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ビットコインは「マネロンの温床」の汚名を返上できるか

Mike Orcutt

2017年09月17日 23時10分更新

記事提供:MIT Technology Review

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中国の規制強化、JPモルガンCEOの「詐欺」発言など、ビットコインをめぐる動きが騒がしい。一方で、資金洗浄や薬物販売といった犯罪目的でのビットコインの利用を追跡する捜査当局の動きも加速している。

ビットコインを不正な目的のために使っている人へ警告だ。捜査の手から逃げることはできるだろうが、隠れることは格段に難しくなっている。司法当局はブロックチェーンと呼ばれる、ビットコインの公開台帳を使ってデジタル・マネーを追跡し、疑わしい犯罪者を追い詰めている。

最も有名な暗号通貨であるビットコインは、最近のワナクライ(WannaCry)サイバー攻撃に代表される、ハッカーがコンピューターの中身を人質に取って身代金を受け取るランサムウェア攻撃のような犯罪を助長している。犯罪者はビットコインを利用することで、自らの身元を明かすことなく身代金を受け取れるのだ。ビットコインはこれまで、オンラインでの薬物販売、資金洗浄、売春取引にも使われてきた。

しかし、ビットコインのユーザーが身元を隠すことができる一方で、調査官に有用な他の情報を隠すことはできない。ビットコインの取引は全て、公開アクセス記録であるブロックチェーンに記録される。ブロックチェーンは「非常に有用な事実の記録を提供してくれる」と、ブロックチェーン・データ分析ソフトウェア・ツールを開発するチェーンアナリシス(Chainalysis)の共同創業者、ジョナサン・レヴィン最高リスク管理責任者(CRO)は語る。同社の分析ツールは、人びとがどのようにビットコインを使用しているかを推測するのに役立つ。

チェーンアナリシスは、ユーザーがブロックチェーン上で使用する「アドレス」と呼ばれる固有の番号を、公に入手可能な情報と照合する。これによってユーザーの身元を特定し、その後どのように資金を動かしているのか追跡する。この手法は、ギャンブルサイトのユーザーが、ビットコインをドルに引き換えるビットコイン取引所を特定する場合などに利用できる(“Mapping the Bitcoin Economy Could Reveal Users’ Identities”参照)。

チェーンアナリシスは、犯罪調査官にとっては貴重なツールだ。2015年以降、同社は米国国税庁、連邦捜査局、証券取引委員会、麻薬取締局、移民税関執行局、そして欧州刑事警察機構(ユーロポール)による調査を支援してきた。レヴィンCROによると、ほとんどの場合、容疑者の所持品の中からビットコイン・アドレスが見つかるなど、何らかの手かがりがある時に、調査官はチェーンアナリシスに分析を依頼してくるという。容疑者が行った特定の取引が突き止められれば、調査官はさらに情報を入手するために裁判官命令を使うことができる。

政府もまた、ビットコインの仲介を行う取引所が正しく申告し、適切な税金を支払っているかどうかを突き止めるために、ブロックチェーン上の資金の流れを追跡したいと考えていると、ブロックシーヤー(BlockSeer)の創業者ダニー・ヤンは語る。ブロックシーヤーもまた、ブロックチェーン分析ツールを開発し、司法当局の調査を支援している。

暗号通貨の取引所も、ブロックチェーン分析企業の顧客となる。取引所が従来の銀行のように顧客の身分を把握し、資金洗浄を行っていないか監視する必要が法的にあるかどうかはわからない。しかし、顧客の身元がわからなければ、銀行口座を開設することは難しい。もし政府が、犯罪者が特定の取引所を使っていることがわかるのなら、取引所もそれを知りたいはずだ、ヤンはいう。

しかし、このニュースは司法当局にとって良いことばかりではない。いわゆるミキシング・サービスのように、多くのユーザーからビットコインを受け取り、それらをミックスして別々のアドレスに時間差で送り返す方法によって、調査官を混乱させる手口もある。もっと重要な問題は、Zキャッシュ(Zcash)やモネロ(Monero)といった新しい暗号通貨は、チェーンアナリシスやブロックシーヤーといったツールや捜査機関が取引を追跡するための情報を隠ぺいできるように設計されているということだ。

ずるがしこい犯罪者は、すでにこのような追跡不可能なシステムへと移行している。2017年8月、チェーンアナリシスは、ワナクライのハッカーが支払われた身代金の一部をビットコインからモネロへ交換していたことを確認した。ハッカーが使っていたアドレスがブラックリストに追加される前のことだった。


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