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iPhone X&iPhone 8、ASCII徹底大特集! 第20回

「MNP誘引」から「流出食い止め」へ

対「格安SIM」に本腰! KDDI田中社長にiPhone 8/X向け新施策の本音を聞く

2017年09月20日 16時00分更新

文● ゆうこば

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Apple Watchは初のモバイル通信に対応
KDDIが考えるウェアラブル端末の売り方

eSIM内蔵でLTE通信ができる「Apple Watch Series 3」

──eSIM内蔵により単体で通信できる「Apple Watch Series 3」も発表になりました。親機(iPhone)とセットでの利用が前提とはいえ、KDDIとソフトバンクの月額使用料は350円、ドコモは500円。かなりお安い印象がありますが、いかがでしょうか?

田中氏:当社の場合は「ナンバーシェア」で、パケット通信に関しては親機とのシェアになります。なので、やはり親機とセットと使っていただくという面でこの価格に抑えられています。

iPhoneが手元にないときでもApple Watchで音声通話・データ通信ができる「ナンバーシェア」

──Apple Watch Series 3はどんどん単体利用、スポーツなどでの用途がプッシュされているという印象がありますが、いまは料金や仕組みとしての依存関係とアンマッチしている気がします。御社的には将来「時計」は「電話」に変わる可能性があるとお考えでしょうか?

田中氏:日本は時計を含めウェアラブル端末が使い切れていないと考えています。我々としてはキャンペーンや月額使用料を抑えることで、お客さんに体験してもらえればその魅力に気づいてもらえると思っています。

 やはりスポーツなど、iPhoneを家に置いておきたいシチュエーション、Apple Watchが活かせる新しいユースケースは存在しますよね。米国ではApple Watchの販売数はそこそこ伸びています。日本では新しい使い方を訴求していきます。

端末保証など拡充は負担にならない?
auユーザーのリテンションを重視

──各社料金プランなどが明らかになっています。たとえば、ソフトバンクは機種代が「最大半額」と大きくうたっています。日本はそもそもiPhoneが非常に安く買える国ですが、auとしての考えを聞かせてください。

田中氏:iPhone Xに関しては、まだこれからキャリア版の端末価格が出てくると思います。ソフトバンクさんの料金スキームも出ているけれど、お買い得になる仕組みとしては、料金やキャンペーンを含めKDDIの方が一歩先を行っています。

──購入者からしてみれば、新しい「アップグレードプログラムEX(a)」は12ヵ月間の使用後に機種変、残債であるもう12ヵ月分が免除されるというのは非常にうれしい話だとは思います。一方で、ビジネスとしてはかなり負担が大きいのではないでしょうか?

田中氏:一番の目的は、お客さまの転出防止。3キャリアからMVNOへ出ていかれる方は「毎月の通信費を安くしたい」と明確な要望を持っています。そこで7月に「ピタットプラン」「フラットプラン」を発表しました。そこでどうなったかと言えば、機種変などでAndroidスマホをたくさん購入していただいて、転出件数も減りました。これはシンプルにお客さんに受け入れられたということだと考えています。

 数字で言えば、Androidでは9割の方が新プランを選んでいます。当然、お客さんの通信料は安くなって、僕らとしては売り上げが減る。でも、転出が止まると言うことであればやるべきことです。ちなみに、新プラン発表(7月)後に、MNP転入も1.5倍増えたというのは予想以上でした。

Androidでも行っていた「アップグレードプログラムEX」を、約半分の期間まで短縮させて提供する「アップグレードプログラムEX(a)」

──MVNOへの転出防止がまずは最大の課題と言うことですか?

田中氏:そうです。そして、防止するにはもうひとつ、サポートを強化しないといけない。街中に多くのお店があってサポートが受けられるというのが、MNOと契約するメリットと考えてもらえるようにしたい。

──KDDIでは、他社と比べて非常に長い期間が対象となる保証プログラムも発表になりましたが、それも今回強化したポイントなのでしょうか?

田中氏:おっしゃるとおり、「AppleCare+ & au端末サポート」を発表しました。通常は2年間の保証であるApple Care+終了後、3年目〜4年目は当社で同等のサービスを提供します。自然故障の無料修理、1回3400円の画面破損修理や最大2回までの紛失補填が4年間ご利用いただけます。

iPhone 8 Plusなら月額890円、iPhone 8なら月額790円(それぞれ税抜)で利用できる「AppleCare+ & au端末サポート」

──新購入プログラムも新保証プランも、いままでと比べて、ユーザーにとってかなり好待遇だと思うのですが、そこまで転出を防止したいワケとは何でしょうか?

田中氏:いままではユーザーの新規獲得を目的にサービスを展開していました。でも、これからは解約数を減らさないと、新規獲得だけでは困った事態になりますMVNOへの流出は減ったとは言え、まだ出ていて、それでは企業としては成り立たなくなってしまいます。

 極端な例を言えば、転出されるお客さまがいなければ、営業販促費用はいまのように使う必要はなくなります。プランなどはよりシンプルにする必要がある。でも、一方である局面においては複数の選択肢も必要になります。

 なので、まずはauを選んでよかったと、もっと多くのユーザーのみなさまに思っていただけるよう、料金プランや保証制度、そして各種キャンペーンを通してリテンションの強化につとめていきたいと考えています。

まずはauユーザーの満足度を上げていきたいと語る田中社長

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