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小池都知事に温泉の万葉倶楽部が怒り爆発、豊洲・築地両立で翻弄

2017年08月09日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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万葉による完成予想図。施設はゆりかもめ市場前駅から徒歩すぐで、奥には仲卸市場が広がる(図の空き地部分)。駐車場も400台分を完備

小池都知事の方針は
「ちゃんちゃらおかしい」

「小池百合子都知事の方針は、ちゃんちゃらおかしい。うちが納得できる説明がほしい」

 こう怒りを露わにするのは、豊洲新市場に計画されている観光施設「千客万来」を担う民間事業者、万葉倶楽部の高橋弘会長だ。

 万葉が、都が公募した観光施設の事業者に決まったのが2016年3月。築地が持つ賑わいを継承・発展させ、国内外に食の魅力を発信するのを目的に、200前後の飲食・物販店と日帰り温泉・ホテル(当初開業予定はそれぞれ2018年夏、19年夏)を建設し、年間200万人弱を集客する一大観光スポットを造る計画だった。

 決定以降、同社は開業に向けて準備を進めるものの、小池都政に振り回されて続けた。16年9月には、豊洲の土壌汚染問題などにより、都から設計の一部中止要請を受ける。17年1月には着工延期。とどめは6月20日、「築地は守る、豊洲を活かす」の方針が打ち出されたことだ。小池知事は、築地を再開発し「食のテーマパーク」にすると宣言したのである。

 これに対して万葉は大反発。築地と豊洲、わずか2キロメートルしか離れていない場所に「食や市場に関連した、東京を代表する集客施設」がそれぞれ誕生すれば、「バッティングしてしまい、集客はおろかテナント誘致にも大きな影響が出る。事業採算性が見込めない。そもそも公募時の前提条件と大きく異なることになったことに対する説明が全くない」(高橋会長)。こうした理由から万葉は、小池知事に説明回答を求める文書を送った。

工期の延期で投資額は
20億~30億円上振れ

 高橋会長は「当初見積もった総投資額180億円から、工事の延期などですでに20億?30億円上振れしている。新しく人を採用したり、テナント募集も進めたり、多方面で努力してきたのに…」と憤りを隠さない。

 万葉は、写真現像業を営んでいた高橋会長が1997年、東京・町田に日帰り温泉を出店してから温泉ビジネスを本格化。旅館やホテルの買収も進めるなどして、今では北海道から九州まで15の日帰り・宿泊温泉施設を展開する。

 豊洲開発に手を挙げた理由を「(写真業から数えて)創業70年を迎える2030年を見据えて、新たなことに挑戦するチャンスだと思った。日本の素晴らしい食文化と、風呂文化の両方を世界に発信できるのは我々しかいない」(高橋会長)と鼻息荒く語る。豊洲施設はまさに社運をかけたプロジェクトなのである。

 こうした思いを共有し、千客万来プロジェクトを率いるのは、会長の子息で、新規開発担当の高橋眞己専務。眞己専務もまた、「小池知事は、自分の目で募集要項や選定経緯の資料を読み直してほしい」と訴える。

 千客万来はそもそも、築地場外市場にある商店の“受け皿”としての意味もあった。しかし、ただ単に移転するだけでは採算が取れないため、他の飲食・物販テナントを誘致して、江戸の街並みを再現した商業棟に集積。さらに24時間営業の温泉とホテルを設けることで、国内外の観光客と市場関係者、双方に魅力ある施設にしようとしていたのだ。

 なかでも温泉は、湯河原と熱海、箱根の自家源泉から毎日、タンクローリーで湯を運び、浴槽違いで三つの温泉を楽しめるという、全国に数多ある日帰り温泉の中でも非常にユニークな取り組みをする予定だ。これに伴い、箱根では源泉の追加取得も検討している。

 他にも、展望デッキに足湯を造って無料開放したり、マグロ解体ショーや全国各地の物産展を行えるイベント会場を用意したりとさまざまな構想を温めている。

築地と豊洲で
バッティングしてしまう

 にもかかわらず、小池方針下では、「築地の土地を民間と共に有効活用し、自立的な経営を目指す。場外と一体となって、世界の食の関連業者を集積」「築地ブランド力と地域の魅力を一体化させた食のワンダーランド」などと記されている(6月20日発表資料)。これでは確かに、豊洲の千客万来と「バッティングする」と捉えられても仕方あるまい。

「今の方針ではうちが施設を造っても、(築地と豊洲のどっちつかずで)テナントが入ってくれないだろう」(眞己専務)。万葉が小池知事に求めた詳細説明について、7月27日に都の担当者から回答があったものの「とうてい納得できる内容ではなかった」(同)。

 眞己専務は「本当に残念なのは、東京五輪には間に合いそうもないこと」と悔しさをにじませる。着工やテナント募集が後ろ倒しになったため、開業するにしても2020年夏に間に合うか危ういというのだ。

 一方で、このまま数ヵ月間、方針が変わらなければ、同社は事業撤退と都への損害賠償請求に踏み切らざるを得ないという。

 9月から都議会で定例会が始まる。築地・豊洲問題がどのように進展するのか、万葉は固唾を飲んで見守っている。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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