木曜日はB2Bの展示会、最終日はプロフェッショナルのためのネットワークイベントというように、メリハリがつくはず。また、従来は1ヵ所でまとられていたセミナーもテーマ別にそれぞれの展示エリアに隣接していたほうが集客の相乗効果も見込まれる」とコメント。その上で、「6月のドイツはさわやかな気候で、とても過ごしやすい季節。日本では、3月は期末で忙しいことが多いため、この会期変更によって日本企業も参加しやすくなったのではないかと期待している」と、参加者に出展を呼びかけていた。

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