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アスクル、純利益80%減も赤字は回避…次期は自社配送網を強化

2017年07月05日 08時58分更新

記事提供:通販通信

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アスクル(株)が4日発表した2017年5月期連結決算は、売上高が前期比6.6%増の3359億1400万円、営業利益が同4.1%増の88億6500万円、純利益が同80.7%減の10億1400万円となった。

「LOHACO」売上高は18.8%増

 物流センター「ASKUL Logi PARK 首都圏」(ALP首都圏)の火災事故の影響を受けながらも増収となったが、火災事故の損失112億5000万円を特別損失として計上したことで純利益は大幅に落ち込んだ。ただ、火災事故の保険金49億2900万円を受領したことから、最終的に黒字を維持した。

 BtoB事業は、取扱商材の拡大や販促効果などで、売上高は同4.8%増の2919億3700万円となった。店舗で利用される日用品の消耗紙、オフィスで利用される飲料など、生活用品の売上高が拡大したほか、戦略分野である工場・建設現場・研究所などで利用されるMRO商材と、医療・介護施設向け商材の売上高が2桁伸長した。

 BtoC事業の「LOHACO」は、火災発生後に出荷量の制限を余儀なくされたが、社員総出の出荷対応などで、売上高は同18.8%増の390億1600万円となった。テレビCMや積極的な販促施策で新規ユーザーを獲得し、ニーズの高い商材の導入や購入点数の増加、定期利用の拡大に注力したことが奏功した。

2019年5月期にV字回復へ

 次期は、「ALP首都圏」火災の影響で物流費用などの増加が上半期まで続くと見込んでいるほか、物流センターの新設や配送体制を強化することから、先行投資のフェーズと位置づけている。次期の業績予想は、売上高が同8.7%増の3650億円、営業利益が同60.5%減の35億円、純利益は同47.8%増の15億円としている。「LOHACO」は9月末には完全復活する見通しで、BtoC事業の売上高は同39.7%増の545億円とした。

 2019年5月期でのV字回復を目指し、次期は「新物流センター(ASKUL Value Center)の立ち上げ」(AVC日高・AVC関西)、「物流センターでの新たな収益の創出」、「自社グループの配送拡大」に注力する。

自社グループの配送体制を強化

 「LOHACO」については、9月末に「ALP首都圏」の機能を代行する新物流センター「AVC日高」を本格稼働させ、出荷能力の回復と取り扱い商材を拡大し、第3四半期には火災発生前までの水準への回復を見込む。また、第4四半期には、過去最高の収益を達成することを目指している。

 「AVC関西」は、2018年2月に稼働する巨大な物流センターで、売上拡大が続いている西日本エリアを支える基幹センターとなり、早期に安定稼働することを目指す。また、ロボティクスなど新たなテクノロジーを活用して労働生産性を向上させ、西日本エリアの物流費用最適化を図る。

 また、新たな収益源として、AVCではビッグデータを活用した広告販促の拡大(データセグメントに合わせたチラシ・メーカーサンプル同梱)や、外部事業社からの物流代行を実施する。自社グループによる配送では、独自の配送サービス「Happy On Time」を拡大。配送ドライバーの増員やグループ会社の活用で、自社グループの配送体制の強化を図る。

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