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最新パーツ性能チェック 第216回

Broadwell-EにCore i7-7700K、Ryzen 7と大激突

Core i9-7900X&Core i7-7800Xレビュー、全コア4.5GHz OCで見えた新世界

2017年07月13日 17時15分更新

文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

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Ryzen 7 1800Xも加えて徹底比較!

 今回の検証環境は前回レビュー時と同じ環境をそのまま利用。そのためCore i7-7700KおよびCore i7-7740Xの結果は前回の結果をそのまま流用した。さらに比較対象として、Broadwell-E世代から同じ10コアのCore i7-6950Xと8コアのCore i7-6900Kを用意。また、AMDの最上位CPUとなるRyzen 7 1800Xも加えてみた。Skylake-X側の8コア版が入手できなかったのが少々残念だ。

 メモリーは面倒なのでどのCPUでもDDR4-2666の4枚挿しに統一し、電源プランはバランスもしくはRyzen Balanced設定とした。BIOSはX299搭載マザーボードが検証時点での最新版である0402、X370搭載マザーボードが1403としている。

【検証環境:インテル】
CPU:Intel Core i9-7900X(3.3GHz、最大4.3GHz)、Core i7-7800X(3.5GHz、最大4GHz)、Core i7-7740X(4.3GHz、最大4.5GHz)、Core i7-7700K(4.2GHz、最大4.5GHz)
CPUクーラー:CRYORIG「A40」(簡易水冷、240mmラジエーター)
マザーボード:ASUS「ROG STRIX X299-E GAMING」(Intel X299)、ASUS「ROG STRIX X99 GAMING」(Intel X99)、ASRock「Fatal1ty Z270 Gaming K6」(Intel Z270)
メモリー:Corsair「CMU16GX4M2A2666C16R」(DDR4-2666 8GB×4)
グラフィック:NVIDIA「GeForce GTX 1080 Founders Edition」
ストレージ:Crucial「CT1050MX300SSD3/JP」(M.2 SATA SSD、1050GB)、Crucial「CT525MX300SSD1」(SATA SSD、525GB、X99環境のみ)
電源ユニット:Silverstone「ST85F-PT」(850W、80PLUS PLATINUM)
OS:Windows 10 Pro 64bit版(Creators Update適用)

【検証環境:AMD】
CPU:AMD「Ryzen 7 1800X」(3.6GHz、最大4GHz)
マザー:ASUS「ROG CROSSHAIR VI HERO」(AMD X370)
※その他の環境は共通。

 また、Core i9-7900X及びCore i7-7800XはBIOS上で倍率を全コア45倍にOC設定した状態でも計測した。TBM3.0が効けば2コアまで4.5GHz動作になるのでOCというには少々誇大表記のような気がするが、どの程度性能や消費電力などが上がるのかチェックしてみたい。

TBM3.0の効きがSkylake-Xの真髄か

 テスト内容は前回の検証に準じているため、ここからは簡潔にいこう。まずはCPUの馬力を「CINEBENCH R15」でチェックする。

「CINEBENCH R15」のスコアー。

 Core i9-7900Xについては、前回ES版で取ったスコアーとほぼ同じ結果が得られた。シングルスレッドスコアーはCore i7-7700Kに匹敵するほど速く、10コア/20スレッドのパワーがもたらすマルチスレッドスコアーも素晴らしい。Ryzen 7 1800Xは同じ8コアであるCore i7-6900Kを破っているが、シングルのスコアーが今ひとつ奮わない。

 ここで面白いのはCore i7-7800Xのスコアーだ。マルチスレッドは程々に高いのに、シングルスレッドが少々低い。これはCore i7-7800XのみTBM3.0に対応していないことが原因のようで、4.5GHzにOCしてやるとCore i7-7700K並みのスコアーが得られる。前回、Skylake-Xはシングルスレッドもマルチスレッドも速いという評価を下したが、それはTBM3.0があってこそ、と強調するべきだろう。

 続いてはCINEBENCH R15と同様にマルチスレッドをフル活用してCGレンダリング処理を行なう「V-Ray Benchmark」を試す。

「V-Ray Benchmark v1.0.2」CPUによるレンダリング時間。

 同じ10コア/20スレッドでもクロックが高くやキャッシュ構成が変化したCore i9-7900Xのほうが、前世代のハイエンドCore i7-6950Xよりも10秒以上処理が短縮している。そして、Core i9-7900Xを全コア4.5GHzにOCするとさらに10秒近く短縮する点に注目してほしい。こうしたOCの成果が実感として感じられる処理はベンチマークをとっていて楽しいものだ。Core i7-7800Xも定格ではコア数の多いRyzen 7 1800XやCore i7-6900Kに負けてしまうが、OCすることでなんとか互角に持ち込めている。

 同じマルチスレッド化の進んだ処理として、動画のエンコード処理を「TMPGEnc Video Mastering Works 6」で試してみた。3分のAVCHD動画を1080pのMPEG4形式に書き出す処理だが、ここでは2パス処理の時間のみを比較する。コーデックはx264とx265を使用した。

「TMPGEnc Video Mastering Works 6」の動画変換処理時間。

 傾向的には先ほどのV-Ray Benchmarkと同じだが、x264よりも圧縮率の高いx265の処理になると一気にRyzen 7 1800Xの処理が遅くなる。プログラムの設計やAVXとRyzenの相性といった要素が原因として考えられる。

 PCの総合的なパフォーマンスを比較する「PCMark」の最新版「PCMark10」が使えたので、一体どのようなスコアー差が出るか試してみた。Core i7-7740Xのみバージョンが古い(v1.0.1271)時に計測したが、スコアーに互換性があるとのことなのでそのまま比較する。PCMark10では3種類のテストが実施できるが、今回は全タスクをフォローするExtendedテストのスコアーを計測した。

「PCMark10」Extended Testの総合スコアー。

上の総合スコアーが出た時に提示される、テスト細目別のスコアー。DCCはDigital Contents Creationを示す。

 PCMark10ではGimpやLibreOfficeといったオープンソースの定番アプリを使った実務性能や3DMarkのFire Strikeを使ったゲーミング性能などからスコアーを導き出すが、総合スコアーを見ると意外にもCore i7-6900Kより上のインテル製CPUでスコアーが伸びず、むしろCINEBENCH R15などでは遅い部類だったCore i7-7800XがCore i7-7700Kに迫るスコアーを出している。各テストのスコアーに目を転じると、Gaming以外のスコアーで大勢が決まっている印象だ。

 では、なぜCore i9-7900Xなどの8コア以上のインテル製多コアCPUのスコアーが伸びず、Ryzen 7 1800Xのみ良好なスコアーが出ているのかという答えの一端は、ベンチマーク中のCPUクロックの推移にあるようだ。インテル製CPUで電源プラン“バランス”だとCPUのクロックが激しく上下するが、この切替のタイムラグがスコアー伸び悩みの原因と考えられる。

Core i9-7900X上でPCMark10 Extended Test実施中の様々な情報。注目したいのは一番上、紫色の線で示されるCPUのクロックだ。電源プランがバランスなので非常に忙しく上下している。

こちらはRyzen 7 1800Xの情報。紫の線がほとんど上下していない。

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