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村田とソニーの決算“異変”に見る、スマホ市場下落の予兆

2017年08月07日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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スマートフォン市場に軟化の気配が垣間見える

 エレクトロニクス・電子部品各社の2017年度第1四半期決算が出そろった。パナソニック、シャープ、ソニーとも前年同期比増収増益。特にソニーは第1四半期営業利益としては過去最高となる1576億円をたたき出した。

 一見順風満帆の内容だが、不穏な影が垣間見える。その最たるものが、各社が売上げを依存するスマートフォン市場の軟化の気配だ。

 通信モジュールなどスマホ向けの世界トップシェア製品を多く持ち、連結売上高の約6割がスマホ向けという村田製作所の決算の“異変”にそれは象徴される。

 村田の営業利益(連結)は前年同期比で15.9%の減益となった。通信用途向けのコンデンサなどの部品が減少したことが主因で、同部門は前年同期比6.1%の売り上げ減となった。

 米アップル、韓国サムスンはもとよりスマホ生産量でこの2社に次ぐ規模に成長した中国メーカー群など、世界の主要スマホメーカーのほぼすべてと取引がある村田。その業績はスマホ市場の動向を読み解く先行指標としても使われてきた。

 村田の竹村善人常務は通信部門の急減速について、「中国メーカーの在庫調整は進んでいるものの、これらのメーカーはアップルの次期モデルを意識しつつ仕様を決めかねており、次のモデルの発注にいたっていない状況」との見解を示した。

 不透明な足元の一方、不穏な動きもある。村田の受注残高(受注高から売上高を差し引いたもの)が、過去最高額の1844億円に達したのだ。さらにこの受注の中には、村田が直接顧客から受注していない、代理店経由のものも多く含まれるという。

 村田には2000年代初頭のITバブル崩壊時に苦い経験がある。当時、EMS(製造受託企業)経由での携帯電話向け部品の発注が殺到したものの、これはふたを開けてみれば需要を高く見積もりすぎたEMSが、端末メーカーからの実際の発注量を何倍も水増しして発注したものだったのだ。

 結果的に大量の発注キャンセルが発生し、受注を受けて増産をしていた村田は大量の不良在庫を抱える羽目になった。

 その後、市場の主役はガラケーからスマホにシフトし、携帯端末業界を取り巻くサプライチェーンも変わった。とはいえ、これまでは少なかった代理店経由受注の増加の理由について、「実需に基づくものなのかは今後見極める必要がある」と竹村常務が指摘するように、正確に把握できていないのが実情のようだ。これが、ITバブルの悪夢の再来となる可能性も否めない。

増益でも通期下方修正のソニー半導体

 実は、「不穏」の芽は他社でも出ている。

 村田と同様にスマホ市場でのCMOSイメージセンサーで世界シェアを実質寡占するソニーの半導体部門の業績がいい例だ。

 この第1四半期、ソニーの半導体事業の売上高は前年同期比で41%の増益。前年の営業赤字は今期554億円に黒字転換した。昨年の熊本地震の受け取り保険金やカメラモジュール製造子会社の売却益などの一時的要因を除いても、212億円の営業利益を確保している。

 ところが、通期ベースでは、スマホ向けのイメージセンサーの販売数量の下方修正を理由に、売上高予想を2.3%下方修正しているのだ。

 ソニーは3つの事業セグメントで2018年3月通期の連結営業利益見通しを上方修正したものの、通期の連結営業利益計画5000億円はそのまま据え置いた。「足元の事業状況に特に悪化の兆しはないが、今後の事業のリスクを見て慎重に計画を策定した」(吉田憲一郎・ソニーCFO)との理由だ。本来であれば通期計画を上方修正してもいいところを、事業環境が悪化するリスクとして700億円もの“バッファー”を見込みに織り込んだ結果の予想据え置きなのだ。

 つまり、第2四半期以降、事業の風向きが変わる可能性を予測しているということでもある。

 一見好調な決算の裏に、ほの見えるスマホ市場再下落の予兆。いまだ“スマホの次”の市場を確立できていないエレクトロニクスメーカー各社のこの先に続く道の行方は、霧に包まれている。

(週刊ダイヤモンド編集部・鈴木洋子)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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