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仕事の効率を限界まで高める「ディープ・ワーク」を実践する7つの習慣

2017年07月05日 15時06分更新

文●Lucero del Alba

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「FacebookやSlackの通知は止める」「朝にメールは見ない」。「ディープ・ワーク」の考え方を取り入れれば、仕事の効率をぐっと引き上げ、短時間で成果を出すことができます。

忙しいときは時間管理がうまくできず、たいてい失敗します。ディープ・ワークなら、気が散るものを取り除き、集中力を上げ、仕事を早く終わらせることができます。思いがけずできた時間を何に使いましょうか。

大事なことに集中する:気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法』の著者Cal Newportは数年前にマサチューセッツ工科大学で博士号を取得しました。ジョージ大学の教授でもあり、書籍4冊と多くの研究論文を提出していますが、毎日17時半にはオフィスを出て週末はほとんど仕事をしません。既婚者で2人の子供の父親でもあります。

私はミュージシャンであり、ソフトウェアの開発者であり、起業家でもあります。最近はオンラインメディアに寄稿もしています。語学やダンスなど新しいことを学び、運動しながら、すべての目標を達成しようとしています。「ディープ・ワーク」を実践してから、これまでにないほど時間を有効活用できるようになったと感じます。

ディープ・ワークとは?

ディープ・ワークを提唱したNewportによるディープ・ワークの定義です。

ディープ・ワーク:認知能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態での職業上の活動。新たな価値を生み、スキルを向上させる。容易にまねできない。

Newportはまた、ディープ・ワークと対となる、シャロー・ワークも定義しています。

シャロー・ワーク:知的思考を必要としない補助的な仕事。注意散漫な状態が多い。新しい価値を生みださず、誰にでも容易に再現できる。

ディープ・ワークをすると、毎日、毎週のアウトプットが2倍、4倍、ときにはそれ以上にも倍増します。幸福感と達成感も感じられます。

新事業のビジネスプランを立てる、プログラミングをする、コンテンツを書くなどのディープ・ワークは、価値が高く、貴重で意義のある資産です。ビジネスやプログラム、出版物などをもっと生み出せます。気が散るものを遮ってすべてを成し遂げれば、別のことにあてる時間が作れます。

さあ、はじめましょう。

1. 一週間の予定を立てる

はじめはできなくても、実践するうちにできるようになります。一週間の計画を立てるには、やるべきことを考え、詳細に落とし込みます。カレンダーにタスクを書くと、時間を配分でき、より現実的になります。

毎日なにをすべきか迷う時間はもったいないです。事前に計画を立てれば、今日のスケジュールを確認して実行するだけです。

繰り返しますが、はじめから完璧である必要はありません。だんだんできるようになります。大きなチャレンジなので、少しずつ実践しましょう。

タスクを正しく定義する

今日、仕事を終えたとき満足感が得られる1つの仕事はなんでしょう。その「1つの仕事」がディープ・ワークです。ディープ・ワークのタスクを毎日完了できれば、あなたの生産性は驚くほど高いということです(Seinfeld戦略のようにやってみます)。

タスクを具体化します。「記事を書く」や「アプリのプログラミングをする」ではなく、実行可能なサブタスクにわけます。たとえば「記事を書く」は以下のようにします。

  1. アウトラインを書く
  2. 下書きを書く
  3. 読み返して編集する

「アプリのプログラミングをする」は、たとえば以下のようにします。

  1. 範囲を決めてコンポーネントを選ぶ
  2. 検索してドキュメントを参照する
  3. コード化する
  4. テスト、デバッグ、リファクタリングする
  5. ドキュメント化する
  6. 繰り返す

タスクはできるだけ細分化します。実行しやすくなり、大きなタスクより心理的なハードルが低くなります。たとえば「1時間の運動」は慣れていないと嫌気がさしたり疲れたりするかもしれません。「30分の運動」と2つのブロックに分けると実行しやすくなります(なお、毎日30分の運動は効果があることが分かっています)。一週間の計画を立てて、心理的に不安を感じるなら、さらにタスクを細分化して、さらに実行可能なサブタスクにします。

