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「OpenStack Days 2017」できいたSUSEのOpenStack戦略

SUSEは買収したHPE Helionをどうするのか

2017年07月25日 07時00分更新

文● 羽野三千世/TECH.ASCII.jp

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 SUSEは、買収したHPE Helionをどうするのか。7月21日、日本OpenStackユーザー会が開催した年次イベント「OpenStack Days 2017」で、ノベルの村川了氏が、SUSEのOpenStack戦略について説明した。

ノベルの村川了氏

 SUSEは2016年12月にHPEのHelion事業の買収を発表(2017年3月に買収完了)。HPEのOpenStackおよびCloud Foundryに関する技術と人材を獲得した。

 HPEは、2016年1月にOpenStackベースのパブリッククラウド「Helion Public Cloud」から撤退しているが、SUSEによる事業買収後も、OpenStack商用ディストリビューション「Helion OpenStack」、およびCloud FoundryベースのコンテナPaaS「Helion Stackato」の提供は継続している。2017年5月には、Helion OpenStackの最新版「Helion OpenStack 5.0」をリリースした。

 一方、SUSEはHelion買収前から、Helion OpenStack同等のOpenStack商用ディストリビューション「SUSE OpenStack Cloud」と、Helion Stackatoに類似するコンテナPaaS「SUSE CaaS Platform」を提供している。

 SUSE製品とHelion製品のマージについて、村川氏は、「HPEのOpenStackとCloud Foundry関連人材はSUSEの開発チームに移籍しており、今後はSUSEで開発・製品化したテクノロジーをHPEにOEM提供していく」と説明した。

 OpenStack商用ディストリビューションは、Pikeベースになる次バージョンの「SUSE OpenStack Cloud 8」と「Helion OpenStack 6.0」から、2製品のコードはすべて一緒になり、ベースのOSもSUSE Enterprise Linuxに統一される。まったく同じ製品が、両社から異なるブランドで提供される格好だ。

「SUSE OpenStack Cloud」と「「Helion OpenStack」のマージ

 Helion Stackatoについては、SUSE側で「SUSE Cloud Foundry」という新しいブランドを作り、開発を継続。SUSE Cloud FoundryのOEMとしてHelion Stackatoも存続する(コードは同一のもの)。SUSE Cloud Foundryは、SUSE CaaS Platformとは別の製品になる。

「Helion Stackato」と「SUSE Cloud Foundry」のマージ

 SUSE CaaS Platformは、SUSE Linux Enterpriseをベースに開発されたコンテナ用OS「SUSE MicroOS」、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」、構成自動化ツール「SaltStack」で構成されるCaaS(Container as a Services)。一方、Helion Stackatoと共有のコードで開発しHPEにOEM提供するSUSE Cloud Foundryは、Cloud FoundryとKubernetesによるCaaSだ。「SUSEとしては、SUSE OpenStack Cloudの上で、SUSE Cloud FoundryとHelion Stackatoのどちらを使ってもらってもかまわない」(村川氏)。

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