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「SORACOM UG Shikoku #1.5」での瀬戸内フィールドテストを追う

女木島・男木島と高松の基地局間でLoRaWANは届いたのか?

2017年09月04日 07時00分更新

文● 重森大

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7月8日午後、サンポート高松トライアスロン大会のエリート大会を終えて観戦者もいなくなった会場に、続々と集まるおっさんたち。つい前夜に松山で見た顔が多い。こっちは夜のうちに移動して5時からセンサー設置してたのに、お弁当食べながら電車で移動なんて優雅ですなあなんてことはつゆも思わず、集まってくれた方々に感謝しながら「SORACOM UG Shikoku #1.5」が開催された。今回の目玉は何と言っても、「LoRaは本当に遠くまで届くのか実験」だ。

まずは野口さんから午前中のプロジェクト実証実験成果の内容紹介

 SORACOM UG #1.5の冒頭では、STNetの野口さんから、サンポート高松トライアスロンIoT実証実験の成果について話があった。

「今回はサンポート高松トライアスロン大会をIoTで見守るということで、今回はSTNet大会に協賛するという形でが3つのプロジェクトを実施しました。1つ目はベタですが、ネットワークカメラによるレースの中継、2つ目はLoRaWanによる情報収集。3つ目は体調見守りウェアによる身体状況の遠隔監視です」(野口さん)

STNet 野口さん

 1つ目のプロジェクトであるリアルタイム中継では、LTEの通信カードが入ったネットワークカメラを使い、レースの様子を映し出した。YouTubeでの中継にもその映像は使われたとのこと。

 2つ目のプロジェクトで使われたLoRaWANはSTNetからも高い関心を寄せているが、実際にどの程度電波が届くのか実感がないという。そこで今回KYOSOが環境センサーを作り、SORACOMからゲートウェイを借り、実証実験を行なったという訳だ。

 3つ目のプロジェクトは、野口さん自身が被検体であり、センサーなどをつけて大会運営に当たっていた。使ったのはよくある心拍センサーではなく、クラウド上で心電図を見ることができるというシステム。心拍だけを監視する場合と異なり、心電図を見ることで熱中症の兆しをいち早く発見することもできるという。

船旅の前に松下さん、辻さんから基本的なお話が

 野口さんから「松山まで電波を飛ばす男」と紹介されたソラコムの松下さん。さっきまで寝ていたとは思えない元気さで、LoRaWANの紹介を始めた。といっても、その場にいる参加者の多くは前夜に松山で紹介を聞いているので、今回の実証実験に関する具体的な説明が中心となった。

「今回、LoRaWANの基地局を、そこにあるビルに置かせてもらっています。機器を設置する場所さえ確保できれば、基地局や電波使用の申請などは不要で、勝手に置いて勝手に使えるのがLoRaWANです」(松下さん)

SORACOM 松下さん

 この基地局からどこまで電波が届くのかを実際に調べるのが本日のメインイベントだ。長野県で行なわれた実験では、9キロ近く離れても通信可能だったという実績があり、障害物のない海上ではかなりの好成績が望めるのではないかと、参加者の胸は高鳴っていた。実験に使うのは、午前中に使ったのは環境センサー。送信機器側には、ゲートウェイまでの距離が表示される液晶画面はついている。送られたデータはSORACOM Beamを通じて松下さんの持つスマートフォンに表示されるので、正しくデータが送られなくなった時点の距離表示を見れば、おおよその通信可能距離がわかるということだった。

 説明を引き継いだKYOSOの辻さんからは、いおたん夏バージョンの紹介があった。いおたんを知らない人はいないと思うが一応説明しておくと、IoTを広めるために作られた擬人化キャラクターで、髪飾りはセンサーデバイスとLSI、おさげの先にはLANケーブルがついている青髪の女の子だ。

「今回は夏バージョンということで、水着姿になり温度センサーを持っております。さらに水に濡れてもいいようにLSIとLAN端子にはカバーがつけられました!」(辻さん)

いおたん夏バージョン、爆誕

 標準バージョンと体型が変わっているように見えるが、裏情報によれば水着にはパットを入れてかなり盛っているとのこと。魅力マシマシのいおたん、もちろんステッカーも用意されていたのでいただいてきた。うーん、いおたん可愛い。

 もちろん辻さんはセンサーデバイスの説明もしたのだが、ここで繰り返すよりも午前に行なわれたサンポート高松トライアスロンでの実証実験記事をご覧いただいた方が、どのようなデバイスなのかわかりやすいだろう。

午後の実験でも、トライアスロンの実証実験で使用したセンサーデバイスを使う

センサーデバイスとにらめっこしながらの船旅

 参加者の行き先は、サンポート高松から数キロ沖に浮かぶ女木島(めぎじま)と男木島(おぎじま)。男木島行きのフェリーに乗れば、途中に女木島で下船できるので、途中まではみんな一緒だ。乗船し、一部の参加者は海風に吹かれにデッキへ出たり景色を楽しんだりしていたが、筆者や辻さんはセンサーデバイスやモニターを凝視しっぱなし。

電波が届いているか、データが更新されているか、皆手元のデバイスから目を離せない

 基地局から4キロを過ぎたあたりで、高松から見て手前にある女木島に到着した。データ送信状況はまだまだ余裕。観光重視の方々はこちらで下船し、われわれ男木島チームの折り返しを待つことに。

 電波がどこまで届くのか見届けたかった筆者は、もちろん男木島チーム。じっとセンサーデバイスとデータ更新画面を見比べていたのだが……女木島と男木島の間を抜けるあたりでついに電波が届かなくなった。直線距離にして約7キロ。山あいで9キロ近くの通信を実現できたのに、海上で7キロしか届かないなんて。

 しかし、その理由は明白だった。その辺りでフェリーは、女木島の陰に入ってしまい、女木島全体が基地局との間の障害物になっていたのだ。

この辺りで、通信は途絶えた

 さて、瀬戸内国際芸術祭の展示物もある女木島でのんびり楽しんでいた人たちと合流し、最初の会場に戻ってから実証実験のおさらい。電波が途切れたおおよその場所や、その場所から基地局までの距離が約7キロであることなどが報告され、SORACOM UG Shikoku #1.5はお開きとなった。イベントスペースでじっくり話を聞く勉強会もいいけど、フィールドに出て活動するのはやっぱり楽しいし、実感を得やすいのがいいところ。IoTなら、こういうフィールドでの勉強会もいろいろできるのかなと、夢膨らんだSORACOM UG Shikoku #1.5だった。

実証実験の行方を追うこともなく女木島の観光を楽しんだ方。あばよ!

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