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Apple Geeks 第187回

NFCの世界を一変させる!? iOS 11「Core NFC」の提供開始が意味するもの

2017年07月14日 10時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobu)、編集●ハイサイ比嘉

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

「Core NFC」で変わるiOSのNFCサポート

 「NFC」という単語から連想されるサービスは、電子マネーを含む電子決済機能であったり端末間通信(P2P)であったり、利用者の立場によってさまざま。Android端末でよく見かけるBluetoothスピーカーとのペアリングを支援する機能も、NFCの主要なユースケースのひとつ。テレビなどAV機器の分野では、NFCで認証を行ない高速性を要するデータ通信はBluetoothまたはWi-Fiに引き継ぐ、というハンドオーバーもそうだ。

 iOSにおけるNFCのサポートは、iOSデバイスでは初となるNFCチップ搭載モデルiPhone 6/6 PlusとiOS 8から始まったが、NFCにより実現される機能は限定的だった。Bluetooth機器のペアリング支援機能はなく、Bluetooth/Wi-Fiハンドオーバー機能もない。そもそもNFC関連APIが公開されていないため、サードパーティー製アプリではNFCにアクセスできない。NFCが事実上Apple Pay専用だったことは、よく知られているところだ。

 今回のWWDCで発表されたiOS 11の新フレームワーク「Core NFC」は、そんなiOSデバイスにおけるNFCの在り方を一変させる。NFCの規格策定を行なうNFC Forumでは、「Reader/Writer」(R/W)と「Card Emulation」(CE)、「Peer to Peer」(P2P)という3種の動作モードを定義しているが、Core NFCではそのうち「R/W」をサポートする。ざっくりいえばフル機能のうち3分の1をカバーするに過ぎないが、これは大きな前進だ。

基調講演ではかろうじて「新機能まとめ画面」に記載される程度の扱いだったが、「Core NFC」には大きな可能性がある

 Core NFCでは、NFCタグの検出とそこに書き込まれたNDEF(NFC Data Exchange Format)データを読み取る機能を提供する。読み取り可能なNFCタグは、NFC Forumが定めるType 1~5のすべてで、これだけもかなりのことが実現できる。

 ただし、このNFCタグ読取りに対応する端末はiPhone 7/7 Plus以降。それ以前のNFC対応端末は、Apple Payには対応していてもCore NFCのサポート対象外なのだ。これはハードウェア的な事情と判断できることから、AppleのNFCへの取り組み方針がここ1~2年で転換したものと推測される。

Core NFCでは、NFCタグの読み取りをサポートする。ただし、対応機種はiPhone 7/7 Plus以降

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