一週間のはじめに

プロジェクトの現状についてブレーンストーミングします。なにを達成したいのか考える時間を作り、プロセスの分析や、逆行分析をすると、構成が把握できます。

「あとでやる」タスクを見直します。後回しの仕事はディープ・ワークとシャロー・ワークが混在したタスクかもしれません。すべて見直して、週のどこでやるか確定します。

計画は、少し余裕をみておきます。私が普段つくるスケジュールは、一週間の稼働時間のうち約75%分です。余裕があると、変更や突然の仕事にも対応できます。

分刻みのスケジュールが作れると、非常に生産的になります。ただこれはたいていの人には現実的ではありません。まずは気楽にスケジュールを作りましょう。

一週間の終わりは

うまくできたか、時間配分はどうだったのか、達成感を感じたいためにシャロー・ワークをディープ・ワークと思い込んでいないか。次週に向けて自問自答し覚えておきます。

仕事が終わったら、ブラウザーのタブ、アプリ、仕事関連のすべてを閉じます。

2.マルチタスクではなく1つに集中する

マルチタスクは迷信に過ぎません。こちらの記事で触れたように、1つのタスクを別のタスクに変えると、時間の損失以上に、認知能力の損失が大きくなります。1つのタスクから次のタスクに移るときに限られた集中力と精神力が消耗されるので、生産性が落ちるのです。これについては次の記事を読んでください。

1つのタスクに集中します。仲間と話しながらレポートを書いたり、ニュースをチェックしながらPHPのルーチンをコーディングしたりしないでください。倍の時間がかかります。

実際、仕事でない限り、Webを見てはいけません。私も多くの失敗をしました。コーディング中に、違うことが頭をよぎり、インターネットでチェックしていると時間がすぎてしまいます。ちょっと休憩と、ニュースを確認すると5分間費やしてしまいます。やらないでください。

テレビも電話もなく(詳しくはあとで)、インターネットもない小さな部屋で仕事をしました。インターネットが不要なタスクに集中すると決めてコンピューターを使いました。結果、ここ数年でもっとも生産性の高い日になりました。

「いま確認しなかったら忘れてしまう」と思っても、確認はあとでいいのです。「あとでやる」とメモに書いて、いましていることにまた集中してください。

3. 習慣化する

料理、食事、身の回りの支度、休憩、次にすることを決めることなど日常的なタスクを自動的にできるようになればなるほど、集中力を維持できます。

インターネットで「朝の習慣」と検索してください。いくつかの記事を、習慣としてしっくりくるかやってみます。実践して1週間後、違いを確認します。

おまけ:朝一番のメールチェックをやめる。脳はコーヒーやシャワーのあとが一番活性化された状態です。この価値のある時間は、能力が必要になることに使うほうが賢明です。例外もありますが、メールの返信は精神的に骨が折れる仕事ではないので、あとにしましょうお。

4. 気を散らすことからではなく、集中することから休憩をとる

YouTubeやインスタントメッセージの通知、ポッドキャストなどなど、気が散るものがいっぱいです。集中して、仕事の効率を上げたいなら、認識を変えなくてはなりません。ディープ・ワークを重要だと位置づけ、間に休憩を入れます。

退屈を受け入れる

集中力はディープ・ワークに必要です。学んで、深めるスキルです。担当する仕事が終わったら、ニュースやメッセージ、ラジオ番組などではなく、リラックスする時間を作ります。散歩、葉巻、音楽を楽しんで休んでください。地下鉄では携帯をじっと見るのではなく、まわりの世界や人を観察します。歯医者の待ち時間も座って雑誌を読むのではなく、まわりを見ます。なにもしない時間に慣れてください。

