このページの本文へ

コカ・コーラ、東西ボトラー統合後の初決算で見えた強大シナジー

2017年08月22日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
再編も一段落。ボトラーが発言力を高めることが、コカ・コーラシステム全体の成長には不可欠な要素だ Photo:Bloomberg/gettyimages

東西のボトラー2社が統合し、国内最大級の清涼飲料販売会社として4月に誕生したコカ・コーラボトラーズジャパンが、8月に決算を発表した。まずまず好調と評されるが、今は船出。大転換期となし得るかが問われる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)

「進捗はまずまず。これで、業界の健全化も一歩進むだろう」

 コカ・コーラボトラーズジャパン(CCBJI)が行った、統合後初めての決算発表。まずまずの好調ぶりを、ある競合の飲料会社幹部は冷静に分析する。

 CCBJIの動向は競争環境の健全化、協業による競合間の業務効率化につながる鍵となる。実際、キリンホールディングスとの協業の交渉もあり、業界が統合の経過に大きな関心を寄せているのだ。

 1月から6月までの業績はプロフォーマ(1月に統合したと仮定した場合の実質比較ベース)で、売上高は4767億円(前期比2%減)、営業利益は186億円(同22%増)で、34億円の増益となった。そのうち、統合シナジーが11億円。2020年までのシナジー創出目標に掲げる250億円に向けて、順調な滑り出しだ。

 コカ・コーラのグループ組織は、企画開発や原液供給を行う本体の日本コカ・コーラと、製品の製造販売を担うボトラー会社に分かれている。CCBJIはボトラーのうち、コカ・コーラウエスト(CCW)とコカ・コーライーストジャパン(CCEJ)が統合して誕生した、国内コカ・コーラ製品の9割の販売を担う売上高1兆円規模の巨大ボトラーだ。

 もともと、最大時には国内で17社あったボトラーだが、営業は地域ごとに細分化され、工場や人員といった固定費の負担で、競争力を発揮できずにいた。20年ほど前から始まったボトラー各社の再編は、CCBJIの誕生でほぼ収束し、現在は5社に集約されている。

 統合によって発生するスケールメリットは強大だ。シナジーの6割を占めるのが、輸送ルートの最適化やサプライヤーとの価格交渉といったサプライチェーンや調達の分野だ。ビジネスの根幹だけに、抜本的な利益改善になると、グループ関係者は自信をのぞかせる。

 また、冒頭の競合会社幹部のように、業界全体へメリットをもたらすという見方もある。

 CCBJIの吉松民雄社長はかねて、「無意味な価格競争から脱するべきだ」と主張してきた。実際、この上半期では、販売シェアを落としたものの、販促費などの削減によって単価は上昇している。利幅の大きい特定保健用食品の商品などが好調で商品構成が改善し、利益の押し上げ要因となった。

 今回の決算では、組織の統合に向けたロードマップも発表された。18年までには、現在も子会社として存続するCCWとCCEJを含め、機能別に数多く存在する子会社を一元化し、「できる限り一つの会社にする」(吉松社長)方針だ。

 法人構造の最適化に加え、在庫管理や輸送といった業務を管理するERP(統合基幹業務)システムの「Coke One」を18年末までに導入する。

 システム統合には、苦い思い出がある。東日本で合併を繰り返していたCCEJは、子会社の整理と米国コカ・コーラ肝いりのERPの導入をいち早く進めた。しかし、導入時に不具合が発生し、15年の業績の下方修正の一因となったのだ。CCBJIでは、システムの管理を重要視し、外部人材を登用するなど、加速的な統合へと本腰を入れている。

 既に子会社の統合などを進めていたCCEJに比べ、CCWは利益率や地域内シェアについては高いが、余剰する工場設備や子会社の整理が進んでいない。「ウエスト単独でも収益改善余地がある」(あるアナリスト)といわれるように、機能会社の整理と、システムの一本化によって、文字通り「一つの会社」となることで、さらなるシナジーが期待される。「250億円は保守的な見込み」(同)なのだ。

 だが、一連の施策やシナジーは、利益改善には大きく貢献しても、競争力のある抜本的な商品投入にはつながらない。あくまで、ボトラーの機能は、製造販売にとどまるからだ。売り上げそのものを向上させるためには、強力な商品が必要。そのためには、「ボトラー自身が巨大化して発言力を高め、本体の日本コカ・コーラと対等になることが重要だ」(関係者)。

統合で利益改善
商品開発は進むか
売上高で問う真価

 近年では商品開発の領域にも踏み込み、CCWは子会社であるキューサイとのコラボレート商品を展開するほか、「いろはす」の地域限定の派生商品の発売といった取り組みを行っている。

「独立志向の強いウエスト出身の吉松社長」(同)だけに、コカ・コーラシステムの中で、より独自性のある展開を行うことは統合した大きな狙いであるはずだ。

 利益改善は当然として、成熟化した日本市場で売上高アップにつながる策の如何で、統合の真価、コカ・コーラグループの成長余地が問われる。今回の決算は大転換期のスタート地点にすぎない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事

ASCII.jp特設サイト

最新記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