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kintoneな人 第8回

数々の大規模なkintone案件を支える経験値と巻き込み力

M-SOLUTIONSの植草氏とkintoneやSI事業、Pepperまで骨太に語ったよ

2017年10月05日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

提供: サイボウズ

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サイボウズとチャレンジするkintone大規模案件の舞台裏

 同社はサイボウズのパートナー表彰で何度もアワードを獲得しているが、kintoneの案件の中でも特に大規模な案件をやっていることが多い。ここにはソフトバンクグループという看板が大きく、基幹システムまでお願いできる安心感があるという。「大規模なお客様が期待するのは、やはりクラウドのプラットフォームを用いたスピーディな開発と安定性のある基盤、そして拡張性です。こうしたクラウドプラットフォームでSIできる企業は限られているし、kintoneだけやっているわれわれの強みでもあります」と植草氏はアピールする。

植草氏の声はけっこう大きいので、少し離れてお話しを聞くことにした

 M-SOLUTIONSが手がけた案件で有名なのが、ベビーシッター(ナニー)・教育・保育・介護などのサービスを手がけるポピンズの事例。サービス予約受付・顧客管理・債権管理などの基幹システム、採用管理、ワークフローまで全面的にkintoneを採用し、経営の見える化やペーパーレス化を一気に推進した。また、住友不動産は工事の施工管理にkintoneを活用し、基幹システムとも連携させた。「以前はデジカメで工事の様子を撮って、PCから社内のファイルサーバーにアップロードしていたのですが、今ではiPadで撮って、そのまま登録できるようになりました」(植草氏)。そして、先日は約20年間利用したIBM NotesをSmart at migrationでkintoneに移行した資生堂のユーザー事例も公開された。

 これら大規模な案件のうち、ユーザー数が読めないWebサービスの場合は、社内向けのkintoneとエンドユーザー向けのパブリッククラウドというハイブリッドの構成にすることが多いという。また、100万レコードを超えるようなデータ量の場合は、kintoneとは別にWebシステム側にデータベースを用意し、両者を連携させている。「われわれはkintoneの性能面の限界も知っているし、データベースの同期ツールも持っています。サイボウズと密に連携して、大規模案件にチャレンジしています」(植草氏)。

 とにかくスピーディにシステムを作りたいという場合にも、kintoneで対応できるようになった。「先日は1ヶ月で会員管理システム作りました。バックエンドで集計までしなければならないので、けっこう大変でしたけど、kintoneだったので乗り切れました」(植草氏)。kintoneの制限を開発ノウハウやプラグインで補いつつ、kintoneのよさを最大限に活かしながら、エンタープライズの要件にもきちんと適用できているわけだ。

プラットフォームサービスだから他のパートナーとも協業できる

 大規模案件を得意とするM-SOLUTIONSだが、基本的に他のkintoneパートナーとは競合しない。むしろ協業していて、7~8社くらいのkintoneのSI連合を組んでいるという。「四半期に1回くらいのペースで作戦会議をしていて、最近のトレンドとか、カスタマイズの仕方とか、案件の話を共有しています」(植草氏)というのがユニークだ。

「四半期に1回くらいのペースで作戦会議しています」(植草氏)

 情報共有していくと、お互いの得意分野がわかってくるため、協業のパターンが見えてくるという。「弊社がフロントとなって受注した大規模案件とかは分業もしているので、開発もスピーディです。kintoneの市場は今後どんどん拡がるので、お互いに得意分野をわかって、レベルを上げていった方がいいんです」(植草氏)とのことで、SIerのみならず、今後はISVとの協業も進めていく予定だ。

 ともすれば競合になりそうなパートナー同士の情報共有が可能なのも、やはりkintoneがアプリケーションを開発するプラットフォームサービスだからだ。「IaaS上でアプリケーションを開発しても、お客様同士ではなかなか流用しにくい。その点、kintoneは案件もある程度似通ってくるし、プラグインのような形で共通機能を提供できます」と植草氏は語る。

 こうしたM-SOLUTIONSのkintone案件の背景にあるのは、「単なるアカウント販売はしない」というポリシーだ。ソフトバンクグループとして得意なiPadを活用したり、基幹システムとデータ連携したり、kintoneのメリットをSI力で高めている。「kintoneの価値は基本的にサイボウズのもの。サービスなり、プラグインなり、SIなり、うちの強みが出せる部分でビジネスをやらせてもらっています」と植草氏は語る。

kintoneが切り開くロボットやIoTの世界

 M-SOLUTIONSと言えば、コミュニケーションロボットの「Pepper」のアプリ開発でも知られている。実際、同社はPepperの開発元であるソフトバンクロボティクスの「Pepperパートナープログラム」によってロボアプリパートナー(Basic)の上位資格プレミアムパートナーとして認定されており、導入コンサルからアプリ開発、外部システム連携まで幅広く手がけている。

 最近は多くの場所で見慣れるようになってきたPepperだが、会社の受付、イベントでの呼び込み、店舗やセミナーでの案内や説明など、さまざまな用途で活用されるようになってきた。「たとえば、ある検査医のお客様は、Pepperを使って乳がんの基礎知識を説明しています。今まではチラシを配っていたのですが、読んでくれない患者さんも多いので、結果として説明が長くなっていたのです。でも、Pepperが患者さんに確認しながら、説明してくれるので、結果的に検査医の方々もお昼が食べられるようになったんです」(植草氏)。

「Pepperが患者に説明してくれるので、検査医の方々もお昼を食べられるようになったんです」(植草氏)

 kintoneはこのPepperの設定を容易にする「Smart at robo for Pepper」でも採用されている。Smart at robo for Pepperでセリフや画像、動作などを設定すれば、誰でも簡単にPepperを思い通り動かすことができるという。「カフェの店員やお医者さんなどに使っていただいています。でも、ユーザーさんはkintoneを使っていると思ってないはずです」(植草氏)とのことだが、最近はこのサービスをきっかけに社内システムにkintoneを導入するユーザーも出始めているとのことだ。

 Pepperだけでなく、ドローン用の運用管理ツールである「Smart at drone」でもkintoneを活用しているとのこと。「たとえば、建屋の屋根をチェックする場合は、わざわざ足場を組んで確認していくのではなく、ドローンで撮影してしまいます。あとはプロが画像を確認し、コメントした内容を地図情報とあわせてkintoneに登録してしまえば、施工前・施工後なども確認できます」(植草氏)。kintoneは、こうしたスマートマシンやIoTのインターフェイス、データの分析プラットフォームとしても期待は大きいという。

 あっという間に人の懐に入ってくるような柔らかさと、長らくSIをやってきたたたき上げの骨太さが不思議に同居した植草氏。圧倒的なアウトプットと巻き込み能力で、今後もkintone界隈を楽しく彩ってくれるに違いない。d('ω' )グッ!

■関連サイト

(提供:サイボウズ)

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