おまけ:集中力をさらに磨く練習。瞑想や、筋力トレーニングと集中力を組み合わせた、縄跳びや綱渡り、スラックライニングなどのエクササイズは集中力と注意力を高めると証明されています。

5. メッセージ通知や電話はすべてシャットダウンする

私も以前はブラウザーのGmail通知機能を使い、新着メールが届くたびに気を取られていました。すぐに返信するつもりがないなら、注意を向ける必要はないのです。

手が届きにくくする

電話はマナーモード、離れた場所におく、携帯の通知をすべてオフなどにして、仕事の邪魔にならないようにします。

アプリは、おもしろそうなメッセージやアクティビティが目に入ってしまいます。仕事中は邪魔されないよう機内モードにします。

Slackも同様です。自分の効率性と生産性の高さを示すためにすぐに反応しなければならないという暗黙の思い込みを捨てます。その思い込みは有害でうそです。真逆です。

上司や配偶者、友達、同僚には「すぐに返信できないけど、あとでする」と伝えます。「仕事中はメッセージを確認していない」などと言っておけば良いのです。上司は短い時間でこなせる仕事量が増えれば文句は言わないはずです。

6. ソーシャルメディアをやめる

Facebookは優秀な博士号取得者に数百万ドル払って、あなたの注意力や集中力というもっとも貴重なディープ・ワーク資産を奪うための研究しています。

6年前にFacebookをやめたときは、こんなふうに言われました。

  • Google+はどう? Facebookとはかなり違うよ
  • Twitterを試してみなよ
  • 個別にメールしているのは君だけだよ。とても「特殊」だよ
  • なんだよ、もう一度Facebookをやりなよ

私は別のソーシャルネットワークに移るためにFacebookをやめたわけではありません。Facebookと同様の資金力や人材はないかもしれませんが、なんとかして注意力を奪おうとするのは同じなのです。

ソーシャルメディアをやめれないなら、Newportも説明している「一般的にとられる2つのアプローチ」を検討して、自分に合う方法を選びます。

「どんなメリットでもあればいい」という方法:ネットワーク・ツールで「何らかの」のメリットが見込めるか、利用しないことで「何らかの」デメリットがあるか、あるなら利用が正当化される。

職人的方法のツール選び:職業上や私的な生活の成功と幸福を決める「中核要因」を見きわめる。要因へのマイナスの影響を上回るほどプラスの影響を与えるツールを選ぶ。

おまけ:ニュースも見ない。ニュースは気晴らしになりますが、知識につながりません。ニュースを見るのをやめると、多くの時間が解放され、もっと実りあるエンターテイメントを楽しめるのかが分かり驚くはずです。C.G.P Greyの面白いエッセイ、TVニュースを見るのが無駄な努力である理由:一兆円コインを読んでください。

7. 仕事から離れる

その日のタスクを終えたらシャットダウンします。完了した仕事や明日すべきことについて考えてしまうのは仕方ないですが、メールの確認や仕事関連のサイトの閲覧は避けます。自宅で仕事しているなら、仕事関連のアプリケーションはすべて閉じ、次の日まで仕事関連のツールはしまいます。

その日の仕事は終わったと脳に伝える「シャットダウンの習慣」をつけます。エクササイズや、音楽を聴くこと、ちょっとしたご褒美でもいいので、楽しいことをして、はっきり切り替えます。

おすすめの本など

最後に

長くなりましたが、一度にすべてをやろうとする必要はありません。1ステップに1つだけで大丈夫です。

ディープ・ワークは仕事のパフォーマンスを上げるだけではなく、すべての分野の自己啓発に役立ちます。教育、余暇の過ごし方、楽器の演奏や新しい語学の習得など、鍛錬と注意力を必要とするものに効果的です。試す価値がありますよ。

(原文:7 Deep Work Tips That Will Dramatically Boost Your Productivity

[翻訳:和田麻紀子/編集:Livit

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