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富士そば券売機の右下にある「謎のサプリ」の正体

2017年09月13日 06時00分更新

文● 森 江利子(ダイヤモンド・オンライン

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関東に100店舗以上を展開する、立ち食いそばチェーン「名代富士そば」。肉そばやカツ丼といったラインナップはお馴染みだが、実は独自のサプリメント「富士ルチン」も販売していることはご存じだろうか。そば屋とサプリメントという奇妙な組み合わせについて、名代富士そば・丹社長に話を伺った。(清談社 森 江利子)

働くサラリーマンの味方 
「富士ルチン」誕生秘話

「2~3年前、お客様の健康を気遣う思いから、『健康のためにそば湯を飲みましょう』という旨のポスターを店内に張り出したところ、食後にそば湯を飲んで帰られるお客様が増えた。みなさんが健康を気にされていることを目に見えて実感し、より明確に“そば=健康”というコンセプトを打ち出していこうと考えたんです」

富士そばの丹有樹社長が「そば=健康」というコンセプトを実現すべく商品化した「富士ルチン」。ルチンのほかにも、30~50代の働くおじさん世代に効きそうな成分が入っている

 こう語るのは、名代富士そば社長の丹有樹氏(以下、丹社長)。名代富士そばが手がける「富士ルチン」は、そばに含まれる「ルチン」の健康効果に着目したサプリメントだ。価格は1包(4粒入り)150円。現在、富士そば各店舗で購入できる。

 一般的にそばが健康的というイメージがあっても、具体的に何がどう健康に良いのか、知らない人が大半だろう。丹社長は、ぼんやりとしたそばの健康イメージを、分かりやすく形にする方法を考えていた。

 そこでたどり着いたのが、そばに含まれる健康成分『ルチン』を、サプリメントとして形にする構想だ。強い抗酸化作用を持つルチンは、高血圧の予防や毛細血管の強化、生活習慣病の予防にも効果的なポリフェノールの一種で、そばに多く含まれている。

 この発想を実現するため、共同開発に名乗りを挙げたのが、株式会社シーオーメディカルだ。湘南美容外科クリニックと提携し、主に女性向け美容商品や化粧品の開発・販売を行う同社と、サラリーマンの味方・富士そばの異色のコラボレーションによって、サプリメント「富士ルチン」が誕生した。株式会社シーオーメディカル代表の瀬出井亮氏はこう語る。

「業界としても、ルチンの健康効果には注目していましたが、それほど知名度がなかった。そのルチンを商品化し市場を開拓していく上で、富士そばさんとタッグを組めた意味は大きい」(瀬出井氏)

満員電車のストレスを半減!?
サラリーマン男性向けサプリ

「富士ルチン」は、ほかに中性脂肪低下や血流改善に効果のある「ヘスペリジン」、ストレスや疲労感を緩和させる「GABA」、生活習慣病を予防する「ビタミンE」と、3つの成分を配合している。

「研究・開発の過程には、いくつか候補となる成分がありましたが、富士そばのお客様のメイン層となる、30~50代の働く男性にとって、より親和性がある成分を配合しました。たとえば『GABA』は、満員電車のストレスを半減させるというデータがあります」(瀬出井氏)

 キャッチコピーは、「日本の働く忙しい人々を健康にしたい」。サラリーマンの健康を気遣う、富士そばの思いに応えた。

 
 また、「富士ルチン」は、堂々とした富士山のパッケージデザインも目を惹く。

「一般的なサプリメント商品に見られるような、スタイリッシュなデザインも作成していたのですが、打ち合わせを重ねる過程でやっぱり違うなと。従業員へのヒアリングでも圧倒的に支持を得た、こちらのデザインに決定にしました。スタイリッシュさはありませんが、富士そばさんらしさが前面に出ています」(瀬出井氏)

 そば屋で健康サプリメントが売られているという“違和感”も手伝い、富士そばの店頭でひときわ目を惹いている。

売れない店はほとんど売れない
今のところ売り上げは度外視

「富士ルチン」発売から約4ヵ月が経つ。売れ行きについては、「売れる店舗では、想像以上に売れています」と、丹社長。一方で、「売れない店はほとんど売れないですよ。1ヵ月に1、2包程度です」と語り、鷹揚に笑う。

「今は、そばに健康的なイメージを根づかせていく段階です。もちろん、『富士ルチン』のサプリメントとしての効果は折り紙つきですが、まだまだ商品自体の収益を求める段階ではありません。定例の店長会議で出荷数を報告してくれる店長には、まだ販売数は上げなくてもいいぞと伝えてあります。その代わり、店頭の券売機の“右下”の押ボタンだけは、俺に貸してくれと」(丹社長)

 目に見える数字だけを追いかけていたら、決して実現しなかった「富士ルチン」。当初は1年間という期間限定での発売を予定していたが、現在は機能性表示食品の申請中で、商品の改良や定番化も検討しているという。

「このやり方がどういう結果を生むか、しっかりと見ていくつもりです。私としては、どんどん新しいことをやっていきたい。今は『富士ルチン』が、お客様に富士そばを食べていただくきっかけになれば、それがいちばんです」(丹社長)

「食と健康」の相関性が重要視される昨今、「富士ルチン」が、新たな富士そばの名物になるかもしれない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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