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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第17回

ビル・エヴァンスからいしだあゆみまで

麻倉推薦:秋はジャズでしんみり11.2MHz DSD音源もたくさん

2017年10月04日 15時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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『HIStory - PAST, PRESENT AND FUTURE - BOOK I』
Michael Jackson

 マイケル・ジャクソンのハイレゾだ。角が過度に立たずに、言ってみると「まろやか」なエッジだ。ヴォーカル、ベース、オーケストラ、リズム楽器、コーラス……が、的確で、形の良い音像を持ち、音の進行がひじょうに心地良い。

 9曲目「スリラー」では、冒頭の扉のきしむ音からして上質で、金管も過度にシャープにはならず、実に適切なバランスを聴かせる。本ハイレゾ用のマスタリングは、レンジ感、立ち上がり/立ち下がり、音の伸び……などの各要素が、適切に均整した音調に見事に仕上げている。

FLAC:96kHz/24bit
Epic、e-onkyo music

『Whatever!』
THREESOME (MARLENE、Jiro Yoshida、Makoto Kuriya)

 「編集なしのDSD録音」がうりだが、ジャズの場合、そもそも編集は難しい。クラシックは楽譜忠実なので、楽譜から外れた(つまり間違えた)時には、その部分を取り直して、入れ替えることが可能だが、ノリがすべてのジャズではそれはご無体。DSDであろうが、リニアPCMであろうが、一発録音が原則だ。

 「ラブ・フォー・セール」。冒頭のアコースティックギターからして、ひじょうに生々しく、それでいて質感はナチュラルだ。ヴォーカルとギターがセンターに、ピアノが右に定位する音像配置が明瞭で、音場感がヴィヴットだ。即興的に音楽が発展していく過程を、DSD11.2を見事に描いていく。その場の演奏の感興の高まりが、生々しく感じられるのである。マリーンのテクニックの巧さにには舌を巻く。でもエコー過多だ。彼女のハイテク歌唱はもっと明瞭に聴きたい。

FLAC:96kHz/24bit
USM JAPAN、e-onkyo music

『ピアソラ:ブエノスアイレスの四季』
新イタリア合奏団、フェデリコ・グリエルモ

 スタジオで明瞭に、高解像度で録ったものではなく、大きなコンサート会場で、その豊かな響きと共に収録している。細部までの音の綾はいまひとつみえにくいが、弦楽の各パートの音が、ホールのアンビエントにて混ざりあい、融合するさまはなかなか感動的だ。豊潤な臨場感だ。

 レンジ感はすうっと伸びるのではなく、中域に音楽的エネルギーを凝縮させ、その塊的な密度感で、力感たっぷりに音楽を進行させる。彼らが得意なイタリアバロックとは対照的な、ロック的な音調だ。

DSF:2.8MHz/1bit
Sony Music、e-onkyo music

『The Moonlight Cats Radio Show Vol. 1』
Shogo Hamada & The J.S. Inspirations

 1曲目、「Soulful Strut」。ブラスを入れたブルースバンドの乗りの快適さと、シャープなリズム感に酔う。左右のスピーカーいっぱいに拡がる音場の中にトランペット、ピアノ、ブラス、ドラムスが的確なスペース感と音像を持って正確に定位している。

 ソロを取る楽器とバンドのバランスが良く、立ちすぎず、埋もれもせず、的確なフューチャー感だ。3曲目「Mercy, Mercy, Mercy」の多重ヴォーカルもメローで美しい。ヴォーカルがバンドの一員のように溶け込んだバランスを聴かせる。 

FLAC:96kHz/24bit、192kHz/24bit
WAV:96kHz/24bit、192kHz/24bit
マイスターミュージック、e-onkyo music

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