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知ってそうで知らないレーザー光源の話など、NECの最新技術を聴く

2017年09月25日 09時00分更新

文● 小林 久 編集●ASCII

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訂正とお詫び:より正確な内容になるよう本文を修正しました。(2017年9月26日)

 NECディスプレイソリューションズは9月22日、同社映像関連商品の技術説明会を開催した。

 冒頭で、商品開発本部の荒井豊本部長が登壇。同社が映像機器をフルラインアップで展開し、海外市場の比率が8割を占めるグローバル展開をしている点を紹介した。技術に関しては「最新をいち早くではなく、困っていることに届く」に重点に置いた開発を実施している。

 説明会で重点的に紹介された技術は3点だ。

  • プロジェクター光源の最適化と防塵冷却システム
  • カラーマネージメント対応ディスプレー
  • テレビとパブリックディスプレイの違い

2016年ごろから急に普及し始めたレーザー光源プロジェクター

 まずはプロジェクターだが、技術開発の歴史はより明るく、寿命を長くを目指してきた。重要になるのは光源や冷却システムで、課題として抱えてきたのは、光源を高出力にすると、ランプの寿命が短くなることだ。しかし近年、LEDやレーザーといったSSL(Solid State Light:固体光源)の実用化が進んでいる。特にレーザー光源では、ランプ光源では超えられない壁を乗り越えられる技術としてここ数年注目を集め始めた。

市場動向。現在は高付加価値製品中心だが、5年以内に急速に伸びる

 SSLには大きく、LEDとレーザーがある。NECでは、4000ルーメンより暗い機種にLED、3万~5万ルーメンまでと高出力なモデルにレーザーを利用している。共通する特徴としては、長寿命で、信頼性や色再現性が高く、水銀レスであること。光源ユニットの寿命が長いため、ランプ交換の頻度が減り、さらに冷却機構がフィルターレスのSSLモデルにすることでTCOの削減が可能だ。

ランプ交換が少ないことによるTCO削減

メンテナンスレスによるTCO削減

 2014~15年ごろから商品投入が増加しはじめた。現在は高輝度・高付加価値製品向けから、ボリュームゾーンへと普及が広がっていくタイミングだ。同社では、2021年にはスタンダードタイプの1/4がSSLプロジェクターになると考えている。すでにインスタレーション用途では2割程度がSSL光源を利用しているが、5年後には8割程度に増える見込みだ。

レーザー光源プロジェクターは大きく3種類

 注目を浴びているレーザー光源は大きく3種類の方式がある。RGB3原色をレーザーで作るか、PHOSPHERという蛍光体を使うかの違いだ。

 まずは、RGB各色をそれぞれレーザーで作る方式。色純度が高く、4KのUltraHD Blu-rayや次世代4K/8K放送の標準となる、BT.2020の色域もカバーできる。また各色のスペクトルの幅が狭い(ナローな)光源であるため、微妙に異なる波長の光を出して、右目・左目を見分ける、6 Primary 3D方式のシネマプロジェクターなども採用している。ただし大きくなる点がデメリットになる。

RBレーザー+G蛍光体タイプのレーザープロジェクター

Rのレーザー光源。ここの温度調節はシビア

冷却用のパイプが目を引く

投影部分

 次に、RとBだけをレーザーで作り、Gはブルーレーザーを蛍光体に当てて作るものだ。デジタルシネマ用のDCI規格であれば効率がいい。ただ赤のレーザーは10℃変わると効率が2~3割変わるほど温度特性にセンシティブで、シビアな冷却対策が必要になる。

 最後が、Bのみをレーザーとし、補色となるY(イエロー)をブルーレーザーを蛍光体に当ててで作り、そこから分光してRとGに分ける方式だ。これが現在の主流で、最も低コストかつ小型にできる方式だ。ただしsRGBであれば十分だが、デジタルシネマの規格に合わせた特性を得ようとすると、光学フィルターを使い、G成分の出力やスペクトルの幅を調整する必要があり、効率が落ちてしまうのが課題だ。

B+Yタイプのレーザー光源。左右にブルレーザー光源が置いてあり、これを中央に向けて投射する

レーザー部分を接写

左斜め上からG、左下からYを入れて中央で合成する

ホイール上の蛍光体に当てると、黄色が作れる

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