このページの本文へ

GT-RにRX-7、スポーツ車レンタカーは意外や訪日外国人に人気

2017年07月05日 06時00分更新

文● 森 江利子(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

千葉県野田市の本店のほか、全国に6店舗を展開するレンタルカーショップ「おもしろレンタカー」。その名の通り、ほかのレンタルカーショップにはないユニークな車種を提供している。(取材・文/森 江利子[清談社])

一番人気はスカイラインR34型GT-R
中年男性の夢「非日常のクルマ」

画像は「おもしろレンタカー」公式サイトより

 千葉県野田市の本店は、1500坪の広い敷地に、スポーツカーやクラシックカーなど、全36種類がずらりと揃う。ラインナップは、店のコンセプトでもある「非日常なクルマ」が中心。たとえば、日産「スカイラインGT−R」シリーズや、マツダ「RX−7」シリーズ、ホンダ「S2000」、トヨタ「スプリンタートレノ AE86」など、普段はなかなかお目にかかれない車種ばかりだ。

「最近の人気車種は『スカイラインR34型GT−R』。映画『ワイルド・スピード』にも登場する日本限定モデルです。主演のポール・ウォーカーの愛車と同じ青いボディで、あの走りを実際に体感できるとあって、予約が後を絶ちません」

 こう語るのは、代表の齊藤隆文氏。

 同店では新型のスポーツカーが発売されれば、いち早く購入して貸し出しを始めている。昨年の東京モーターショーで発表された国内750台限定モデルのホンダ「シビックTypeR 」もラインナップに加わっている。同シリーズは往年のファンも多く、彼らに新しい走りを提供したいと購入を決めたという。

「1980年代から90年代にかけての国産車は、オリジナリティとチャレンジ精神にあふれていました。そんな“いい時代”を体験してきた中年男性が客層の中心です。かつてのクルマが持っていた力強い走りをもう一度楽しみたい、若い頃に憧れたあのクルマに乗ってみたい、子どもをスポーツカーに乗せてやりたいなど、目的はさまざま。リピーターのお客様も多いですよ」(齊藤氏、以下同)

 利用は6時間から。価格は車種によって異なり、「スカイラインR34型GT−R」は1万3170円、「スプリンタートレノ AE86」は7200円。この価格で、定価数百万の車を自由に乗り回せるのは、クルマ好きにとっては大きな魅力だ。

「昔はブイブイいわせていたという元“走り屋”系のお客さまもいらっしゃいます。もちろん、今ではすっかり優しいオジサマですが(笑)」(同)

イマドキの若者にとって
クルマは買うのではなく借りるもの

サイトには国産車・輸入車問わず数多くのスポーツカーが並ぶ 拡大画像表示

 齊藤氏自身、幼い頃からクルマが大好きで、大学時代は体育会自動車部に所属し、レースのドライバーとエンジンの改造を担当していたという“好車家”だ。大学卒業後、好きが高じて始めた輸入中古車の販売業では月に50台近くを売り上げていたという。

「当時、輸入中古車を購入するお客様は、ギリギリのローンを組んで、毎月の生活を切り詰めてなんとか購入するという方がほとんどでした。まさに命を賭けてクルマを買っていたんです。そんな話を聞いているうちに、そこまでしてクルマを買う意味はあるのか、と疑問を抱き始めました」(同)

 クルマは決して安い買い物ではない。多くの人にとって、人生で所有できるクルマは数台しかないだろう。「好きなクルマに、もっと自由に乗れた方が楽しいはず」。そんな思いから、2012年、一風変わったレンタカー事業に乗り出したという。

 最近は“若者のクルマ離れ”が叫ばれて久しいが、その一方では、「自動車レンタル業(個人向け)」ビジネスは好調だ。

 経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、従来のレンタカーサービスに加え、若者を中心に利用者が必要なときだけ自由に車を使用するサービス「カーシェアリング」も人気を集めている。会員間で車をシェアし、数分単位から利用できる手軽さが魅力で、事業者数、車両数、貸渡拠点数ともに増加傾向にあるという。

 都心部で顕著な自動車普及率の低下の裏側には、コストのかかるクルマは所有せずに、レンタルで済ませようという合理的な選択があるようだ。

「若者のクルマ離れといわれますが、需要自体がなくなったわけではありません。レンタルでのクルマの利用が活発になり、むしろ若者にとってクルマは身近な存在になってきているのではないでしょうか。クルマには、実際に乗ってみて、初めて分かる良さがありますし、とくに普段なかなか乗る機会のない高級車であればなおさらです。そのきっかけを提供して、若いクルマ好きを増やし、自動車文化の発展につなげていきたい」(同)

日本文化としての国産車は
訪日外国人にも人気

 同店には、世界中の好車家も、はるばる海を渡ってやってくる。

「英語版のWebサイトを立ち上げたところ、訪日外国人客の利用が急増しました。彼らの撮るフォトジェニックな写真がSNSにアップされると、口コミはまたたく間に広がります。今では、全体の売上の3割を外国人客が占めています」(同)

 アジア圏のほか、ドイツ、フィンランド、チェコなど、国籍はさまざま。その年齢層は、意外にも20代から30代の若者が多いという。

「彼らの多くは、世界的に有名なレーシングゲーム『グランツーリスモ』シリーズなど、日本のゲームやマンガなどのカルチャーを通じて、日本車に興味を持った世代です。マンガでは『イニシャルD』が大人気ですね」(同)

 先日は、台湾から訪れた若者グループが、映画版『イニシャルD』の劇中に登場する『AE86』に乗り込み、ロケ地となった群馬県の榛名山への“聖地巡礼”を楽しんでいったという。日本車は、彼らにとってひとつの文化として受け入れられているようだ。

 変わり種のレンタカーショップは、クルマを通じて、多くの利用客にひとときの“夢”を貸し出す存在なのだ。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