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ポタフェス 2017 秋葉原 第9回

Piano Forteがリケーブル非対応なワケも聞いてみた

ヤマハさん、「聴くVR」って何ですか?

2017年07月16日 21時00分更新

文● きゅう、天野透 編集●ASCII

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 7月15~16日、東京・秋葉原で開催された「ポタフェス 2017 夏」。ヤマハブースで技術展示が実施された「聴くVR」と、S'NEXT(エスネクスト)ブースに展示されたfinalブランドの「Piano Forte」シリーズに注目した。

「聴くVR」が楽しめるDAC(ヘッドフォンアンプ)のコンセプトモデル。あくまでもデザインコンセプトで、このカタチで製品が出るわけではないという。

ヤマハお得意の「シネマDSP」をヘッドフォンに応用したら?

 VRといえば「専用のゴーグルで360度の映像を楽しむ姿」を想像する人が多いだろう。そうなのだが、ヤマハはちょっと(かなり?)異なる視点の「VR」を提案していた。「聴くVR」と称する技術で、VRというよりも、現実に近い「音場」を作る技術と言ったほうが正しいかもしれない。

 ここでピンと来た人は、かなりのヤマハ通だ。聴くVRの技術は、同社のAVアンプが搭載する“シネマDSP”の技術をヘッドフォン再生に応用したもの。アニメやドラマの登場人物のセリフが、目の前から自然に聴こえてきたり、ライブ会場で360度の方向からあふれだす音に包まれる感覚などを再現。「ジャンルに合った、より真実味のある音を出していこう」とするものだ。

 言い換えると「頭外補正」や「ステレオ音声を多チャンネルに拡張する」ための技術で、ヘッドフォン再生では不自然になりがちな「空間表現」をより自然に再現するものだ。

 列ができるほどの人気のデモで、特にアニメ内でのライブシーンがどう再現されるかに興味津々……という来場者が多かった。

技術展示に使われていたアンプ。上にモード切替用のつまみ、下に音量調節用のつまみがある。アニメモードとライブモードがあり、それぞれのオン/オフの効果が確認できる。今後ポタアンなどを出す時にこの技術を載せたいとしていた

 展示では2種類のモードを体験できた。ライブ映像の音場感を再現するデモと、映像作品のセリフをBGMと分離し、前方から聴かせるデモだ。前者はステレオ音声から、左右360度の音に包まれるような、サラウンド感を作り出す技術。後者は同様にステレオ音声から、仮想的にセンターチャンネルを作り出し、リスナーの前方に音を定位させる技術となっている。

 ライブとアニメ両方で試聴してみた。ライブに関しては音がリッチに広がり、非常に効果的に感じた。一方アニメでは、確かに登場人物のセリフが前から聞こえるようになるが、映像が激しく動き、視点も切り替わるため、若干違和感を感じる面があった。VRを標榜するのであれば、映像を解析し、どんなシーンかを理解し、それに合った補正まで加えてほしいところである。将来の可能性としてはあるが、現状はそこまで考慮していないそうだ。

 ただし積極的に音を加工していくのではなく、あくまでも現実にある雰囲気やニュアンスを出していく方向性だ。「音響エフェクト」と言ってしまうと、誤解を招きやすいため、「聴くVR」という新しい試みでの提案に落ち着いたのだろう。

 ちなみに現状では技術展示の段階で、製品化については未定。デザインのコンセプトが展示されていたが、実際のデモは、モード切り替え用のつまみと音量調節用のつまみだけを備えた試作機で行われていた。会場でもらった意見を参考にしながら、今後出るかもしれないヘッドフォンアンプなどに実装できればとしていた。

投入予定のBluetoothヘッドフォンやハイレゾイヤフォンも展示

Bluetoothヘッドフォンの試作機

Bluetoothイヤフォンの試作機

ハイレゾ対応イヤフォンとして市場投入が予定されている有線モデルの試作機

 合わせて、Bluetoothヘッドフォン/イヤフォン、ハイレゾ有線モデルの試作機が展示されていた。「EPH-100」の上位機でリケーブルにも対応する見込み。

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