このページの本文へ

クラウドとオンプレミスのワークロード移行やOpenStackでのNFV導入を加速

パブリッククラウド連携を進化させるVMworld Europeでの3つの発表

2017年09月20日 07時00分更新

文● 大河原克行

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

2017年9月11日~14日(現地時間)、スペイン・バルセロナにおいて、「VMworld Europe 2017」が開催された。今年は米ラスベガスで、「VMworld 2017」が開かれてから、約2週間後の開催となったこともあり、VMwareのパッド・ゲルシンガーCEOによる基調講演をはじめ、内容の多くはそれを踏襲したものとなったが、日本の市場にも影響するいくつかの新たな内容が発表された。

オンプレミスとVMware Cloud Provider間でモビリティを提供

 VMworld Europeではパートナー戦略に新たな仕組みを導入したことが発表された。これまでのvCAN(vCloud Air Network)パートナーの名称を、「VMware Cloud Provider」に変更。ハイブリッドクラウドに関する支援などを強化することになる。また、VMware Cloud Providerを対象に、VMware Cloud Foundationベースのクラウドサービス認証制度である「VMware Cloud Verified」と呼ぶ仕組みを新たに導入。顧客は、VMware Cloud Verifiedロゴを表示したサービスを使用することで、認証されたプライベートクラウドやパブリッククラウド、ハイブリッドクラウドのすべてのアプリケーションを利用でき、ベンダーロックインを回避しながら、差別化された機能を活用でき、一貫した運用によりTCOを削減できるとしている。まずは、CenturyLink、富士通、IBM、OVH、Rackspaceの5社が認証を取得しており、今後、認証取得パートナーが増加する見込みだ。

VMware Cloud Verifiedの仕組みを導入

 そして、VMware Cloud Providerとオンプレミスとの間で、モビリティを提供する「HCXテクロジー」も発表した。vSphereプラットフォームと、VMware Cloudの間で大規模なアプリケーションの移動を可能にする技術で、安全で、最適化されたインターコネクトを提供するものになる。

 同社によると、「IPアドレスなどのアプリケーションや構成の変更なしに、ワークロードをシームレスに移行でき、さらに、vMotionのセキュリティで保護されたプロキシ、安全なネットワーク拡張、アプリケーションポリシーベースの災害復旧などの機能により、リスクがないアプリのモビリティを実現する。また、ゼロダウンタイムのライブ移行とスケジューリングされた大規模な移行が可能であり、アプリの移行を監視できる。これにより、ハイブリッドクラウドへの移行を加速できる」としている。現時点では、テクニカルプレビュー版が提供されており、まずはIBMとOVHが2017年後半に対応する予定だ。

VMware Cloud Providerとオンプレミス間でワークロードを移行させるHCXテクノロジー

通信事業者と連携し、OpenStackベースのNFVの仕組みを導入

 2つめは、OpenStackで本番環境のネットワーク機能の仮想化(NFV)サービスを提供する新ソリューション「VMware vCloud NFV OpenStack」の発表だ。同社では、「サービスの自動化、セキュアなマルチテナント、キャリアグレードのプラットフォーム、優れた運用環境を特徴とした、5GおよびIoTに対応するNFVプラットフォーム」と位置づけている。

VMware vCloud NFV OpenStackの発表

 そして、このプラットフォームには、通信事業者が、OpenStack環境で迅速にNFV導入を支援するためのVMware Integrated OpenStack (VIO)キャリアエディションを含んでいる。VIOキャリアエディションは、OpenStackのOcataをベースとした最新のディストリビューションで、OpenStackと、VMwareのNFVインフラプラットフォームとの完全な統合、検証、認証を実現。VMware Integrated OpenStackをNFVのVirtualized Infrastructure Manager(VIM)として活用することで、ネットワーク担当者は VMwareが提供するキャリアグレードのNFVインフラプラットフォーム上で、OpenStackのクラウド環境を、簡単に導入したり、アップグレードしたりできる。

 Kubernetesをサポートしたほか、VMware vRealize AutomationによるOpenStack環境の管理、OpenStackによる複数のvCenterの管理、Ocataをベースの最新アップストリーム機能によりメリットの享受、極めて容易な導入性とメンテナンス性といった特徴を持つことを強調した。さらに、大規模環境に対応したHAモードと、小規模に導入するコンパクトモードを用意。いずれも、VIOテンプレートを活用して、HAモードで30分、コンパクトモードで15分という短時間での自動構成が可能だ。

VMware Integrated OpenStackのVIOテンプレート

 「VMwareが買収したNiciraがOpenStackに参加していた経緯があり、OpenStackとのつながりは長い。2015年3月にはVIOのVer1.0を公開し、2016年9月にはMitakaベースのVer3.0を発表、2017年2月にはVer3.1を発表している。今回のOcataをベースとしたVIOは、Ver4.0になる」と説明した。

 ここでは、Vodafoneグループが、グローバル規模でのNFVの提供開始に向けて、VMwareのソリューションを採用したことを発表したほか、Dell EMCとともに、事前に統合および検証済のOpenStack対応のNFVソリューションを投入することも発表した。

 日本における投入時期は未定とされたが、日本のキャリアとも話し合いを進めており、「VMware vCloud NFVは、全世界で45社以上の通信事業者が運用する、80以上のNFV環境に導入されており、3億人のモバイルユーザーが利用している」という成果を示した。

 

SDDCとマルチクラウドの効率的な管理を可能にする「VMware vRealize Suite 2017」

 そして、3つめが、VMware vRealize Suite 2017の発表である。VMware vRealize Operations6.6、VMware vRealize Automation7.3、VMware vRealize Business for Cloud7.3、VMware vRealize Log Insight4.5といった各製品の最新版で構成され、顧客のデータセンターのモダナイゼーションやパブリッククラウドとの連携を支援するライフサイクル管理機能を備えており、アプリケーションとインフラのパフォーマンスを最適化するとともに、コンテナとMicrosoft Azureに対するサポート強化により、開発者向けクラウドの実現を支援。SDDCやマルチクラウドの効率的な管理により、ITを活用した価値創出までの時間を短縮できるのが特徴だ。

VMware vRealize Suite 2017の概要

 最大のポイントが、新たに実装されたライフサイクル管理機能「Streamline Day 0 thorough Day 2」である。

 Tasks Day 0からDay 2のタスクに係るライフサイクル管理の自動化機能を新たに実装したもので、日常的な管理および運用業務を簡素化する。これにより、vRealize Suite 2017を構成する各製品の導入、構成、アップグレードを自動化。顧客は価値創出までの時間を短縮できるようになるという。なお、従来はバージョンナンバーで示されていたが、構成する製品のバージョンナンバーが混在していること、スイート製品としてのブランドサイクルの管理を行なうという狙いから、今回の製品から「2017」という西暦年を製品名に採用している。

■関連サイト

 

カテゴリートップへ

ASCII.jp特設サイト

クラウド連載/すっきりわかった仮想化技術

ピックアップ