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私たちの働き方カタログ 第5回

新入社員が制度を作るウエディングパークの幸せ経営戦略

社員が幸せでなければ、いいサービスは生まれない

2017年09月28日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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その会社にはその会社ならではの働き方がある。みんなの働き方改革・業務改善を追う連載「私たちの働き方カタログ」の第5回では、ブライダル×ITの事業を手がけるウエディングパーク。「結婚をもっと幸せにしよう。」という経営理念に沿った制度について人事本部長の保田誠一郎氏に聞いた。

ウエディングパーク 人事本部 人事本部長 保田誠一郎氏

「働きやすさ」を重視したユニークな社内制度のデパート

 結婚式や結婚式場に関するクチコミを提供する「ウエディングパーク」を中心に、結婚にまつわるさまざまなWebサービスを提供するウエディングパーク。結婚という人生の晴れ舞台を扱うビジネスだけに、社員の「働きやすさ」はきわめて重視しているという。「幸せをプロデュースする作り手側として、そもそも社員が幸せでなければいいサービスは作れない」(ウエディングパーク 人事本部 人事本部長の保田誠一郎氏)というのが根底にある。

 同社の制度面での工夫は多岐に渡っている。入社3年目以上の正社員に毎年5日間の特別休暇が取得できる「休んで5(ファイブ)」や、勤続5年以上の社員に月額5万円の家賃補助が出る「どこでも5(ファイブ)」、朝早く出社した社員に朝食を支給する「8(はち)活」などの制度を用意。また、新入社員1人と先輩社員の3人で部署横断の家族を作り、いっしょにカレーを食べる「カレーファミリー制度」や、エンジニアやクリエイターの勉強会参加や資格取得を費用面でサポートする「Let's 5(ゴー) out」などもある。まさにユニークな人事制度のデパート。制度を社内に浸透させるため、どれもネーミングにこだわり、インセンティブも休暇、手当、現物などさまざまだ。

 特にこだわっているのが「社員の家族も大切に」というコンセプト。結婚記念日(1周年、10周年、25周年)にお祝い金が2人分支給される「祝って22(ふうふ)」や結婚準備休暇、自分の家族に感謝の気持ちを伝える「家族へありが10(とう)」などは、まさにこのコンセプトに根付いた制度と言える。「家族へありが10」で特別休暇を取得した社員の一人は、「休暇を取得したら、家族にどのように感謝を伝えたか、社内SNSにシェアしました。私の場合、兄のフォトウエディングのために、姪っ子を預かるのに使いました」と語る。

 こうしたユニークな人事制度は人材獲得にも有効で、社員の家族にも好評だ。「新卒で入った社員が、家族にこんな制度あるんだよと伝えてくれれば、会社のことも知ってもらえますし、『いい会社だね』と親御さんも安心してくれます」(保田氏)。

「経営理念に沿った制度」を新入社員が作り出す

 こうした制度は、新入社員を企画提案できる「せどつく」と呼ばれる仕組みから生まれている。毎年1回、コンテスト形式で新入社員から社内制度を募集し、優勝した案1つが次年度から採用されるというもの。人事制度を新入社員が作れるのかという素朴な疑問もあるが、提案する側の新入社員も、先輩や上司に相談したり、社内リサーチして提案するため、経営理念に沿ったユニークな制度が毎年生まれてくるという。

 前述した「カレーファミリー制度」の導入時は、会社が急成⻑し、社員数が一気に増加したタイミングだった。今後さらに規模が拡大し社員数が増加しても、社員全員のコミュニケーションを安定的に活性化することと、新入社員のメンタリングを⽬的に作られたという。

 経営がよかれと思って社員に受け入れられない制度を作るのではなく、経営理念に沿った制度を社員が作れる会社。保田氏も、「風通しのよい企業風土を重視しています。 与えられた環境で仕事するのではなく、当事者意識を持って会社作りに参加することで、会社へのロイヤリティも高まります」と語る。

会社概要

1999年に創業し、2004年に日本で初めて式場のクチコミを導入した結婚準備クチコミ情報サイト「ウエディングパーク」をオープン。現在は国内、海外の式場が検索できるクチコミサイトをはじめ、フォト・前撮り、婚約・結婚指輪、ドレスなど、さまざまなウエディング関連のメディアを運営しています。

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