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グローバルな知見やデザインシンキング手法に基づき日本の電子行政推進を支援

SAPジャパンがパブリックセクター専門の公共統括本部を設立

2017年07月05日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 SAPジャパンは7月1日付で、政府自治体や教育機関などのパブリックセクター案件を専門に扱う公共統括本部を設立した。4日に行われた説明会には、同社代表取締役会長の内田士郎氏らが出席し、その背景や狙い、今後強化する施策などを語った。

SAPジャパンが新たに設立した公共統括本部の概要
説明会に出席した、SAPジャパン 代表取締役会長の内田士郎氏SAPジャパン VP 公共統括本部 統括本部長の佐藤知成氏

 今回設立された公共統括本部は、公共部門の顧客を対象とした専門の部署で、営業/プリセールス/サービス(コンサルティング含む)/開発の各専任チームを包含する。これまで、SAPジャパンには公共部門の専任組織はなく、数名の専任営業担当や兼任プリセールス担当がいただけだった。新組織は15人体制でスタートし、今後、顧客ニーズに応じて拡充を図っていく方針。

 内田氏は、新たに専任組織を設けた理由について、今年3月にドイツで開催された「CeBIT 2017」において「ハノーバー宣言(第四次産業革命に関する日独共同声明)」が締結されたことが背景にあると語った。ドイツ企業であるSAPは、すでにドイツ政府が推進する“Industrie 4.0”の主要メンバーとして活動しているほか、他国においても“デジタルガバメント(電子行政)”推進の支援を行ってきた実績を持つ。この知見と、各国で提供しているソリューションを生かし、日本国内においてもデジタルガバメント推進を支援していくというのが、新組織設立の理由だという。

長期的な取り組みでパブリックセクターのビジネスも「大きな柱」に

 また、公共統括本部の統括本部長に就任した佐藤知成氏は、SAPではグローバル151カ国/地域、G8のすべての国において、公共部門の顧客へのソリューション提供を行ってきた実績があると説明した。公共部門は、大きく「官公庁/地方自治体」「防衛業界」「高等教育機関」の3つに分類でき、いずれにも実績があるという。

 SAPが公共部門で提供できるソリューションについて、佐藤氏は、現在のSAPが展開するソリューションマップに当てはめながら説明した。たとえば、タレントマネジメントシステムの「SAP SuccessFactors」は働き方改革に、調達ネットワークの「SAP Ariba」は業務プロセス改革に、マーケティングの「SAP Hybris」は官民協働に、「SAP HANA Cloud Platform」はIoT/ビッグデータの取り組みに、それぞれ活用できる。そして、それらの中核をなす“デジタルコア”がERPの「S/4 HANA」だ。

SAPが公共部門で提供するソリューションの例

 加えてSAPでは、「デザインシンキング(サービスデザイン思考)」手法によるデジタルガバメントの改善も提供できると、佐藤氏は紹介した。デザインシンキングは、現状における課題の理解、ITを使った解決/改革方法の発案、短期間でのプロトタイピング(実装)を繰り返すことで、イノベーションを迅速に具現化し、さらに次なるイノベーションを引き起こしていくための手法だ。

 「『5年後、10年後に社会全体がこうであればいい』という部分(アイデア)に、いかに有効にテクノロジーを適用していくか。それを机上で『考えるだけ』でなく、具体的に実装し展開していくうえで、(デザインシンキングは)非常に優れた方法論だ」(佐藤氏)

 日本政府におけるデジタルガバメントの議論においても、今後の方向性のひとつとして「デジタル技術を徹底活用した利用者中心行政サービス改革」を挙げており、その中で「サービスデザイン思考に基づく業務改革(BPR)の推進」を行うことが明記されている。SAPではデザインシンキング手法を用いて、公共部門の顧客と「一緒になって考えていく」スタンスであると、佐藤氏は強調した。また、ここにおいては海外のSAPが手がけた先進的な事例も紹介していくという。

発表会では国内外における公共部門への支援事例も紹介された

 こうした取り組みの一環として、今年9月には米国SAP LABとSAP Academyにおいて、在サンフランシスコ日本総領事館の主催で、デザインシンキング手法に基づく「訪日観光客施策の提言」取りまとめを目指すイベントも実施するという。

 「(デザインシンキングの浸透は)根気強く、5年、10年をかけてやっていこうと考えている。民間企業においても、ビッグデータやIoTの取り組みの有効性は理解されているものの、『具体的になにをすればいいのか』が課題になっている。この課題に対して、具体的に方向性を与え、『何をすれば何が解決されるのか』という答えを導き出すのがデザインシンキング。公共部門においても、時間がかかるかもしれないが進めていく」(佐藤氏)

 内田氏も、今回の公共統括本部設立や公共部門におけるビジネスは「長期的な視点での取り組み」であると語り、SAPジャパンとして、時間をかけて大きなビジネスへと育てていく姿勢を示した。

 「SAPジャパンではこれまで民間セクターでの売上を主としてきたが、実は他国のSAPでは、公共部門の売上ももうひとつの大きな柱となっている。5年後、10年後を長期的に見据えて、パブリックセクター部門を日本でも強化していく」(内田氏)

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